「なぜか嗜癖が止まらない」と内心いぶかしんでいる方はおられませんか?
この記事は嗜癖を止めるためには依存症の構造を理解することが決め手であるのを明らかにし、依存症の構造を理解するためになすべきことを解説しています。
1.嗜癖を止めるためには依存症の構造を理解することが回復の決め手
依存症を認めていない人の言い訳は決まっています。
「いけないと分かってはいるんだけどね」と「誰にも迷惑かけてないから自分の勝手だ」の二つです。
これは否認からくる詭弁ですが、依存症であることを認めた人にも似た思いはあります。
それは「自分は依存症であることを認めて、自助グループに参加もしているのになぜ嗜癖が止まらないのだろうか?」というものです。
依存症の構造を理解できたら嗜癖は止まります。
もちろん「理解できたら」と言っても、依存症の構造を本当に理解するには頭の理解と腑に落ちる経験の二つが必要です。
頭の理解とは12ステップ本を開いて読むことによって理解することを指しています。
腑に落ちる経験とはお腹にストンと落ちることです。
この二つのバランスを保ちながら、理解する作業を進めることが大切です。
では「依存症の構造」とはどのようなものでしょうか?
次の項目は依存症の構造について説明しています。
2.古い行動パターンをひっくり返して新しい行動パターンにすることが嗜癖を止めるコツ
『依存症の構造』とは「誤った行動パターンが本能(自分自身)を傷つけ、その結果として感情が暴走し、不快感情から逃れるために嗜癖を使う」というもの
①誤った行動パターン
誤った行動パターンは四つの性格の欠点によって形作られています。
それは利己的・不正直・恐れ・配慮の欠如です。
ちなみにありのパパの行動パターンは「人が怖いという人への恐れにもとづいて不正直行動をする」というものです。
皆さんはどのような行動パターンをお持ちでしょうか?
②本能(自分自身)が傷つく
本能とか自分自身とか呼ばれるものは四つのものによって構成されています。
それは共存本能(自尊心/対人関係)・安全本能(物質面/感情面)・性本能(公認/秘密)・将来野心です。
共存本能とは周りとうまくやっていきたいと願う本能です。
これが傷つくと「自分はダメだ」と感じるので自尊心が傷つきます。
当然、対人関係も傷つきます。
安全本能とは自分の生きている環境を安全・安心な状態に保ちたいと願う本能です。
性本能とは子孫を残したいと願う本能です。
将来野心とは前出の三つの本能を将来に渡って満たしたいと願う本能のことです。
私たちが一番大切にしないといけないのは自分自身(本能)です。
しかし私たちは誤った行動パターンによって本能を傷つけてしまいました。
ありのパパの場合ですと「建前ばかりの人間関係だといつかは人生のどこかで人間関係が破綻するのではないか?」と恐れました。
これは将来野心の感情面での安全が傷ついたということです。
これは他人が自分自身を傷つけたのではなく、まさに自分が自分自身を傷つけていたということにほかなりません。
③感情が暴走する
本能が傷つくと感情が暴走することによって「今、本能が傷ついたよ」と私たちに教えてくれます。
感情も四つあります。
それは恨み・罪悪感・恐れ・後悔です。
恨みとはおもに過去の出来事について抱く感情であり、恐れとはおもにこれから起きるかもしれないことについて抱く感情です。
罪悪感とはなすべきことをなさなかったという自責の念であり、後悔とは判断や行動において誤ってしまったという自己憐憫です。
もし感情が暴走することによって本能が傷ついたことを教えてくれなければ、私たちは傷つきっぱなしになってしまいます。
けれども多くの場合において私たちは感情が暴走した時にどのように対処すればよいかを知らなかったので感情を否認しました。
それで不快感情は溜まりに溜まりました。
④嗜癖を止める唯一の方法は根っこの行動のパターンを変えること
「性的渇望から永続的に回復してゆくためには、心の内を裏返しにひっくり返して間違った生き方を正さねばならない」(ホワイトブック49頁17行目)
「心の内を裏返しにひっくり返す」とは古い行動パターンをひっくり返して新しい行動パターンにすることです。
ここまでお読みいただいた方には明らかなように、私たちが嗜癖に陥るたった一つの原因は誤った行動パターンにあります。
ですから嗜癖を止めるには行動パターンを変えることが唯一の方法ということになります。
ありのパパの新しい行動パーンは「すべての人に敬意をもって接することに全力を尽くす」ですが、これは古い行動パターンを裏返しにしてひっくり返したものです。
「人が怖いので不正直な対応をする」⇒「すべての人に敬意をもって接することに全力を尽くす」
この古い行動パターンを見つけ出す作業と新しい行動パターンを考え出す作業が12ステップの4・5の目的です。
3.依存症の構造が腑に落ちるためにすべきこと
依存症の構造を頭で理解するとともに『腑に落ちる』経験が継続的に必要です。
ある一瞬に「分かった!」というのではなく、継続的に腑に落ちる経験をすることが大切です。
①ミーティングでの分かち合い
ミーティングで何も考えないで漠然と話すことを止め、「どうしたら他の仲間の助けになることが出来るだろうか?」と考えて分かち合いをします。
これが依存症者やアダルトチルドレンにとってのメッセージ活動です。
「人を助けることによって自分が助けられる」とは本当のことです。
また他の仲間の話も真剣に聴きます。
「自分の話さえしたら後は知ったことじゃない」というのは「言いっぱなし・聞きっぱなし」ではなく「言い捨て・聞き捨て」でしかありません。
②日々の棚卸しをする
「分かったつもり」が「分かった!」経験になるのは日々の棚卸しを継続的に行うことによってです。
ありのパパも「あいつが悪いに決まってる!今回ばかりは神様も『そうだね。お前は悪くない』と言ってくださるに違いない」と思いつつ、スリップしたくないので日々の棚卸しをするということが続きました。
けれども100日間日々の棚卸しをやって分かったことは「人は変えられない。変えられるのは自分だけ」ということであり、「人は私を傷つけることができない。傷つけているのはいつだってこの私である」という事実でした。
③祈りと黙想
a.祈り
新しい行動パターンを実践する力は神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求める祈りによって与えられます。
「新しい行動パターンを実践できません」という方にお尋ねしたいのは「あなたはそのために祈っていますか?」ということです。
b.黙想
黙想とは何かと言えば「神の意志はどこにあるだろうか?」と自分を頭をフル回転させながら考えることです。
決して頭の回転を停止させることではありません。
アダルトチルドレンの13の問題の統合作業はこの黙想の時間に行います。
というのもACの問題は人間関係嗜癖であり、目に見えないものです。
ですからこれを嗜癖として使っているかどうかは黙想の時間に吟味する必要があります。
統合作業を行わない限り、アダルトチルドレンはいつまで経ってもACの問題行動から卒業できません。
この三つを続けて行っていると必ず行動パターンが変わります。
行動の仕方が変わると考え方と感じ方も変わります。
これが回復するのに十分な人格な変化ということです。
この「回復するのに十分な人格の変化」が霊的目覚めです。
霊的に目覚めたら必ず嗜癖は止まります。

◎回復と平安と祝福を祈っています。