2008年8月26日ペシャワール会所属の伊藤和也さんが身代金狙いの誘拐犯に殺害されました。
これを祈念してペシャワール会をみなさんにご紹介します。
1.ペシャワール会とは?
①真の援助とは?
西洋諸国の援助団体のやり方は、水がないという問題に対しては水道を引くという解決を提供します。
無償で水道を引き、村人たちが喜んでいる光景を写真に撮り、次の場所へと移っていきます。
しかし暫くして現地に行くと水道が使われていないという現実に直面します。
その原因はポンプや水道管の維持に不可欠な部品が現地では調達できないからです。
それでその村はまた元の状態に逆戻りしてしまいます。
これに対してペシャワール会のやり方は現地の発展段階に合せて解決を提示することを大切にします。
現地の発展段階に合せるとは維持可能であるということです。
それで彼らは水道を引くのではなく井戸を掘ります。
そしてその井戸を村人たちに管理してもらいます。
これなら維持するのに調達不可能な部品もいりません。
現在ではさらに進んで水路工事を行っています。
水路を掘ることによって短期間の内に砂漠が緑の農地に変わりつつあります。
②丸腰か武装か?
ペシャワール会創設者の中村哲さんは丸腰の重要さを強調されます。
あるとき病院にロケット砲が打ち込まれたことがあったそうです。
その時、病院のスタッフは「先生、報復しましょう。そうしないと彼らは私たちをなめて、さらに攻撃してきます」と言いました。
これに対して中村哲さんは「こちらが報復を行えば、あちらはそれに対する報復を行うだろう。報復の連鎖を止めるには私たちが報復しないことが大切なことなのだ」と応えました。
その病院職員は中村医師の目をじっと見つめ「これがキリスト教の愛の教えということなのですね」と深く納得されたのでした。
③イラク駐留のトルコ軍のこと
ある人々は丸腰は非現実的であると言います。
しかしそうではありません。
イラク駐留のトルコ軍は市内パトロールの際に銃口を決して市民に向けません。
これに対して西洋諸国の兵士はすぐさま対応できるように銃口を市民に向けています。
その結果は英米の兵士からは多くの犠牲者が出ているのに対し、トルコ軍兵士からはただの一人も犠牲者が出ていないのです。
もちろんトルコ軍兵士がイラク人と同じイスラム教徒であるということもあります。
しかしそれだけで説明しきれるものではありません。
人々の信頼を獲得すると大きな力を発揮します。
2.アフガニスタンのこれから
①アフガニスタンの現状
アフガニスタンの民主主義が定着しない最大の理由は政権の汚職と国民の極端な貧しさです。
この二つがある限り、戦いに勝つことは出来ません。
この点からアフガニスタンの現実を見ると厳しいものがあります。
お定まりの役人の汚職と、政権内の閣僚の援助の私物化が大手を振ってまかり通っています。
国民の貧しさは世界の中でも深刻なレベルにあります。
②アフガニスタンの旧支配勢力であるタリバンとアルカイダのこと
かつては高い道徳水準を保っていたタリバンも最近は私兵化しつつあるようで、村人の反感を買っています。
このような状態では政権の汚職に国民が反発を感じても、それがタリバンへの支持につながることはないようです。
それでアメリカ軍はアフガニスタン国民とタリバンの間にくさびを打ち込もうとしています。
3.武力でなく援助によって平和はなし遂げられる
①税金の使い道
自衛隊が援助物資を運ぶ十分の一の費用で現地のNGOが同じことを出来ます。
それにもかかわらず政府が自衛隊利用を拘るのには理由があります。
それはソ連崩壊後の自衛隊の存在理由の確保にあります。
しかし私たち国民は防衛官僚が国民の税金を無駄遣いするのを黙って見ていてはいけません。
現地のNGOを使った方が安上がりにできることはそのようにしなければなりません。
②教会とNGO
中村哲さんはクリスチャンであり、所属教会は熱心に彼をサポートしています。
教会が前面に出るのではなく教会員が個人の資格で援助活動に参加するのがこれからの援助のスタイルになるのではないでしょうか。
何故かと言えばイスラム教が強い地域での奉仕活動ではキリスト教の宣教活動と混同されないことが必須のことになるからです。
私たちは看板ではなく人柄でキリストを証する必要があります。
伊藤和也さんという若者の生命がアフガニスタンの人々の平和と幸福のために神へのささげものとなりました。
私たちは多くの犠牲を払うことが予想されたとしても「平和を作り出す者は幸いです」と言われた主イエスの道を進み行きたいものです。
◎平安と祝福を祈っています。
コメント
初めまして、単立のプロテスタント教会に通う者です。
ブログ拝見させていただきました。
何点か事実と違う所がありましたので報告させていただきます。
一つ目は自衛隊のイラク派遣において35名が死亡したとの内容でしたが、派遣期間中に戦闘で死亡した隊員は一名もおりません。
派遣後に金銭、家族問題が原因での自殺がほとんどであります。
二つ目は自衛隊の援助物資輸送費の十分の一で同じ事が出来ると申してましたが、たしかに出来るかもしれません。
実際に自衛隊が派遣されていない地域にNGOだけ活動されている事もあります。
ではなぜ高額な自衛隊を派遣しなければならないか?
それは自衛の為に必要な戦闘が起こる危険がある地域に、国が国益になると判断した際は自衛隊を派遣します。
民間でも安全な地域なので活動出来ると判断したなら、国は民間に資金を投入しています。
なのでトータル的にはどちらも同じくらい費用がかかっているのです。
最後に武士道に変わりキリスト信仰を軍に浸透させるべきとの意見で、武士道は、主君(キリスト)の為に命を捧げる、崇高な生き方であるので、武士道を通してキリストの愛が軍(自衛隊)に浸透する事が良いと私は思います。
武士道の本をもう一度深く読まれる事をぜひお勧めします。
私は父親母親が牧師という、環境で育ちました。
いつも言われている事は、イエス様は何を言われてるのか、よく根拠となる聖書を読み、祈りなさいと言っています。
ブログ主様の言いたい事はよくわかりますが、あまり感情に流された内容は慎むべきと感じました。
特に自衛隊については、多くの隊員が違憲とののしられている中で歯を食い縛り国民を守りたい一心で訓練に励んでいる者が多くいます。
どうかクリスチャンとしての一分を越えないように、また他の者につまづきを与えないよう配慮をお願いいたします。
私は任務の為に死を覚悟しなければならない自衛官に対し、イエス様の救いや証しをしなければならないと主に示されて入隊をしました。
私は主君の為に戦い抜きます。
こんにちは、ケリーさん。
初めてのコメントをありがとうございます。
コメントを拝見しますと、ケリーさんの誠実なお人柄が伝わってきました。
私は一般の人々以上に軍事知識を持っているわけではありません。
ですので是非ケリーさんから教えていただきたいと思っています。
これからもよろしくお願いします。
①自衛隊のイラク派遣による死亡者について。
直接的な戦闘による死亡者だけがイラク派遣による死亡者なのではありません。
イラク派遣が問題の原因になっているならば、それはイラク派遣による死亡者の中に入れなければなりません。
日本では戦場で死んだ人だけを問題にする傾向が強いですが、それではいけません。
②NGOによる費用の問題。
ケリーさんはNGOでも自衛隊でも「トータル的にはどちらも同じくらい費用がかかっているのです」と書かれておられますが、これは全くの事実誤認ではないでしょうか。
災害が現地で起きたときに、毛布を現地に日本から持っていくのと、既に現地で活動しているNPOにお願いして毛布などの救援物資を用意するのでは十倍の差があります。
③武士道の問題。
主君に絶対の忠誠を誓うことが武士道の本質ですが、聖書は「それは出来ないことだ」と教えているのではないでしょうか。
律法が与えられたのは、何人も律法を守るということによっては救いに到達できないのを知るためでした。
その「出来ない」ということを悟った者たちに与えられたのが、律法によらない努力なしに救われる十字架の救いでした。
ですので武士道とキリスト信仰を両立させることは出来ないことだと考えます。
④これからのこと。
防衛庁の官僚は以前は災害救助や外国に派遣されることに否定的でした。
それは自衛隊は国防目的のために存在しているから、それ以外のことに流用すべきでないという理由でした。
その理由が急変したのは大変政治的なものでした。
それはソ連が崩壊し、自衛隊無用論がささやかれるようになるのではないかという懸念からです。
それで急に国内の災害救助や外国に派遣されることに積極的になりました。
私は今の自衛隊のあり方が本来的な自衛隊のあり方であると思っています。
◎私が主張したいことの本質は、自衛隊のあり方を決めるのは防衛省の官僚であってはならず、国民の代表でる国会議員の選出による内閣でなければならないということです。
○イラク派遣後に死亡した隊員の原因究明は自衛隊内外の組織によって調査されており公開もされています。
戦闘以外で亡くなられた方を問題視していないというのは事実誤認です。
戦後存在すればよい組織から、オウムや9.11などが転換期が訪れ多種多様な前列のない任務を手探りで行わなければならず、現場の人間も相当なストレスがかかっていた事は事実です。
私もその一人ですが。それが引き金となって命を絶ってしまった可能性もあります。
しかし、ブログ主様が言うのは自衛隊の組織が事実を隠してる、戦闘で亡くなった方がいないから問題としていないと言われてるような印象をもったのですが、組織としては先程も述べたように原因を究明して公開もしていますし、改善施策も実施しています。
私が思うに一番の問題は前例のない任務を与えといて、リスクを伴う事なく、完璧にやれというのは現場からみると非常に乱暴なのです。
命令を与える最高権者はその点を踏まえてるとは思いますが、国民こそ、その点を理解出来ていない、受け入れる事が出来ない。
ならばどうすれば良いのか?私は、おのずと見えてくると思います。
○NGOについて、差額が十倍となった事例を教えていただけないでしょうか?
私自身、勉強不足で知らない事があるのかもしれませんし、認識が変わるかもしれません。
○武士道について、私は武士道を通してキリストの愛が浸透する事ができるのではないかと述べたのです。
両立とは言っておりません。
組織にすでに浸透している武士道の存在があるからこそ、私はそこに限界を感じ、主の愛を知るきっかけが生まれると思います。
コルネリオ会の方々にも、そこをきっかけに救われた方がいたので、あながち変な事ではないと思います。
○これからのことで、組織の存在意義が疑問視され始めたから海外派遣や災害対処に動いたと思ってるようですが。
私が聞いた所では、当時の憲法解釈では海外派遣は難しい(ROEや任務等)という判断で当時の高級幕僚は前向きな発言ができなかったと聞いてます。
なぜなら前例がない任務の根拠となる憲法がそれを認めていないのですから。
一個人としては存在意義を疑われたから重い腰をあげたんだといわれるのは屈辱であります。
なぜなら自衛官は何時でもどこでも任務を完遂する事を誇りに思っているからです。
ブログ主様の不満に思われる点は自衛隊組織ではなく、違う所にあるのではないでしょうか?
話しは又聞きを繰り返すと事実と全く違う方向にいくというのはブログ主様も共感出来る所ではないでしょうか?
○最後に>私が主張したいことの本質は、自衛隊のあり方を決めるのは防衛省の官僚であってはならず、国民の代表でる国会議員の選出による内閣でなければならないということです。と言われた事に対して、ブログ主様のおっしゃられた通り、最高指揮官は内閣総理大臣です。
戦後その体制でずっときています。
幕僚は内閣の判断を支える為だけに機能しています。
もし違うと思われているのなら、なぜ戦後今まで自衛隊組織がここまでクーデター等の事件を起きなかったか?
もう旧軍と指揮系が違うのです。
組織は旧軍からアピール下手なので、よくわからない事が多いと思います。
私も入隊してからイメージが一新された所が多くありました。
もっと上手にアピールすれば良いのにと思う事も、ありますが、戦後の日本はまだ傷を負ってる人もいたり、また防衛秘密の観点からもアピールが出来ない組織であることは知ってもらいたいと思います。
いずれにせよ、防衛問題は複雑な側面を持ち合わせていますので、よく精査した問題についてコメントしていく所だと思います。
◎ブログ主様の日本を思う気持ちはよくわかりました。だからこそ死に行く者にこそ励ましと主の愛を伝えるべきだと思いませんか?
長々と書いてしまい、申し訳なく思っていますが、誤解だけはなんとしてでも解きたいと感じている所でありましたので書かせていただきました。
こんにちは、ケリーさん。
コメントをありがとうございます。
○死亡者のこと。
「アフガニスタン派遣による戦死者は一人もいない」というのが防衛省の公式の見解です。
それに対して私が注意を喚起したいのは、戦闘による直接的な被害者だけが戦死者なのではなく、アフガニスタンに派遣されたことが原因による死亡者のことも忘れてはならないということです。
○現地調達か、それとも日本国内からの輸送か。
現地で災害が起きると、まず送られるのが毛布やテントです。
この毛布やテントを日本国内で調達して自衛隊の輸送機で運ぶコストと、現地のNGO法人に依頼して現地で毛布やテントを調達して配布するのとでは天文学的な開きがあります。
これを言い表すために十倍という言葉を使いましたが、いくつかのNGOの指導者が実際に「十分の一の費用で出来る」というのを聞いたこともあります。
○武士道と律法による救いのこと。
ケリーさんの論は言葉遊びになっていないでしょうか?
武士道を通して主の愛を知らせるという考えがそもそも両立を目指していると言わなければなりません。
初代教会のエルサレム教会のクリスチャン達の大多数は、キリストの救いも信じるが律法も守り続けるという生き方を続けました。
パウロが言うように、完全なものがあらわれると不完全なものは廃(すた)れなければなりません。
○自衛隊の災害救助や外国派遣のこと。
この問題に関心のある人なら、誰でも知っていることです。
表面的な公式見解を鵜呑みにするのではなく「なぜそうなったのか?」を自分の頭で考えるという訓練をしなければなりません(偉そうに上から目線で物を言うことをお許しください)。
元自衛隊出身者で著名な軍事評論家がおられます。
その方のホームページを記しておきますので、よろしければ参考にしてください。
日本軍事情報センター
よろしくお願いします。
う〜ん、なかなかこちらの言いたい事が伝わらないのか、伝える言葉が悪いのか、理解出来ないのか…。
私は今までこの様なブログに対してのコメントはした事がありませんでした。
しかしなぜ、今回この様な意見を述べたのかと言いますと、ブログ主様がクリスチャンである事が今回この様な書き込みをさせていただく事になった経緯です。
クリスチャンの方がこの様な意見をインターネット上で公開している事が私には理解出来なかったのです。
この意見を見た自衛隊関係者はクリスチャンをどのように思うでしょうか?
今回は自衛隊組織の事が私の知っている現状と違っていたので指摘させてもらったのですが、NGOの件も武士道の件も海外派遣の件も、もうこれ以上議論してもお互いの徳の高め合いにならないのでやめようと思います。
主が全て知っておられるからです。
こんにちは、ケリーさん。
コメントをありがとうございます。
○私がこのブログを書いているのは、第一義的に日本国民に向けてです。
そういうわけですので、自衛隊員の方がこのブログを読んで違和感を感じるかもしれません。
できるなら、自衛隊中心の視点ではなく、国家全体を包含する視点から物事を考えていただきたいと願っています。
○忌憚(きたん)のないご意見を頂戴したことを感謝しております。
ありがとうございました。
ありのパパさん、こんばんは。
この記事とケリーさんとのやりとりも、東日本大震災の前と後では若干の意味合いが変わってくるとも思えます。
今では自衛隊の災害派遣の意義を問う人は、あまりいないと思います。
現役世代の数少ないクリスチャン自衛官としては、ケリーさんは一言物申したかったのでしょうかね…。
2、30年前の自衛隊と違って、今の自衛官の士気、練度は、ずいぶんと向上しているようです。
ただ、ありのパパさんが仰っているように、今でも「費用対効果でどうよ!?」という事柄もなきにしもあらず…。
政府の目が拓かれるといいですね。
被災地での自称牧師の義援金や援助物資の横領があったりして、草の根運動の問題もありましたし…。
何はともあれ、伊藤和也さんのような働きをしている方々を支援したいと思う今日この頃です。
こんにちは、元海上自衛官さん。
コメントをありがとうございます。
そうですね。この状況でケリーさんのご意見をお伺いしたいというのもありますね。
そして何より嬉しいことは「伊藤和也さんのような働きをしている方々を支援したい」と思ってくださるお気持ちです。
キリスト者がいくら増えても自分の教会の増減しか考えない人々であっては仕方ありません。
聖書が教える通りの「自分を愛するように隣人を愛する」人々の増加であるようにと切に願います。
またコメントしてください。お待ちしています。