アダルトチルドレンが12ステップを使って回復する(まとめページ)

生育歴は関係ない

この記事は初めから終わりまで読めば、アダルトチルドレンが12ステップを使って回復する過程を明確に理解できるように書かれています。
この記事自体が一つの記事になっていますが、ステップごとにあげている個別記事をお読みいただくとより明瞭に12ステップとACの回復についての理解が進みます。

個別記事を総覧的にお読みになりたい方は画面上部右端の[メニュー]をタップして、その中の該当部分をタップしてください。
(パソコンからご覧の場合は画面上部のカテゴリーの[アダルトチルドレン]の右端の[+]を二度タップしてください)

ACのステップ1

①アダルトチルドレンの回復に障害となるもの

12ステップの一番はじめは「嗜癖(しへき)を使うことに対する無力を認め、この嗜癖を使い続けたために自分の人生が思い通りに生きていけなくなった」ことを認めるステップです。

ACや共依存の方が「私は依存症ではないが、問題を抱えていることは認める」などとシレッと仰ることがあります。

しかしこれは重大な問題を含んでいます。
なぜなら12ステップは依存症からの回復プログラムであって、依存症以外の病気には効果がないからです。

ですから安易に「私は依存症ではないが、問題は抱えている」などと言わないほうがよいのです。

多くの方が自助グループのミーティングにやっては来るが、しばらくすると来なくなってしまう理由がここにあると、ありのパパは考えています。

すなわち問題があることは認めていても依存症であることを認めないなら、ご自分が12ステップミーティングに参加する意味はないと考えてしまう日がいつかはやってくるからです。

だからACや共依存症者が回復したいと願うなら、漠然(ばくぜん)と無力を認めることをせず、[何を嗜癖として使っているのか?]をはっきりさせなければなりません。

共依存症者が使う嗜癖は【他者に対する病的・あるいは度が過ぎたコントロール欲求】です。

アダルトチルドレン(AC)が使う嗜癖は【ACの問題行動】と呼ばれる13個の病的な人間関係嗜癖です。(これは少なくとも13個あるということであり、これだけということを意味していません)

ACや共依存症者に共通するのが[否認]です。
共依存症者の決まり文句は「私はただただ家族が良くなることだけを願っています。そのためなら何だってします!」です。

これは外側から見ると一見美しく、文句のつけようがありません。
だからご本人もその奥底に病的なコントロール欲求が潜んでいるなどとは思ってもみません。

一方、ACはと言うと「私にはこの13個はほとんど当てはまらないと思う。だけどそうなると『なぜACのミーティングに参加しているのか?』ということになるから、この問題への答えを出すのは先延ばしにしよう」と考えます。

ACや共依存はアルコールや薬物の依存症に対しての困難さの度合いは小さいように思えます。
それにもかかわらずACや共依存症者の回復が困難なのは12ステップの入り口で躓(つまづ)いているからです。

この否認の問題はずっと続きます。
12ステップが提供する本質的な解決策である霊的目覚めを得たあとに統合作業というものを行いますが、その時でさえ「私にはこの問題は該当しない」という否認から入るACが多いのです。

しかしものの5分も統合作業をやっていると、次から次へと嗜癖行為が思い出されて「問題がないどころではない。おおありのこんこんちきだ!」と否認が解除されるのです。

このようなわけで「私はまだ病的人間関係を嗜癖として使っていることを十分に認めていないから、ステップの先に進むべきではない」と考える必要はありません。

なぜなら否認がなくなることは一生ないと思ったほうがよいからです。

頭で(客観的理解という意)理解できたらそれで良しとします。
それぞれのステップの学びをご自分が依存症者であることが腑に落ちる機会とします。
そしてこの営みは生涯を通して行われるものです。

病的な人間関係を嗜癖として使っていることを認め、そのために自分の人生がどうにもならなくなったことを認める

一つ目の認めるべきこと 二つ目の認めるべきこと
病的人間関係を嗜癖として使っていることを認める 嗜癖を使い続けたために自分の人生がどうにもならなくなったことを認める

②問題は何か?【二つの無力】

客観的理解として問題は二つあることを知る必要があります。
それは【強迫観念】と【渇望現象】です。

強迫観念とは例えば「絶対に孤立しないようにしなきゃ!」と堅く決意しているにもかかわらず、その場になると周囲から孤立しているという働きをするものです。(これはACの問題の1番目に当たります)

この強迫観念が襲ってくると(唯一つの例外を除いて)いとも簡単に騙されてしまいます。

渇望現象とは強迫観念が教えるウソに騙されてスイッチが入ってしまうと1 ブラックアウトするまでその行為を止めることができないという働きをさせるものです。

依存症者が「無力である」と言うときは、この【強迫観念】と【渇望現象】に対して無力であると言っているのです。

強迫観念と渇望現象は脳の報酬系にできた依存症回路から発せられます。

嗜癖行為は初めのうちは便利な道具だったり、仲の良いお友達みたいな関係にあるのですが、しばらくすると(人によって時間の長短はありますが)自分が嗜癖の奴隷になっていることを気づくようになります。

ACや共依存症者の中には《強迫観念と渇望現象》という概念に対して抵抗を感じる人が多いようです。
「私は強迫観念など感じたことはないし、ましてや渇望現象など体験したことはない」という感じです。

しかし例えば夜更しの問題を考えていただきたいのですが、普段は「早寝早起きを実行しよう!」と意欲満々であるにもかかわらず、真夜中に「ドラマ見放題サービスのドラマを一話だけ見るならいいかも」と考えることはありませんか?([刺激を嗜癖として使う]ACの問題の8番目)

これが強迫観念が教えるウソにコロッと騙されるということです。

そして一話だけのはずが朝方まで見続けてしまうことがありませんか?

これが渇望現象の働きです。

「誰だってそんな事はあるのではないか?!」と言うことは可能です。
しかし誰にでもあるから、嗜癖として使っていないということにはなりません。

自分でも不健全であると感じる人間関係のあり方が【アダルトチルドレンの問題行動】に当てはまるかどうか今一度ご自分を吟味なさいますように。

問題はたった二つしかない

一つ目の問題 二つ目の問題
強迫観念(ウソを教える働き) 渇望現象(ブラックアウトするまで止めさせない働き)

③問題の本質は何か?

ACの方に「問題の本質は何だと思いますか?」と質問すると大抵の方は「機能不全家族で育ったこと」とか「嗜癖に対して無力なこと」と答えられます。
これらの答えはみな残念ながら大ハズレです。

問題の本質は強迫観念と渇望現象に対してご自分が無力であるということです。
これが問題の本質だと真に理解できたとき、生育歴とか機能不全家族で育った影響とかは大きな問題ではなくなります。

「強迫観念と渇望現象に対してこの私が無力であるということが問題の本質なのだ」と腹落ちするとき、解決策も自ずと明らかになります。

逆から言えばこの理解が腹落ちしない限り、ステップ1を理解したとは言えません。

問題の本質はたった一つ

問題の本質
強迫観念と渇望現象に対する無力

ステップ1で理解すべきことは[認めるべき二つのこと][問題は二つしかない][問題の本質はたった一つ]の三点です。
あなたはこの三つの質問にお答えになることができるでしょうか?

[ステップ1の質問]

  • ACが認めるべきことは二つあります。それは何と何ですか?
  • 問題は二つあります。それは何と何ですか?
  • 問題の本質はたった一つです。それは何ですか?

ACのステップ2

ステップ1が回復の基礎に当たるとしたら、ステップ2は土台に当たります。
この基礎と土台の上にステップ3から9の【回復の家】を建て上げます。

ステップ2がプログラムの中心概念です。
そしてステップ2の一つ一つがステップ1に呼応しています。

ステップ1 ステップ2
【問題1】強迫観念⇒ 【解決策】霊的目覚めと共同体の助けと支え
【問題2】渇望現象⇒ 解決策は存在しない
【問題の本質】上記の二つに対して無力⇒ 【解決】自分を超えた大きな力

①共同体から受ける助けと支え

共同体とは同じ嗜癖を使う者同士が集まってつくる自助グループを指しています。
ACや共依存症者にとって自助グループのミーティングに参加することはとても重要です。

なぜならACは鉄壁とも言える否認によって自分が見えなくなっているのですが、他者の話を聴くことと自分の話をすることによってのみ自分自身の真の姿が見えてくるからです。

また通常12ステップの受け渡しは共同体のメンバーを通して行われます。(ありのパパのように2 中間施設で授業形式で12ステップを教えてもらう人もいます)

またアダルトチルドレンや共依存症は完治することのない病ですから、「もう大丈夫!」と思ったときがスリップするときだったりします。

だから常にミーティングに参加することによって自分の置かれた立場を確認し続ける必要があります。

また人間関係の再構築は困難な作業であり、共同体の仲間による人間関係づくりを通して新しい生き方を学ぶことができます。

共同体から受ける助けと支えの一覧表

  • 仲間の話を聴くことによって、また自分の話をすることによって否認が徐々に解除されていく
  • グループのメンバーに3 スポンサーシップを結んでもらい、12ステッププログラムを教えてもらう。
  • 安心・安全の場が確保されることにより、新しい人間関係の再構築の練習場とする。
  • さらに成長を続けるために今度は自分がサービスを提供する側に回る

②本質的な解決策である霊的目覚め

a.霊的とはどういうことか?

霊的目覚めとは「回復するのに十分な人格の変化」を指しています。(ビッグブック266頁2行目)
西洋で【霊的】という言葉が使われるとき、それは【人格的な関係】という意味で使われる場合が多いです。

ここを正しく理解する必要があります。
人格的関係とは例えば相手が怪我をして痛がっていると自分も痛みを感じるというような関係です。

この人格的関係という言葉は人と人の関係・神と人の関係に対して使われます。
人と人との関係に人格的関係ということは理解できても、神と人との間に人格的関係があるとは理解し難いのではないでしょうか?

これは私たちが苦しむと、神も痛みを感じてくださるということであり、神の意志を実践すると自分の内側が平安で満たされるということです。

多くの日本人にとっての神信仰は[取り引き]に過ぎません。
「私が信じてやるから、神様も私の言うこと聞いてよね」というお願いごとであり、あたかも自動販売機に百円を入れるとジュースが出てくるみたいな感じです。
ここには人格的関係のかけらもありません。

力のある神信仰とはそのようなものではなく、神と私の間に人格的関係が存在するものです。

ではどうしたら神との間に人格的(霊的な)関係をもてるかというと、真に無力を認めることです。

「私も信じるから」と言っているときは、信じている自分に焦点が当たっています。
信じている自分に焦点が当たっているということは決して[hopeless]になっていません。
なぜなら真に[hopeless]になっている人が自分に焦点を当てるはずはないからです。

自分に対して絶望している人は自分以外の存在に助けを求めます。
そのとき当然ながら自分を見ていません。
そうであるにもかかわらず、ある人たちは神に助けを求めている最中に「俺も信じてやるからさ」などとほざいているのです。

そのようなわけで[信じている自分]に焦点を当てている人は無力をいまだ認めていない人であるということができます。

b.霊的目覚めの本質的要素は何か?

霊的目覚めは宗教的な経験ではありません。
霊的目覚めの本質は視点が変わることです。

今までの自己認識は周りの者が自分を傷つけているのであり、自分はかわいそうな犠牲者だったのです。

だからACは本音の部分では「なんで私が変わらなきゃならないのか?お前たちが変われよ!」と思っているのです。

もちろんこんな思いをもっていること自体が恥ずかしいことですから、ACお得意の【否認】によって自分でもそんな考えをもっていることさえ気づかないほどに心の奥底に抑圧しています。

そんな被害者意識の塊(かたまり)のようなACが霊的目覚めを経験すると「ひょっとして自分は問題当事者かも?」という自己認識を持つようになります。

この自己認識が人生を変えるカギとなります。
なぜなら他者に問題があり、それが原因で自分の人生がどうにもならなくなっていると考える人は他者が変わるまで自分の人生もどうにもならないままです。

しかし他者ではなく、他でもないこの自分が[自分の人生がどうにもならなくなった]原因であると考える人は「じゃ、自分が変わることによって自分の人生もどうにかなるにちがいない」と考えます。

これを視点の転換と言います。

○霊的目覚めの本質は視点の転換

c.どうしたら霊的に目覚めることができるか?

ステップ1と2で[問題は何か?][問題の本質は何か?][解決策は何か?][解決は何か?]を正確に理解すると回復への強い意欲が湧いてきます。

なぜなら今まではどうして良いか分からず途方に暮れていたのが、「これをしたら必ず回復する」というプログラムを正確に理解できたのですから、強い意欲が湧かないほうがおかしいのです。

この強い意欲をもってステップ3で行動のプログラムに取り組む決心をし、即座にステップ4・5の棚卸し作業に取り組みます。

このステップ4・5が終わった時に霊的に目覚める方が多いようです。
ビッグブックにも「このプログラムの半分も終わらないうちに」とありますから、これは今も昔も変わりがないようです。

具体的には[行動のプログラム]と言われるステップ4〜9に取り組むことによって霊的に目覚めることができます。
そして[続けるプログラム]と言われるステップ10〜12に生涯を通して取り組むことによって霊的目覚めの状態が深まっていきます。

③健康な心とは何か?

ステップ2の文言には「自分を超えた大きな力が私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった」とあります。

この[健康な心]とはどのような状態を指しているのでしょうか?

三つの状態が考えられます。

  1. 健康な心とはACになる前の状態に戻ること
  2. 健康な心とは単に嗜癖が止まっているだけの状態

  3. 健康な心とは回復する過程で平安と人生を生きる力が与えられ、「私はアダルトチルドレンであって良かった」と思える心の状態

1.の病的な人間関係嗜癖に陥る前の状態に戻ることが健康な心であるとするなら、すなわちアダルトチルドレンから解放されることを指しているとしたら、その人はもはや無力ではあり得ません。

なぜならその人はすでに人間関係嗜癖に陥らなくなっているわけであり、そのような人は神に頼る必要はなく、自力・我力(がりき)で十分に自分の人生をやっていくことが可能です。

2.のただ単に人間関係嗜癖が止まっているだけの状態というのは実は存在しません。

ACの中にはこのような理解を持っている人もおられるようですが、依存症とはそんな生易(なまやさ)しいものではありません。(だからこそこの見解を持つ人々はアダルトチルドレンが依存症であることを否定します)

脳の報酬系に依存症回路が出来、そこから「嗜癖を使っちゃえばいいんだよ!」とウソを教える強迫観念が襲ってきます。

そしてそのウソにコロッと騙されると、続いて渇望現象が襲ってきて、その人間関係が破綻するまで抜け出ることが出来ません。

これは立派な依存症です。

だから止まっているだけの状態などというものは存在しません。
もし本人がそう思っているなら、遠からず幻想であったことに気づくときがやってくるでしょう。

では3.の平安と力が与えられ、自分がACでよかったと感謝できる心の状態とはどのようなものでしょうか?

それは一言で言うと、霊的に目覚めた状態を指しています。
霊的目覚めは一瞬のうちに起きる宗教的な経験ではなく、継続的な人格の変化です。
もちろん継続的ではあっても、人格の変化が起きる最初の起点というものが存在し、多くの人はその起点を指して霊的目覚めと言っています。

では【霊的目覚め】とか【回復するのに十分な人格の変化】の中身は何かと言えば、それは【嗜癖を使うに至る心の構造】を正確に理解し、そのメカニズムをコントロール可能な状態にしていることです。

嗜癖を使うに至る心の構造はどのようなものか?

自分の性格上の欠点からくる行動パターンを使う 利己的・不正直・身勝手&恐れ・配慮の欠如
本能が傷つく 自尊心・対人関係、物質面での安全・感情面での安全、公認の性関係・秘密の性関係、共存・安全・性の将来野心
感情が暴走する 恨み・罪悪感・恐れ・後悔
不快感情から逃れるために病的な人間関係を嗜癖として使う ACの問題行動

上記の表に書かれてあることを正確に理解することがステップ2において最も大切なことです。
正確に理解できれば回復への強い意欲が湧き出てきます。
もし強い意欲が湧き出てこないとしたら、この表に書かれてあることを正確に理解できていないのです。

(ありのパパ自身はステップ10をやっている間に[嗜癖を使うに至る心の構造]を正確に理解し、回復への強い意欲が湧いてきました。
ですので強い意欲が湧き出てくるまでステップ2に留まって、次に進まないというのは得策ではありません)

そしてステップ4・5では【嗜癖を使うに至る心の構造】を[正確に理解する]というところを超えて、[身に付ける]領域に進みます。
[身に付ける]とはこの理解が腹落ちするということです。

さらに今度はステップ10の日々の棚卸しで[身に付ける]領域を超えて[自由自在に使いこなす]領域へと歩みを進めます。

ありのパパは「この構造をもっと早く知っていればなぁ〜」と実感しています。

しかし「若かった頃の自分に誰かが教えてくれれば、こんなふうにはならなっかた」という感慨は共感はできますが、正しい理解とは言えません。

なぜなら【無力を認める】ということ一つを取ってみても、本人が無力を痛感していなければ、周りがどんなに「無力とはこういうもの」と説明しても、腑に落ちることは決してないからです。

[ステップ2の質問]

  • 解決は何ですか?
  • 問題が二つあるように解決策も二つあると言われます。それは何と何ですか?

◎回復と平安と祝福を祈っています。

新しい記事を見逃したくない方はメール登録をどうぞ!

フォローボタンを押すと届くメールの【フォローを確認】をタップして登録完了です。


  1. ブラックアウトとは精神的・肉体的・経済的に続けることが不可能になるまでやり続けてしまうことを指す。 
  2. 中間施設とは依存症専門病院などの医療施設と依存症者がつくる自助グループの橋渡し的な役割をになう施設を指します。
    多くの場合に税金が投入されており、ケースによっては無料もしくは安価に利用できる場合がほとんどです。 
  3. スポンサーシップとはスポンサー(12ステップを教えてくれる人)とスポンシー(12ステップを教えてもらう人)の関係を指します。