アダルトチルドレンの人で「長く自助会に参加しているし、ステップにも取り組んでいるのだが代わり映えしないなぁ」という方はおられないでしょうか?
この記事は代わり映えしない原因を明らかにし、どうしたら回復できるのかを解説しています。
1.アダルトチルドレンと共依存症者は「治る」と「回復」の違いを知ることが大切
「否定的な考え方や無益な振る舞いが私たちの生活からすべて取り除かれることは決して期待できません」(ACのための12ステップ100頁12行目)
アダルトチルドレン(AC)は疑似依存症(パラアルコホーリク)と言われます。
それは脳の報酬系に依存症回路があり、そこから強迫観念と渇望現象がやってくるからです。
強迫観念とは「嗜癖を使うと楽になるぞ!」とウソを教える働きをするものであり、渇望現象とは強迫観念が教えるウソにコロッと騙されるとブラックアウトするまで止めることができない働きをするものです。
依存症回路がいったんできてしまうと無くなることは死ぬまでないと言われています。
要するにアダルトチルドレンを始めとした依存症は治らないということです。
ACの嗜癖には少なくとも13個あります。
興味のある方は下記をご参照ください。

2.アダルトチルドレンの回復を困難にしている二つの理由
①アダルトチルドレンが使う嗜癖は人間関係
ACが回復しようとする時に障害になるものが二つあります。
一つは嗜癖の内容が人間関係嗜癖なので、目に見えないということです。
たとえば共依存を考えると、果たしてこれは病的な共依存なのか、それとも健康なコントロール欲求なのかを見分けるのは簡単なことではありません。
かつて「お母さんはお子さんから手をひいてください」と言われて、その通りにしたところ、お子さんが自殺したという事件がありました。
もちろんお母さんがお子さんから手を引かなくてもお子さんは自死したのかもしれないのであり、無責任に言うことは控えなければなりません。
ただこの問題に対する理解は当事者のグループと医療関係者の見解は異なっているように見えます。
医療関係者は「必要に応じて援助の手を差し伸べることが最も大切なこと」であると言っています。
これに対して当事者グループの人たちは「私たちは子供たちに対して無力なのであり出来ることは何もない。だから子どもたちを手放すことである」と理解しているように思います。
しかしながらこの理解には瑕疵(かし)があると、ありのパパは考えています。
なぜなら前半の「私たちは子どもたちに対して無力である」というのは正しいのですが、後半の「出来ることは何もない」は間違っています。
出来ることは何もないどころか、出来ることはうんざりするほど沢山あるというのが真実です。
病的なコントロール欲求は子供の問題ではなく、親御さんの問題です。
だから自分の問題ばかりを見て、子供の必要(ニーズ)を無視するのは利己的極まりない態度です。
②アダルトチルドレンは治ることを求めてしまう
ACが回復しようとするときのもう一つの障害は治ることを求めてしまうということです。
ありのパパも口では「治ることを諦めました」と言いますが、お腹の中では「治ったらいいな〜」と考えています。
そのことに最近気づきました。
ありのパパは依存症を三つ持っていますが、他の二つは明らかに回復しつつあります。
しかしアダルトチルドレンだけが回復の歩みが遅いのです。
この理由が長らく分かりませんでしたが、最近気づきました。
それは心のどこかで「肩のチリを払ってきれいサッパリ何もなかったような顔をして人生を歩みたい」と願っているのでした。
このような思いを持っているとなぜ回復が滞るのでしょうか?
それは回復とは治ることを諦めた人にだけ実現するものだからです。
例えば誘惑がやってきたとき治ることを諦めていない人は「また誘惑がやってきた。こんな私はダメな人間だ!」と思い、気落ちします。
しかし治ることを諦めた人にとっては「死ぬまで治らないのだから誘惑が訪れたとしても何の不思議があろうか?それがどうした!」ってなもんです。
何事もなかったように頭を垂れ、目をつむり、「私にはできない。しかし神にはどんなことでも出来るからである」と渇望の波が過ぎるまで祈り続けます。
このようにしてシラフの一日を積み重ねていきます。
聖い生涯とはシラフを保つ一日一日の積み重ねに過ぎません。
回復は可能ですが、治ることと回復の違いをわきまえていないとACの回復にとって致命傷となります。
回復とは治らないことを受け入れつつ、ACの嗜癖を使わないで生きる人生です。
治るほうの人生は能天気ですが、回復人生は注意深く歩む慎重な人生です。
誰だって治るほうを選択したいと思います。
しかし治ることを求めている限り決して回復はありません。
人生のどこかで決断が必要です。
3.アダルトチルドレンが回復するのは霊的目覚めと統合作業による
①アダルトチルドレンも回復するために霊的目覚めが必要
「いつかは私たちは古い習慣や振る舞い方が持っている支配力を打ち砕くことが出来るようになります」(102頁17行目)
このいつかとは霊的に目覚めたときです。
これらはなくならないが使わないで生きることが私たちには可能なのです。
では霊的目覚めとは何でしょうか?
これは宗教的な体験ではありません。
そうではなくアダルトチルドレンの構造を俯瞰(ふかん)的に理解し、行動パターンを変え続ける営みを指しています。
ほとんどのアダルトチルドレンにとって「人が怖い」という人への恐れが行動の動機になっています。
この人への恐れにもとづいて不正直だったり、身勝手だったりの行動パターンがでてきます。
ですから解決はこの古い行動パターンを使わず、新しい行動パターンを使うことです。
治らないと認め(ステップ1)、しかし回復は可能であると信じ(ステップ2)、ステップ4・5で古い行動パターンを見つけ出し、新しい行動パターンを考え出します。
そしてステップ6・7で古い行動パターンを使わない決心をし、新しい行動パターンだけを使って生きていく決心と神に助力を求める祈りをします。
②アダルトチルドレンが回復するのは統合作業による育て直し
ACの嗜癖は人間関係嗜癖であり、目に見えません。
だから祈りと黙想によらなければ、果たして自分が使っているのかいないのかを見分けることができません。
そこで祈りと黙想の時間に統合作業を生涯を通して行います。
統合作業とはACの14個の問題を一つ一つ祈りと黙想を通して吟味する作業です。
これを行うと必ず気づきが与えられます。
ありのパパは始める前に「ひとつだけ気づきを与えてください」と祈ってから統合作業を始めますが、今まで気づきが与えられなかったことは一度もありません。
皆さんにも豊かに気づきが与えられますように。
無力を認めつつ、神を信頼して日々の課題に取り組みたいものです。

◎回復と平安と祝福を祈っています。