長電話にならないための五つの秘策と注意すべき五点をご紹介します

長電話に困っているという方は案外多いものです。そうならないための秘策を伝授します(笑)。
今日は電話でのカウンセリングについて皆さんとご一緒に学びます。

        

1.傾聴(けいちょう)

相談ごとや悩み事の電話のときは、自分の意見を言わず、まず相手の話を心を込めて聞きましょう。
日本人は相談や悩みを切り出すのが下手(へた)な人が多いです。
ですから電話を切る段になって「じつは~」という人が多いのです。
そうならないために話し始めて10分間位はこちらからは積極的に話をしないようにします。
少し間が空くような感じです。
そうすると話そうかどうしようかと迷っている相手の方も話を切り出しやすくなります。

悩み事の電話は長くて困ると言う方がおられます。
そうならないための秘訣があります。
それは相手に、こちらの意見を言わないことです。
ただひたすら相手の話を聴かせていただくのです。
この相手の話だけを聞く時間は約30分間です。

        

2.繰り返し

相手の話をただ聴くといっても黙っていてはいけません。
なぜなら電話ではあなたの顔は相手に見えませんから、真剣に聞いているということを、あなたの声で知らせる必要があります。
具体的にどうするかと言いますと「えぇ~」「なるほど」という言葉を相手の話の合間に入れていきます。

人によっては「あなたはどう思う?」とか「あなたもひどいと思うでしょ!」と聞いてくる方もおられます。
「あなたはどう思う?」は解決法を聞いているわけですが、実は解決法を用意してある場合がほとんどです。
ですから安易にこちらから解決策を提示してはなりません。

電話を早く切りたいからといって、解決策を安易に提示すると、かえって電話は長くなります。
なぜならその方が本当に解決策を教えてほしいと思っているとは限らないからです。
おなかの中で「そんな解決策なら、私も知っている」と思っているかもしれないのです。
ですからこのように相手の方が聞いてきたら「あなたはどうしたらいいと思う?」と返します。
そうすると本当に解決策の提示を願っている人なら「私はこう考える」と答えます。
願っていない人なら「わからない」とか「わからないから、聞いている」と答えますから、もう一度話をしっかり聞くというところに戻ります。

        

3.支持

「あなたもひどいと思うでしょ!」とは、あなたに同意を求めている言葉です。
私たちはつい「私もそう思う」と言ってしまいがちですが、決して言ってはなりません。
なぜなら厳密に言えば、電話をかけてきている方とあなたが同じ意見なら話はそこで終わってしまうからです。
相手はあなたが自分と違う意見であるからこそ、自分では思いつかない良いアイデアがあるのではないかと思って電話を掛けてきているのですから同意してはなりません。

こういうときは同意ではなく、共感を示しましょう。
共感とは、そうせざるを得なかった気持ちを受け入れることです。

        

4.支持的質問とは?

30分ぐらい相手の方のお話を精一杯聞かせていただくと、何が問題なのか(これを問題の核心と言います)が電話をかけてきた方にも、話を聞かせていただいた、あなたにも明らかになってきます。

そうなったら支持的質問をして問題の核心がより一層明らかになるようにします。
支持的質問とは、尋問ではなく、犯人探しでもなく、証拠探しでもありません。

        

5.最後の段階は「明確化」

明確化とは、相手の方が問題だとうすうす感じていることを気づいていただくことです。
決して本人が思ってもいないことを、こちらの勝手な思い込みで相手に押しつけてはなりません。
具体的には「あなたとしたら、一生懸命やったのに、報われないお気持ちなのかな?」というような感じです。

4と5は30分過ぎから45分までの間で行います。
こうすると必ず45分で電話は終わります。
2時間も3時間も電話が続くようなら、その電話カウンセリングにはどこかに問題があります。

○ここからは電話カウンセリングにおける様々な困難をどのようにして乗り越えていくかについてご説明します。

        

6.時間の余裕がない時どうするか?

電話はこちらの都合にお構いなく掛かってきますし、悩んでいる人にはこちらの都合まで配慮する心の余裕はありません。
ですから、こちらの側で何とかする必要があります。

        

7.夜遅く掛かってくる場合

あなたが夜型の生活をしている方なら問題はありませんが、朝型の生活をする方であったり、小さなお子さんがいたり、受験生がいる家庭の場合は問題となります。
そのような場合は時間を決めておくのが良いでしょう。
電話を切るときに「今日は電話をくれてありがとう。私はいつも夜9時には寝ているので、今度電話してくれるときは9時までに電話してくれる?」と言います。
そうしますと案外そのようにしてくれるものです。
中には8時55分に電話をかけてくる人もいますので(笑)、実際にあなたが考える時刻の一時間前を指定するのが良いでしょう。

        

8.頻繁(ひんぱん)に電話が来る場合

これも私たちを悩ます問題の一つですが解決する方法はあります。
一般的なカウンセリングの場合ですと、一回のカウンセリングでチャレンジするべきことを見いだし、次回のカウンセリングの際に確認します。
ですからカウンセリングとカウンセリングの間に一週間程度必要になります。

電話でのカウンセリングも、これを応用します。
たとえば「受容的態度で一週間接してみよう」という課題を出し、一週間経ったら電話をしてもらい、結果を報告してもらうようにします。
そうしますと(まじめなクライアントですと)一生懸命実習に精を出しますから、頻繁には電話をしてこなくなります。

それでも頻繁に電話をかけてくる場合は、クライアントにこう言います。
「あなたと電話のカウンセリングをしている目的は、あなたが自立した存在になるためです。でもあなたが頻繁に電話をかけてくるという行為は、その目的に逆行しているように思うのだけれど、あなたはどう思う?」と尋ねます。
そうしますと、だいたいは納得してくれ「電話をしないように頑張る」と言ってくれることが多いです。

        

9.例外的場合

①依存症者の場合

AAでは再飲酒しそうになったら、飲んだ後に言い訳の電話をするのではなく、飲む前にスポンサー(個人的に相談に乗ってくれる人のこと)に電話をするように言われています。
これは大変効果があるそうです。
電話をかける人も、話を聞く人も、元アル中であり、共感がしやすいことや緊急性があることなどが一般的な電話カウンセリングと異なる点です。

②うつ病の人の場合

昔からよく言われる俗言に「死ぬ、死ぬと言う人ほど、死なないものだ」というのがあります。
しかしこれはうつ病の方やうつ的傾向のある人には全く当てはまりません。
これらの人たちは自死への強い内的衝動を抱えている存在であることを弁(わきま)えていなければなりません。

        

10.電話カウンセリングは誰にでも有効か?

心の病は、精神病・神経症・それ以外の三つに分けることができます。

このうち、一般的なカウンセリングの対象となるのは社会生活に適応は出来ているが、生きづらさを感じるという人々です。

神経症の場合は、病院の治療と平行しながらカウンセリングを行わなければなりません。

統合失調症などの精神病の場合は(ありのパパの私見であることをお断りしておきます)、カウンセラーが振り回される結果になることが多く、良い結果を見ることが少ないように思います。
しかしこれは精神病者に対してカウンセリングを否定しているのでは決してありません。
黙って話を聞いてもらうことは誰にとっても得難い経験であり、人間として無限に成長していくために必須のものです。
ただ困難も大きいのでカウンセラーとしての自分の力量を勘案しながら出来ることと出来ないことを見分けることが、とても大切です。

○「こういうケースでは、どのように対応したら良いだろうか?」とのご質問がございましたら、どうぞコメント欄から質問してください。
共に考えてまいりましょう。
「今日からあなたも電話カウンセラーを目指そう!」

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