うまく行きそうになると関係を自分から壊してしまう人がいたとしたら、それは見捨てられ不安が原因かも知れません。
この記事は見捨てられる痛みは見捨てられ不安が原因であるのを明らかにし、そこからどのようにして回復していけばよいかを解説しています。
1.「見捨てられる前にこっちから見捨ててやる!」がアダルトチルドレンの見捨てられる痛みの正体
「私たちは強迫的な問題を抱えている人を見つけ、その人たちから見捨てられる痛みを感じることを嗜癖として使う」(ACの問題の4番目)
病的な人間関係を子供時代に養育者から受け取り、大人になった今は病的な人間関係を嗜癖として使っていることに気づくのがアダルトチルドレンの回復のスタートです。
病的な人間関係を養育者から受け取ったのは子供だから仕方のないことでした。
大人になった今なら「あなたは頭がおかしい!」と言えるのですが、子供の時は「親がそう言うならそうなのかも知れない」と思うのはやむを得ないことです。
アダルトチルドレンが見捨てられ不安をもつ理由は養育者が気まぐれで偏った人格傾向を持ち、病的な人間関係をもつ人だったからです。
子供が安定した心の持ち主になるためには養育者がいつも同じ対応「良いことは良い。悪いことは悪い」とする育て方が絶対条件です。
これが時と場合によって「良いことのはずが悪いことになったり、悪いことが仕方のないことになる」と子供は混乱し、養育者との間に安定した人格的関係を築けなくなります。
安定していない人格的関係は「いつ見捨てられるか分からない」という感情を子供の心に持たせます。
これを見捨てられ不安と言います。
この見捨てられ不安をもったまま大人になると二つの異なった対応をするようになります。
一つはACの問題の12番目にあるように人に対して依存することを嗜癖として使うようになります。
人に対する依存には健全な範囲の依存と病的な依存行動があります。
多くのACは健全だと思っていた依存が気がつくと病的な依存へと変質していたという経験をもっているのではないでしょうか?
もう一つはこの記事のテーマである『見捨てられる痛み』を嗜癖として使うようになります。
見捨てられ不安をもったままだと不安でたまらないので、「これだったらいっそ、見捨てられる前にこっちから見捨ててやる!」という恐れが動機の身勝手行動が見捨てられる痛みを嗜癖として使う原因です。

2.アダルトチルドレンが強迫的な問題を抱えた人を周りに置く理由
アダルトチルドレンにとって強迫的問題を抱えた初めての人は自分の養育者でした。
自分の養育者に対して「なにか変だな?」と違和感を感じつつ、子供でしたので他と比較することも出来ず、「こんなもんかな」ということで受け入れてしまいました。
いったん受け入れると今度は養育者の強迫的行動に対して生き延びるすべ(サバイバル)を子供ながらにも考えます。
これはある程度うまく行きました。
それで残念なことに大人になっても同じ手口を使いました。
周りに強迫的な問題を抱えている人がいない場合でもそうしました。
そうすると「おかしいのは自分か?」ということになります。
それでどうするかというと大抵の場合は自分のまわりに強迫的な問題を抱えた人を置くようになります。
これは無意識のうちに子供時代の環境を再現しようとするからです。
なぜなら子供時代のサバイバルはある程度うまく行ったのであり、同じ環境を再現するなら必ずうまく行くはずという思い込みがあるからです。
これらのことはアダルトチルドレンの一般的な傾向であると言えますが、何よりもありのパパの個人的経験でもあります。
自分のまわりに問題がないと問題のある人を周りに置こうとしました。
このような人にとっては宗教とかカウンセリングとかは都合が良かったのです。
なぜなら問題を抱えた人ばかりでしたから。
3.病的な人間関係嗜癖が依存症になるのはなぜか?
使い続けると依存症になってしまうものがあります。
アルコールや薬物が典型的なものですが、それとは別に病的な人間関係も使い続けると依存症になります。
それがアダルトチルドレンです。
ですからアダルトチルドレンは病的な人間関係を嗜癖として使う依存症者ということになります。
依存症になると治ることはなく、ただ使わないでいることだけが可能です。
使わないために二つの解決策があります。
一つは共同体から受ける助けと支えです。
もう一つが霊的に目覚めることです。
霊的に目覚めるとは嗜癖を使う原因が自分の行動パターンにあったと気づき、新しい行動パターンを使うことが唯一の問題解決であると理解できることです。
私たちは自分で自分自身を傷つけていました。
他者に傷つけられていたのは実は子供時代だけであり、大人になってからは自分の行動の仕方が自分の本能を傷つけ、感情を暴走させる原因になっていたのです。
このことが真に理解できると猛然と新しい行動パターンを実践するようになります。
なぜならやればやるだけ自分が回復するのが分かるからです。
この部分はACも性依存症も癇癪持ち(怒り依存症)も何ら変わるところはありません。
みな回復方法は同一です。
次の項目ではアダルトチルドレンが回復するための具体的実践方法について解説します。
4.アダルトチルドレンの回復は新しい行動の仕方を実践することによる
「自分と意見が合わない人たちを赦し、その人たちに親切にできたら、私たち自身の正気は保たれ」(ACのための12のステップ112頁14行目)
アダルトチルドレンの回復はすべての人に敬意をもって接することによります。
敬意をもって接するためには相手がどのような人かを問題にするのをやめなければなりません。
コツは「捨てよう捨てよう」とするのではなく、それはいったん脇に置いてとりあえず敬意をもって接することに全力を尽くすことです。
そうしていると気がつくと病的なコントロール欲求が影を潜め、健全な人間関係が支配的になっているのに気づく時がやってきます。
もちろん両立は不可能です。
中には無理やり両立させようとする方もおられます(笑)。
典型的なのが「私が変われば、あの人も変わるのよね!」という方です。
いいえ、あなたが変わっても相手が変わる保証は一つもありません。
というかそんなに目をギラギラさせて「私が変わるから、お前も変われよ!」などと心の中で思っている限り、相手が変わりようがないのは火を見るより明らかだと思うのですが、いかがでしょうか?
相手のことは相手に任せて、私たちは自分が変わることだけに注力します。
新しい行動の実践は他者のためにやるのではなく、自分自身の正気を保つためにやることです。
もし「自分ばかりが新しい行動パターンを使うのは何だか損した気がする」と感じるとしたら、それは何のために新しい行動パターンを実践しているのかを忘れているからです。
【まとめ】
見捨てられる痛みの正体は見捨てられ不安が原因の身勝手行動です。
そして回復のスタートは見捨てられ不安は養育者との関係から受け取ったものであると気づき、大人になった今は嗜癖として使っているのを認めることです。
回復のための具体的な実践方法は新しい行動パターンを実践することに全力を尽くすことによって見捨てられる痛みを嗜癖として使う場面をなくしてしまうことです。

◎回復と平安と祝福を祈っています。