アダルトチルドレンという依存症ほど見た目はそんなに重篤ではないが、確実に人生を棒に振らせる依存症はありません。
この記事はACが嗜癖を使っていることをどうやって気づいていけばよいのかを明らかにし、二つの解決策を述べています。
1.アダルトチルドレンがいつまでも「ACの問題」の奴隷になっている理由
「ACの問題」には13個の嗜癖行動が書かれています。
たとえば人々から孤立することを嗜癖として使うとか、他からの承認を病的に求めることを嗜癖として使うなどです。
これらのものは「嗜癖として使っている」と自覚するのが難しい事柄です。
なぜならアルコールや薬物なら誰が見ても「それは嗜癖だね」と分かるし、本人も「私は依存症者です」と認めることが出来ます。
これに対してアダルトチルドレンは「はてな?果たして自分は『ACの問題』を嗜癖として使う依存症者だろうか?」という疑問がついて回ります。
理由はたとえば孤立なら「内向型の人なら誰でも持っている」からであり、病的な承認欲求は「誰でも承認欲求を持っている」からです。
しかし真実は違います。
内向型の人が持っているのは孤独であって孤立ではありませんし、誰でも持っているのは健全な承認欲求であって病的な承認欲求ではありません。
アダルトチルドレンが回復するカギは自分が持っている考え方・感じ方・行動の仕方が心が健康な人々とは異なっているのを気づいていくことです。

2.アダルトチルドレンはACの構造を理解することによって回復可能
「恨みをいだき、悪意を抱えていることは自分には手の届かない贅沢品である」(ACのための12のステップ109頁21行目)
この記事を書いている数日前にリアリティ番組に出演する女性がSNSのコメントの誹謗・中傷のために自殺する事件が起こりました。
この事件を知った時、ありのパパの心に大きな怒りが出てきました。
「誹謗・中傷のコメントを書いた奴らを草の根を分けても探し出して、全員処罰するべきだ!」との思いがうずまきました。
この感情が出てきた時「別にどうってことない」と思いましたが、そうではありませんでした。
ありのパパは夜ふかしを嗜癖として使っていました。
ACの問題の8番目には「私たちは刺激を嗜癖することに使う」とありますが、まさにこの通りでした。
長い間、世俗的なプログラム(ライフハック)によって夜ふかしの問題を解決しようとしましたが、効果はありませんでした。
習慣が定着するのに必要な期間は行為習慣は一ヶ月、身体習慣は三ヶ月、思考習慣は六ヶ月と言われているのですが、その期間は緊張しているのでうまく行くのですが、その期間が終わると習慣が定着しているはずなのに元の木阿弥(もとのもくあみ)になるのでした。
気づいたことは「自分は夜ふかしを嗜癖として使っているのではないか?」ということでした。
それで「私は夜ふかしに対して無力です。しかし神は私を回復させることがおできになる」と信じたところ、その日から夜ふかしを克服することができました。
その夜ふかしが再び戻ってきたのです。
理由が分かりませんでした。「おかしいな?古い行動パターンを使っていないし、本能も傷ついてないし、感情も暴走していないのになぜ夜ふかしを嗜癖として使うことが戻ってきてしまったのだろうか?」
ミーティングに参加して仲間の話を聴かせてもらっている時に気づきが与えられました。
それは自殺に追い込んだ誹謗・中傷のコメントをした人々に対する怒りの感情は間違いなく不快感情であり、この不快感情から逃れるために夜ふかしという嗜癖を使ったのだということです。
この事実に気づいた時、自分に責任のないことについては静かにそこから離れることを学びました。
自分に責任がないことであっても、怒りや恨みの感情をそのままにすることはアダルトチルドレンや依存症者にとっては命取りになります。
3.アダルトチルドレンがACの問題を使わなくなるための二つの解決策
①共同体から受ける助けと支え
ミーティングに参加して仲間の話を聞くことによって気づきを得ることが出来ます。
これが『共同体から受ける助けと支え』です。
ここで注意が必要なのは一般的なグループセラピーでは効果が限定的ということです。
もちろん慰めなら受けることができます。
しかし「同病相憐(どうびょうあいあわ)れむ」だけでは限界があります。
回復を願うならどうしても12ステップミーティングに参加することが必要になります。
「私、本能を抑圧してたわ」という気づき、「私、感情を否認してた」という気づき、「私、無意識に『ACの問題』を嗜癖として使ってた」という気づきが与えられるのは12ステップミーティングに参加することをおいて他にありません。
②霊的に目覚める
霊的に目覚めることによって「これらの感情(恨み・恐れ・罪悪感・後悔などの不快感情)は自分にとっては贅沢品なのだ」という理解をもつことが出来ます。
よくアダルトチルドレンの人が「私さえ我慢すればよいのだから」と言っているのを聞きます。
しかしこれは自分のことがさっぱりわかっていない人の言葉です。
なぜならアダルトチルドレンほど我慢することによって起きる不快感情が致命的な悪影響をもたらす人々はいないからです。
アダルトチルドレンが人生の中で最も避けなければならないのが「我慢すること」です。
それにもかかわらず漫然と「私が我慢すればいいのだから」などと言うのは寝言に近いです。
けれどもこのような言葉がたやすく口から出てくるのは霊的に目覚めてないからだということが言えます。
霊的に目覚めるとは宗教的な経験ではなく、「私が嗜癖を使うのは不快感情から逃れるためであり、不快感情は本能が傷ついたからであり、本能が傷つくのは自分の性格上の欠点からくる行動パターンのためである」という構造が本当に理解できることを指しています。
これは「あぁ、そうだったのか!」という気づきであり、この理解がお腹にストンと落ちることです。
【まとめ】
アダルトチルドレンがいつまでも『ACの問題』を嗜癖として使う理由は「嗜癖として使っている」ことに気づけないからです。
そのことを気づいていくにはアダルトチルドレンをはじめとする依存症の構造を正確に理解することです。
そうしたらどんな理由があっても一切の不快感情を自分の中にもつことがいかに有害であるかについて理解することができます。
解決策は12ステップミーティングに参加して助けと支えを得ること、霊的に目覚めることです。
この二つがあれば「恨めよ!怒れよ!」という誘いがやってきても「古い手」を使わずに済みます。

◎回復と平安と祝福を祈っています。