自助グループの長所を生かし、弱点に対処することにより回復し続ける

自助グループに参加すると多くの励ましと慰めをもらうことが出来ます。
しかしそれとともに「これはちょっといただけないな」と思うこともあります。

        

1.自助グループに参加して良かったこと

①「ここまで正直になるんかい!」と言いたくなるほど率直

多分、少しずつ正直になろうと努めた結果、何年も自助グループに参加しているうちに自己開示できるようになったのだと思います。
余りに本音が出るので、話を聞いていて思わず爆笑することもしばしばです。
キリスト教会でも、このような本音の交わりが出来るなら何と幸いなことでしょうか。

自助グループの集会をミーティングと呼びますが、そのミーティングに出席する人々の原則は「言いっぱなし・聞きっぱなし・他言無用」ということです。

②決して人の話を非難や批判をせず評価もしない

厳格に聞きっぱなしに徹します。
だからこそ本音が出るのだと思います。
ありのパパが出席したミーティングで、ある方の話を聞いていて「それは違うだろ!」と感じることがありました。
そのようなときでも、その感想を決して口にしません。
自然な自己開示が行われるとき、神の癒しの御業が人々の心に働くことを信じるからです。
癒すのは人ではなく、神です。

③ミーティングが終わったら人々が何を話したか忘れる

これは決して口外しない、他言無用ということです。
教会などの組織ですと秘密のはずが気が付くと皆知っていたということがあります。

本音の交わりが生命線であるミーティングで秘密が漏れるようなことがあれば、そのグループは立ち行かなくなります。
しかし良くしたものでミーティングに働く力というものがあり、交わりを共有するうちにお互いの秘密を守るということが自然にできているようです。
まぁ、秘密と言っても重大な秘密であると思っているのは自分だけで、人からしてみたら「だから何?」ということであるのかもしれません。

        

2.自助グループ出席者の陥りやすい罠

①回復が進んでいないという泣き言が出る

人間とは欲が深いというか、業が深いというべきか、今自分が持っているものを感謝するよりは、持っていないものに対して未練たらたらになる方が得意のようです。

正直に自分に向き合うなら、アル中であれば再飲酒していないことが最大の神の恵みであり、これ以上感謝することはないはずです。
しかしうっかりすると自分が願ったようには成長していない自分自身に対して自己憐憫の情をもつ危険があります。

クリスチャンですと救っていただいただけで御の字(おんのじ)であるにもかかわらず、しばらくたつと中々成長しない自分に対して自己憐憫の情をもつ危険があります。

信仰の体験談を聞いていて伝わってくる感情が喜びでなく「救っていただいたにもかかわらず、こんな自分で申し訳ない」というマイナス感情が伝わってくることがあります。
このような体験談を百回しても、だれも神を信じようとは思わないでしょう。
自分がどこから救われたのかを忘れてはなりません。

②成長していない、回復していないという自己認識こそ最大の障害

無力を認めるということは成長できない自分であるのを認めることです。
それが一方的な憐れみで救っていただいた途端、どうして成長できないことを嘆くようになるのでしょうか?

それは自分の無力を否認しているからにほかなりません。
これでは福音によって救っていただいたにもかかわらず、律法を守ることによって救いを完成させようとした愚かなガラテヤ教会の人々と同じです。

        

3.解決策の提案

①ミーティング出席と平行して12ステップをやり続ける

様々な依存症から解放されるための有力な助けとなるものに12ステップがあります。
この12ステップの1から3までは認め、信じ、決心することであり、比較的容易です。
これだけのステップを踏むだけで、誰でも依存から解放されます。

しかしそれに安心してステップの4から先をやらないでいると依存地獄に戻っていく羽目に陥ります。
行動のプログラムと呼ばれるステップ4以降に取り組むことが、逆戻りを防ぐだけでなく真の回復に繋がることであり、また自分の無力を忘れないでいるための最大の支援となります。

②どのように感じても良い。そう感じた自分を受け入れる

人の話を聞いていて、とても受け入れられないと感じることもあります。
これがクリスチャンが未信者と一緒にミーティングを行うことが出来ない理由だったりします。

ある人は受容しなければならないと思う余り、自分の本音を抑圧して相手の意見を受け入れようとします。
これは抑圧か、さもなくば演じているのに過ぎませんから、いつか破綻するときがやってきます。
「この意見は受け入れられない」と感じても良いのです。

③感じるのと行動は必ずしも直結しない

感じたことを(ミーティングにおいて)態度や言葉で表明してはなりません。
何を申し上げたいかというと、人には思ったことを言う権利があり、あなたにはそれをそう思わないと感じる権利があるが、言いっぱなし・聞きっぱなしの原則を守らなければならないということです。

◎回復と平安を祈っています。

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