どうしたら怒りの爆発の問題を解決できるでしょうか?
この記事は怒りの問題に困難を覚える方を対象に、三つの方向から怒りが爆発する原因を明らかにし、その問題ごとの解決策を解説しています。
目次
1.感情を感じてもいいし、それを出してもいいと認める
アンガーマネジメント(怒りの管理)に失敗しがちな人の特徴は普段は静かな人が多いということです。
いつも賑やかな人が突然怒りを爆発させるということはないのです。
ご自分に怒りの管理の問題がある方は自問自答していただきたいのですが、あなたは普段は静かな人ではないでしょうか?
「いいえ、私は普段から賑やかな人です」という場合は自己認識に誤りがある可能性があります。
このような場合には周りにいる家族・友人・仕事仲間などに聞いてみるとよいです。
そもそも性格が内向型だから静かであるというのであれば何の問題もありませんが、感情を否認している場合は問題です。
「だいじょうぶ?」と聞かれて、「はい、大丈夫です」と答えている人の手がブルブル震えているなどは典型的な感情の否認です。
この場合否認しているのは不安・恐れです。
不快感情と呼ばれるものは四つあります。
それは恨み・罪悪感・恐れ・後悔です。
感情を否認しているという場合の『感情』はこの不快感情を指しています。
ある人は間違って怒りを爆発させることを抑圧していると捉えてしまいます。
この捉え方をすると「私は普段から怒らないから、怒りの感情が溜まって怒りの爆発に繋がるのだ」と考えます。
そうすると解決策は「普段から怒りの感情を出すようにする」になります。
次のような人々に出会うことがあります。
- 「私は今までの人生は不正直だったから、これからは正直に生きる」
- 「私は今まで怒りたいときに怒れずにいたから、これからは好きなときに怒るようにする」などなど。
今まで不正直だったから、これからは正直に振る舞うという人は、正直に振る舞うことによって周りの人々を傷つけがちです。
そして心の中で「私は今、正直に生きる練習をしているから、もし万が一あなたが傷ついたとしても我慢してね」などというとんでもない思い違いをしているものです。
これを利己的振る舞いと言わないで何と言えばよいのでしょう。
同様に今まで怒りを表に出さなかったからこれからは怒りを出すようにするという人の振る舞いほど周りを傷つけるものはありません。
ではどうすればよいかという話しですが、不正直の反対は正直ではなく、《敬意をもって接することに全力を尽くす》です。
また怒りの抑圧の反対は怒りの爆発ではなく、《配慮をもって接することに全力を尽くす》です。
不正直の原因は恐れです。
人が怖いので心ならずも本心とは異なる対応をするのです。
その結果、自分の願うものを得られないので、自尊心や安全本能が傷つきます。
本能が傷つくと感情が暴走しますから、その結果、恨みの感情から逃れるために怒りの爆発という嗜癖を使います。
だから根本原因は『恐れ』にあるのです。
本質的な解決策
『心』にはある特徴があります。
それは一つのことに集中していると他の考えを締め出してしまうという特徴です。
すべての人に敬意をもって接することに全力を尽くしていると、自分の中から恐れが締め出されます。
またすべての人に配慮をもって接することに全力を尽くしていると、自分の中から利己心が締め出さます。
恐れがなければ不正直な対応をすることはありませんし、利己心がなければ配慮が欠如することもありません。
そして不正直な対応と配慮の欠如がなければ自分の本能は傷つかず、感情は暴走しませんから、不快感情は溜まりません。
不正直な対応をする人の特徴は自分の感情を否認することです。
理由は皆さんもう既にお分かりのように、自分の本心を偽っているとその本心を他者に知られると困ったことになるので、本心を偽ると同時に感情をも偽るようになるからです。
「私は本心を偽っても感情を偽ることはない」という方がおられるかも知れません。
その場合にはご自分が仰る『感情』が嗜癖として使っている怒りの爆発ではないかを確認なさることをおすすめします。
感情を出すためには不正直ではダメで、すべての人に敬意をもって接することに全力を尽くすときに恐れが締め出されるので不正直対応が姿を消します。
そうすると自分でもびっくりするぐらいに感情を出すことができるようになります。
しかしこの場合に人間関係がトラブルになることはまずありません。
なぜならトラブルになるときはこちらの側に恐れがあるときに限られるからです。
恐れがあるとちょっと言っただけなのに相手が激怒したりします。
しかしこちらの側に恐れがなく、敬意に満たされて自分の言い分を存分に話しても相手は案外「分かった」と言ってくれたりします。
そのようなわけで感情を出せるようになるためには不正直・利己的な対応をやめること、そのためにはすべての人に敬意と配慮をもって接することによって恐れと利己心を締め出してしまうこと。
これが本質的な解決策ということになります。
2.同じ状況で怒りを爆発させているのに気づき、パターンを分析する
怒りを爆発させがちな人はいつも同じような状況(シチュエーション)で怒りを爆発させています。
ありのパパの例を上げます。
- 新幹線や高速バスで前の座席の人が断りなしにシートを倒す
- 車内でスマホで通話をしている
- 近くのコンビニの駐車場でクラクションを遠慮なしに鳴らしている
怒りの爆発の問題を抱えていない人にとっては笑い話のようなことではあっても、怒り依存症者であるありのパパには大問題です。
前の座席の人が断りなしにシートを倒すと怒りが爆発する問題はありのパパ自身が必ず車内の最前列に座ることによって解決しました。
一番前の席に座ればそもそもシートを倒す人がいないわけですから(笑)。
車内で通話している人への対策としてはノイズキャンセルヘッドホンを使うようにしました。
ノイズキャンセルヘッドホンを使えばそもそも人の話し声が聞こえませんから(笑)。
最後の近所のコンビニの駐車場で遠慮なしにクラクションを鳴らす人への対策としては自宅に決して金属製のバットを置かないようにします(笑)。
こうやって怒りを爆発させる状況に対して対策を打つと、しまいには怒りを爆発させる場面がなくなってしまいました。
自分自身への具体的な配慮を充実させる
これらの対策は一見表面的なものに見えるかも知れません。
ありのパパ自身もずっと「もっと本質的な解決策はないのか?」と考えてきました。
しかしあるとき、これらの一見表面的に見える対策は他でもない自分自身への配慮を充実させていることなのだと気づきました。
怒りが爆発すると分かっている状況に飛び込んでいくのは自分自身に対する配慮が欠如しているからです。
自分自身に配慮を充実させるとき、自分の中から利己心が締め出されます。
怒りの爆発の真の原因は性格上の欠点の「利己的」にあります。
そうであるなら解決策は配慮を充実させることです。
利己心の特徴は 「人は私の思ったように動くべき」と考えるところにあります。
この「私の思ったように」は姿を変えて、『常識』だったり、『道徳』に言葉が置き換えられていますが、実は言葉が違うだけで「私の思ったように」が本音です。
「私がこんなに我慢しているのに全然我慢しているように見えないお前がゆるせない」というのも「私が思ったようにあなたは動くべきである」という思い込みのバリエーションの一つです。
「皆が心を一つにして頑張っているのだから、あなたもそうすべきである」もバリエーションの一つです。
これなどはカルト化したキリスト教会ではありふれた光景です。
しかし実はその根源には「私の思ったように動け!」という病的なコントロール欲求があります。
話がずれてしまいましたが、このようなわけで人が怒りを爆発させる場面はたかが知れています。
そのたかが知れている場面に対して徹底した対策を打ちます。
そうしたらあなたは少なくとも日常生活の中では怒りを爆発させる場面がなくなります。
たとえばスーパーやコンビニのレジで怒りを爆発させやすい人は無人レジを使えばよいのです。
機械に対して怒りを爆発させるときもあるかも知れませんが、無問題です。
このようにしてみると人が抱える怒りの爆発の問題はいくらでも対策可能であることが分かります。
3.30点の自分を60点だと背伸びしたり、0点だと卑下したりしない
もともと30点の実力しかない自分を60点の実力があると見せかけるのは性格上の欠点の不正直を使っていることです。
同様に30点の実力があるにもかかわらず「ふん、私なんかどうせ0点よ」と逆ギレするのは性格上の欠点の身勝手を使っているのです。
要するにどちらも性格上の欠点を使っているということです。
このような生き方の何が問題かというと、自尊心が傷つくということです。
自尊心とは四つある本能のうちの共存本能の一部です。
ある人は「自分は自尊心が低い」と言いますが、実は自尊心の低い・高いは問題ではありません。
問題なのは自尊心を自分の性格上の欠点によって傷つけていることにあります。
自尊心を傷つける最大のものは自分の利己心です。
利己心とは既にお話したように「すべての人は私の思ったように動くべき」という間違った思い込みです。
私が私自身のために生きていて、他人のためには生きていないように、他の人たちだってみなその人自身のために生きているのであり、私のために生きているのではありません。
だからこの地上にいる人で誰一人としてあなたのために動いてくれる人はいないのです。
この現実を「すべての人は私の思った通りに動いて当然である」というフィルターを通して眺めてしまうと、「私をバカにしているから私の思ったとおりに動かないのだ」と受け止めるようになります。
ありのままの自分を認めるために
これの解決策は利己的振る舞いをなくすことです。
方法はすべての人に配慮をもって接することに全力を尽くすことです。
そうしたらそのときだけ利己心が締め出されますから。
「ありのままの自分を認めるというが、そもそも自分が何点か分からない」という方がおられるかも知れません。
逆接的ですが、恐れを締め出して不正直・身勝手行動をせず、利己心を締め出して配慮を充実させる生活を一日一日送っていると、ある日突然に自分のありのままが見えてきます。
ですからそういう意味では自分のありのままを知ろうと焦る必要はありません。
大切なことは敬意と配慮をもって接することに全力を尽くすことによって自分の中から恐れと利己心を締め出すことです。
そうしたら単に怒りを爆発させないというだけではない、全く変革された新しい人生を体験するようになります。
「行いの伴わない信仰は死んだ信仰であり、何の役にも立ちません」(聖書の言葉)
【まとめ】
- 怒りを爆発させる人は日常生活の中で自分の言いたいことが言えないという恨みを溜めて、それが怒りの爆発という形で溢れ出ています。
だから自分の思ったことを口に出していいと自分自身に認めることです。 - なぜ自分の言いたいことを言えないかというと、それは自分の性格上の欠点である恐れが動機の不正直を使っているからです。
- 『恐れ』の反対は『恐れない』ではなく、『すべての人に敬意をもって接することに全力を尽くす』です。
同様に『利己心』の反対は『利他心』ではなく、『すべての人に配慮をもって接することに全力を尽くす』です。 - アンガーマネジメントに失敗しがちな人はいつも同じ状況で失敗するという悪循環のパターンに陥っています。
同じ失敗を何度も繰り返す人は自分自身に配慮していないのです。
対処法はパターンを分析し、その一つ一つに徹底した対策を打つことです。 - ありのままの自分よりも高く評価してはいけないし、低く評価してもいけません。
なぜならそんなことをすると自尊心を傷つけるからです。
自尊心が低いことが問題なのではなく、自分の性格上の欠点が自分の自尊心を傷つけていることが真の問題なのです。
◎回復と平安と祝福を祈っています。