怒りの爆発に悩む多くの方が無意識のうちに治ることを求めています。
しかし治ることを求めている限り回復は不可能です。
なぜなら治るのと回復するのとは全く異なることだからです。
この記事は治らないが回復するとはどういうことかを解説しています。
目次
1.癇癪持ち(怒り依存症)は治らないが回復は可能
①癇癪持ち(怒り依存症)が治らない理由
怒りの爆発には二種類あります。
一つは自由意志によって怒りを爆発させている場合です。
もう一つは自分はただ単に怒りを表そうと思って口を開いただけなのに、口を開いた途端に怒りの爆発となって現れるものです。
前者に対してはアンガーマネジメントが効果があります。
しかしながら依存症回路が脳の報酬系にでき、そこから強迫観念と渇望現象が発せられ、そのゆえに強迫的に怒りを爆発させてしまっているならアンガーマネジメントは何の効果もないと、ありのパパは考えています。
脳の報酬系は本能を司(つかさど)る器官であり、報酬系の周りに拡がっている前頭葉は理性を司る器官です。
健康な人の脳は本能と理性があたかもアクセルとブレーキのような役割を果たしています。
そうやって長い人生航路を安全に航海するようにつくられています。
この報酬系に依存症回路ができてしまうと報酬系はアクセル踏みっぱなしの状態になります。
こうなってしまうと理性の出番は完全に封じられてしまいます。
なぜなら人間はまず本能を満たしてから理性的働きをするようにできているからです。
残念なことにこの依存症回路はいったんできてしまうと死ぬまでなくなることはないと言われています。
これが依存症は治らない病気と言われる医学的根拠となっています。
ここで申し上げておかねばならないことがあります。
それはアルコール・薬物・ギャンブル・買い物などは依存症として認められていますが、怒り依存症は依存症としては医学の世界では認められていません。
性依存症も強迫障害としては認められていますが、性依存症としては認められていません。
アダルトチルドレンは病気とさえ認められていません。
しかしながら依存症者の直感というものがあり、アルコール依存症者を初めて見た時ありのパパは心の中で「この人は僕の仲間だ」と直感的に感じました。
また薬物の仲間の話を聴いていても「まんま、俺と同じやん!」と共感することが多かったです。
これが何を意味するかと言うと、それは自分もまた依存症者だということです。
このような直感はありのパパだけのものではなく、医学的に疾患とは認められていない症状に苦しんでいる人々によって多くの12ステップグループミーティングが行われていることによっても明らかです。
②依存症の構造はみんな同じ。だから回復方法も同じ
自分の悩んでいる問題(怒りの爆発)が依存症だと分かればあとはある意味では簡単です。
依存症の回復方法は既に確立されており、誰であってもその方法に従えば必ず回復できると約束されているからです。
依存症の問題はたった二つしかありません。
強迫観念と渇望現象です。
渇望現象とは一滴だけ牛乳にブランデーを垂らすだけと思って飲み始めたにもかかわらず、気がつくとグデングデンに酔っぱらうことです。
これを怒り依存症に適用すると、静かに注意するだけと思って口を開いたにもかかわらず、口を開いた途端に怒りが濁流のように流れ出る現象です。
強迫観念とは一滴でも飲んだらブラックアウトするまで止めることができないと知っていながら、「一杯ぐらいならどうってことない」というウソを容易に信じ込ませてしまう働きです。
これを怒り依存症に適用すると「ここは怒ってもいい場面だよな」などと何の合理的な根拠もない妄想をいとも簡単に信じ込ませる働きということになります。
問題が二つあるように解決策も二つあります。
一つは共同体から受ける助けと支えであり、もう一つは霊的に目覚めることです。
共同体が主催するミーティングでは各々がどのようにして12ステップに取り組んでいるかを分かち合います。
この分かち合いを通して様々な気づきが与えられます。
また励ましが与えられます。
どんなに落ち込んでいたとしても「もう一回やってみよう!」というやる気が与えられます。
2.依存症の構造をかいつまんでご説明
本質的な解決策は霊的に目覚めることです。
霊的に目覚めるとは、怒りが爆発する理由を知って、その原因を根絶することです。
①怒りが爆発するのは不快感情から逃れるため
不快感情は四つあり、恨み・罪悪感・恐れ・後悔です。
ありのパパの例で言えば恨みの感情が暴走する時に怒りの爆発を嗜癖(しへき)として使います。
②感情が暴走する原因は本能が傷ついたから
本能には声がなく、私たちは感情が暴走することによって本能が傷ついたことを知ることができます。
それにもかかわらず私たちはどのように対処したらよいか分からなかったので感情が暴走しても否認し、本能が傷ついても抑圧することしかできませんでした。
今となれば「これじゃ、嗜癖を使わざるを得ないの当たり前だ」と思うことです。
本能も四つあり、共存・安全・性・将来野心です。
共存本能とは周りとうまくやっていきたいと願う本能であり、これが傷つくと自尊心や対人関係が傷つきます。
安全本能とは自分の生きている環境を安全・安心な状態に保ちたいと願う本能であり、感情面での安全と物質面での安全があります。
性本能とは性的に繋がりたいと願う本能であり、公認された性関係と秘密の性関係に分かれます。
将来野心とは共存・安全・性の本能が将来に渡って満たされることを願う本能です。
私たちは過去の傷ついた出来事に対しては恨みを感じ、将来傷つくかも知れないと思うことに対しては恐れを感じるものです。
③本能を傷つけた真犯人は自分の性格上の欠点からくる行動パターン
性格上の欠点も四つあり、利己的・不正直・身勝手&恐れ・配慮の欠如です。
ありのパパの例で言えば、人は自分の願ったように動くべきという身勝手が原因となって共存本能の自尊心が傷つきました。
その結果として恨みの感情が暴走し、怒りの爆発を嗜癖として使いました。
3.癇癪持ち(怒り依存症者)が日常生活を破綻せずに過ごす方法
怒り依存症者には「怒りを爆発させればいいだよ!」というウソを教える強迫観念が常に襲ってきます。
これは回復する前も回復した後も変わりありません。
では何が異なるかというと対処方法が異なります。
回復前は文字通り強迫観念にコロッと騙されていました。
回復した後は霊的目覚めの内容である依存症の構造を理解し、行動の仕方(パターン)を変えた結果として本能が傷つかなくなり、感情の暴走も止まりました。
不快感情がない状態で強迫観念が襲ってきても対処可能となります。
まるで真っ昼間に出てくる幽霊のようです。
幽霊が怖いのは真夜中に出てくるからです。
真っ昼間に幽霊が出てきても怖くとも何ともありません。
ありのパパのことを言えば今でも毎日のように「怒ったれ!」とウソを教える強迫観念が襲ってきます。
そのたびに「人々が自分の気に食わない対応をしたとしても、それは自分の問題ではない。私は他者のために生きているのではない。自分自身のために生きているのだ」と自分に言い聞かせます。
そうすると本当に即座に正気に戻ります。
このような営みによって以前は必ず破綻していた日常が、破綻することなく静かに流れるように過ぎていくようになりました。
もちろん「今日一日だけ」です。
翌朝になると再び「今日一日だけ」と肝に銘じて、一日をスタートします。
このようにして回復後の歩みが安定したものになっていきました。
怒りの爆発に悩む多くの方にありのパパの経験が参考になりますようにと願い、一人でも多くの方が12ステップに取り組むことによって霊的目覚めを自分のものになさるようにと祈ります。
【まとめ】
怒りの爆発が依存症によるものならば治ることはありません。
その理由は依存症回路の存在です。
しかし回復は可能です。
怒りの爆発が依存症によるものならば12ステップによる回復が可能です。
解決策は二つあり、本質的な解決策は霊的に目覚めることです。
怒り依存症者(癇癪持ち)であっても日常生活を平穏に過ごすことが可能です。
◎回復と平安と祝福を祈っています。