問題解決の鍵はいつでも自分の動きを止めて、相手の動きや声に耳を澄ますことです。
そうしたら問題は解決に向けて動き出します。
この秘訣を親子関係、職場関係、自分自身との関係に適用するにはどうしたら良いかを解説します。
1.病院での出来事
ある時、入院している私の母親が精密検査を拒否しているので何とかしてほしいと、病院から連絡がありました。
それで早速ありのパパは病院に行ってきました。
まず初めに医師と会いました。
医師は必要な検査を患者さんが受けてくれないので困っていると、まくし立てるように言われました。
次に母親と会いました。
ありのパパは(一応)カウンセラーのつもりですので、黙って話を聞きました。
そして所々で母親の話を繰り返し、要点をまとめました。
最後に「言いたいことは、こういうことだね」と確認すると、母親は「そう。それが一番言いたかったこと」と言いました。
面談は、病院のナース控室の隣の部屋で行ったのですが、はじめは婦長さん一人だけが付き添っておられたのですが、気づくとナース控室におられた看護士のほとんどの方が、ありのパパと母親のやりとりを聞いておられました。
面談が終わって医師に結果を報告しました。
ありのパパは「お医者さんも忙しいとは思いますが、自分が言わなければならないことばかりを言っていたのでは意思の疎通は計れません。まず相手が何を言いたいのかに耳を傾ける必要があります」と申し上げました。
思慮深い方である、その若いお医者さんは心に大切なものを受け止めておられるようでした。
2.問題解決のカギは立ち止まること
聖書に「心を静めて、わたしこそ神である事を知れ」とあります。
この「心を静めて」の原語の意味は「一切の行動を止める」というものです。
新改訳聖書は、これを正しく訳出して「やめよ」としています。
ただ、日本語で「やめよ」と言われても何を言っているのか分かりませんから説明が必要です。
この病院での出来事に適用するなら、医師が患者に説明するのをいったん止めるということです。
問題が行き詰まり、どうして良いか分からなくなったときは、まず「止める」ことです。
そして相手の話に耳を傾けます。
そうしますと、必ず解決の道が見えてまいります。
3.親子関係に適用する
お子さんに問題があり、どうして良いか分からなくなったら、親御さんはご自分の願いや言い分を主張するのを「止める」ことです。
そしてお子さんの言い分に耳を傾けるのです。
そうしたら解決の道が見つかります。
4.職場の問題に適用する
何度言っても分からない部下に手を焼いている上司の方がおられたら、申し上げたいのです。
問題は何度言っても分からない部下にあるのか、それとも何度言っても分からせることの出来ない上司にあるのかと。
あなたに良い解決の方法が見つからないなら、言い聞かすことによって相手を変えようとするのを「止める」ことです。
そして部下の言い分に耳を傾けることです。
そうしたら、職場の問題は必ず解決します。
5.自分を変えようと苦闘している方へ
もう一人のあなたが、即ちあなた自身です。
そのあなた自身が一番コントロールが出来ない存在であるのです。
それを悟って、自分自身に向かって「こうなるべき」というのを止めましょう。
そしてあなたの中の「私自身」が話すことに耳を傾けましょう。
そうするなら、きっと問題は解決の方向に向かって動き出します。
なぜなら問題の核心は、あなたが今まであなた自身の声に耳を傾けなかったというところにあるからです。
それが今は自分自身の声に耳を傾けるようになったのですから、問題は必ず解決します。
大切なことは、これからも死に至るまでずっと自分自身の声に耳を傾け続けることです。
もし目に見える問題が解決したからといって、再び自分自身の声を無視してしまうなら、もっとやっかいなことになるかもしれません。
そうならないためには自分自身を一番大切にすることです。
「あなた自身を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」(聖書)
◎平安と祝福を祈っています。