渇望はなくならないが、渇望の力からは解放されるとはどういう意味?

渇望

「回復することと治ることの違いがよく分からない」という方はおられませんか?
この記事は回復と治ることの違いを明らかにし、回復するとはどういうことかを解説しています。

        

1.渇望から自由に生きることができる

渇望

性依存症のテキストであるホワイトブックには「渇望から自由に生きること」ができる(43頁10行目)とあります。

しかし強迫観念と渇望現象から解放されることは生涯ありません。
ではどういう意味でしょうか?
それは「『渇望』から解放されることはないが『渇望の力』から解放されることは可能」という意味です。

依存症は治らない病気と言われます。
それは脳の報酬系に依存症回路がいったんできてしまうと死ぬまで無くなることがないからです。

依存症回路から発せられる強迫観念が教えるウソを見破ることによってシラフを保つことが可能ですが、強迫観念そのものは毎日のように襲ってきます。
そして強迫観念が教えるウソにコロッと騙されてしまえば、続いて渇望現象が襲ってきてブラックアウトするまで嗜癖行為を止めることができなくなってしまいます。

12ステップが教える回復は強迫観念が教えるウソに負けないようにすることであり、渇望現象に対しては効果がありません。

しかし強迫観念に負けなければ渇望現象が襲ってくることもないわけですから、強迫観念に負けない限り普通の人と同じような生活と人生を送ることが出来るようになります。

では回復の期間が長く続くと強迫観念が襲ってくることはなくなるのでしょうか?
これは依存症によっても、また個人によって度合いの異なり方が大きい経験です。
(アルコール依存症の)ビッグブックを読むと、霊的に目覚めてからしばらくすると飲酒への囚(とら)われが消えてしまうと読める書き方がされています。

薬物依存症ですと、中間施設の責任者をやっておられる元薬物依存症者の方は28年間薬物への囚われが続いたとのことです。

では性依存症はどうかというと、ありのパパは霊的に目覚めてから(この記事を書いている時点で)5年ですが、いまだに性的渇望は襲ってきます。
ただそのことで失望するとかはなく、「回復はしているが治ってはいない」という決して忘れてはならない事実を確認するときとなっています。
脇が甘くなるだけ甘くなった時に強迫観念が突然襲ってきてスリップするよりは何ぼかマシと思っています。

これは別の言い方をすると、クレームばかり付ける客がいなくなることはないが、クレームを付ける客をうまくあしらうことが出来るようになるということです。

        

2.自分に無力を認め、霊的目覚めによって回復可能

霊的目覚め

渇望(強迫観念)そのものが無くなることはなくても、その力(影響力)から解放されることが可能です。
これは強迫観念と渇望現象に対する無力を自分に認め、霊的目覚めによって実現されます。

「自分に無力を認めて、渇望の力から解放される経験(霊的目覚め)により回復と癒やしが訪れる」(43頁16行目)

ホワイトブックに興味深く訳されている部分があります。
それは「自分の無力を認める」ではなく「自分に無力を認める」という部分です。
私たちは分かち合いのときとか仲間と話すときはいとも簡単に「私は無力です」と言います。
しかし自分自身に対しても同じように無力を認めているでしょうか?

ありのパパはそうではありませんでした。
「いや、何ならいつでもやってやるで!」みたいな感じが心のどこかに潜んでいます。
一番大切なことは自分自身に対して無力を認めることです。
そうしたら「戦い・抵抗」が止みます。
いつまでたっても自力・我力でやろうとするのは自分自身に無力を認めていないからです。

皆さんはいかがでしょうか?

        

3.回復とは自分自身・神・人々とのつながりが修復されること

人々とのつながり

「自分自身とのつながりが修復され、人々とのつながりが修復され、神とのつながりが修復される」(43頁17・18行目)

上記の文章は回復した状態を描いています。
ステップ1で自分に無力を認めることで自分自身との和解が実現します。
それまでは自力・我力で自分の問題を解決しようとして、自分自身という存在が悲鳴をあげていました。

この悲鳴は心身の不調や病気として現れることがあります。

次にステップ2で自分を超えた大きな力を信じることで神との和解が実現します。
それまでは「神なんか信じる奴の気がしれない」と思っていたのですが、自分に無力を認めたら自然に信じることが出来るようになりました。

そしてステップ3で行動のプログラムに取り組む決心をすることによって人々との和解に踏み出します。
それまでは「私は悪くないにもかかわらず人々から傷つけられてきた」という被害者意識をもって自分の人生を生きてきました。
しかし棚卸しに取り組むことによって「えっ、自分の側に問題があったの?」と気づきが与えられます。

さらに新しい行動パターンを使い、埋め合わせ作業をする時に人々との間に『平和の帯(おび)』によってつなぎ合わされている自分を発見するようになります。

これが12ステップが提供する霊的目覚めがもたらすものであり、回復の中身です。
この状態では本能が傷つくことはなくなり、感情の暴走も止まります。
私たちの人生で初めて嗜癖を使う必要がなくなった瞬間です。

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◎回復と平安と祝福を祈っています。

        

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