人が怒っていたり、個人的な批判・陰口・うわさ話を聞くとどうしても怯えてしまうという方はおられませんか?
それにははっきりとした理由があります。
この記事は二つの原因を明らかにし、回復していく三つの方法を解説しています。
目次
1.アダルトチルドレンが怯える二つの原因
「私たちは人が怒っていたり、個人的な批判・陰口・うわさ話を聞くと、おびえることを嗜癖として使う」(ACの問題の3番目)
アダルトチルドレン(AC)が怯える原因は二つあります。
この二つをしっかりと理解することが回復の前提になります。
①子ども時代の家庭環境から受け取ったもの
アダルトチルドレンの回復運動はアルコール依存症者の養育者のもとで子ども時代を過ごした成人した子弟(してい)を対象にして始まりました。
ほどなくしてアダルトチルドレンの定義の中に機能不全家庭で子ども時代を過ごした成人した子弟も含まれるようになりました。
ACの生育環境は二つに分かれます。
一つは虐待であり、もう一つは養育放棄です。
精神的・肉体的暴力を受けると、子供は非力ですから対処することができません。
出来ることと言えば否認することぐらいです(ACの問題の10番目)
養育放棄家庭で育つと大人になってから様々な影響が現れます。
最も典型的な表れが見捨てられ不安です。
これはACが人に依存することを嗜癖として使う原因になります(ACの問題の12番目)。
以上の理解がアダルトチルドレンが「怯える」という反応をする原因です。
ではなぜACはもう怯える必要がなくなったにもかかわらず依然としてある特定の環境や条件(人が怒っていたり、個人的な批判・陰口・うわさ話を聞くなど)が揃うと「怯える」という行動が誘発されてしまうのでしょうか?
次の項目ではその理由を解説します。
②アダルトチルドレンは怯えることを嗜癖として使っている
子ども時代には感情を否認するか、見捨てられ不安に打ち震えるか、只々怯えるほかは対処方法を持たなかったACが、大人になってそうする必要がないにもかかわらず依然として「怯える」という行動を取る理由は何でしょうか?
それはACが怯えることを嗜癖として使っているからです。
もちろん「使っている」と言っても好きで使っているわけではありません。
ここは理解するのが困難なところですが、アルコール依存症における飲酒を考えるとACの問題を理解する助けになります。
世間の人にとって酒は「飲みたければ飲めばよいし、飲みたくなければ飲まなければよい」ものです。
しかしアルコール依存症者にとっての酒は「最初の一杯を飲んだらブラックアウトするまで飲むのを止めることができない」ものですし(渇望現象)、さらに「飲んだらいけないと分かっているにもかかわらず『最初の一杯の狂気』にどうしても負けてしまう」(強迫観念)ものです。
依存症の問題は強迫観念と渇望現象にあります。
この理解の仕方(フレームワーク)をアダルトチルドレンの回復に適用して始まったのがACの自助グループです。
子ども時代にサバイバル術として使った生き残り戦術を大人になって使う必要がないにもかかわらず使っているのはPTSDやトラウマ経験者と同じです。
PTSDやトラウマとACが根本的に異なる点は問題行動を嗜癖として使っているかどうかにあります。
この嗜癖として使っているかどうかがACと他のトラウマ経験者を分ける分水嶺になります。
PTSDやトラウマ経験者なら適切なカウンセリングを受ければ、その影響から脱することができます。
しかしACがカウンセリングを受けても「自分の問題は分かったし、原因も分かった。だけどそのままなのはどうしてか?」ということになりがちです。
理由はACが問題行動を嗜癖として使っているからです。
問題が強迫観念と渇望現象にあるとしたら、それは疑似依存症(パラアルコホーリク)ということになりますから、依存症からの回復プログラムを適用する必要があります。
それなしにはアダルトチルドレンが回復することはありえないと、ありのパパは考えています。
ありのパパもずっとこの問題の解決を目指して努力してきましたが、結果は惨憺たるものでした。
この問題が解決したのは「依存症だから治らない」ということが腑に落ちたことによってでした。
2.アダルトチルドレンは疑似依存症だから治らないと知ることが回復のスタート
同じ嗜癖を使い続けていると依存症回路が脳の報酬系にできてしまいます。
いったんできた依存症回路は死ぬまで無くなることはないと言われています。
これが「依存症は治らない病気」と言われる根拠になっています。
アダルトチルドレンの場合も同様に依存症回路ができており、そこから「怯えろ!」と命じる強迫観念と渇望現象が発します。
ACが回復しようとする際に障害になるのは怯えるたびに「何で怯えるんだ!不甲斐(ふがい)ない」と自分を責めることです。
自分を責めるのは心のどこかで「自分は怯えないでいることが出来る」と考えているからにほかなりません。
これは物事をテキパキと処理できない自分を責める人はいても、空を飛べない自分を責める人はただの一人もいないということを考えると理解しやすいと思います。
端(はな)からできないと分かっていることで自分を責める人は一人もいません。
自分を責めるのは「それが出来る」と考えている場合だけです。
というわけでアダルトチルドレンの回復は「出来ない」ということを認めるのがスタートになります。
出来ないとは「治らない」と認めることです。
これだけなら絶望しかありませんが、感謝なことに回復は可能です。
回復とは「使わないで生きる」ことです。
心のどこかで「治る」ことを期待している人はスリップするたびに失望します。
しかし治ることを諦めている人はたとえスリップしても「依存症者がスリップするなど当たり前のことではないか。それがどうした!」ってなもんです。
涼しい顔をして「ではどうしたらスリップしないでいられるか?」を考え、そのために全力投球します。
3.アダルトチルドレンが回復するためには三つのことをやればいい
①ミーティングに参加する
ミーティングに参加して仲間の分かち合いを聴き、自分の話をします。
それによって共同体から受ける助けと支えを得ることが出来ます。
嗜癖の対象が病的な人間関係であることがアダルトチルドレンの回復を困難にしています。
ACは病的な人間関係嗜癖とあまりにも長く付き合ってきたので、何が正常で何が病的なのか区別がつきません。
まわりの人は「あなた、おかしい」と思っているのに、当の本人は「これのどこがおかしいのか!」と本気で思っています。
病的なものを病的であると正しく認識するにはミーティングに参加して仲間の話を聞くことです。
私たちは誰でも「他人のことはよく分かる」ものだからです。
そうして「人の振り見て我が振り直せ」です。
②霊的に目覚める
そして同時に12ステッププログラムに取り組みます。
ステップ1からはじめてステップ9が終わる頃には必ず霊的に目覚めています。
霊的に目覚めるとは回復するのに十分な人格の変化です(ビッグブック266頁2行目)。
そもそも私たちが怯えることを嗜癖として使うのは不快感情から逃れるためです。
その不快感情が発生するのは本能が傷ついたときです。
さらにその本能を傷つける張本人が他でもない私たちの性格上の欠点からくる行動パターンなのです。
だから行動パターンを変えて本能が傷つかないようにすれば不快感情は発生せず、嗜癖を使う必要もなくなります。
回復するために依存症の構造を理解し、「行動パターンを変えれば回復できる」と腹にストンと落ちることが霊的に目覚めると言います。
これはどなたにも可能であり、「取り組みさえすれば必ず実現する」(ビッグブック121頁)と約束されています。
③統合作業に取り組む
日ごとの祈りと黙想の時間に統合作業を行います。
統合作業とは自分が病的な人間関係嗜癖を使っていないかをチェックする作業です。
ありのパパは現在では一つの項目を一週間掛けてやるようにしていますが、今でも否認から始まります。
「私は使ってない。私にはこの問題は該当しない」
しかし続けて黙想していると出てくるわ出てくるわ「どんだけ使っとるんじゃ〜」ってなもんです。
この記事を書いている時点で統合作業を始めて5年経ちましたが、まだまだ気づきが豊かに与えられ続けています。
多分、一生続くと思います。
【まとめ】
アダルトチルドレンが怯えるのには二つの原因があります。
一つは子ども時代のサバイバル術であったのであり、もう一つは大人になってから嗜癖として使っていることです。
ACの回復は自分が擬似依存症者であると認めるところからスタートします。
そしてACミーティングに参加し、12ステップに取り組むことで霊的に目覚め、さらに統合作業に取り組むことによってアダルトチルドレンは回復することが出来ます。
◎回復と平安と祝福を祈っています。