人の苦しみのほとんどは人間関係によるものです。
ここに人間関係の苦しみから私たちを解放する方法があります。
それが日々の棚卸しです。
この記事では日々の棚卸しの具体的なやり方を解説しています。
1.人間関係の対処の仕方を知っていると人生はうまく行く!
「私たちと同じように人間的痛みに苦しんでいる人に対して怒ったり憎んだりするのは的外れということに気がつく」(EAの12ステップ63頁16行目)
先日、ありのパパの母の葬儀を行いました。
94歳の生涯でした。
キリスト教式ではありましたが実質は12ステップミーティングのやり方で告別式を行いました。
母の兄弟たちに分かち合いをお願いしたのですが、その中で次のようなものがありました。
「私が姉(ありのパパの母)に向かって手を挙げたようなときでも、何事もなかったようにスッ〜とどこかに行ってしまっていた」
この分かち合いを聞いてありのパパは合点がいくところがありました。
それは母は解決策を持っていなかったということです。
兄弟という対等の立場の者に対しても自分の意見を述べることが出来ず、ただその場からいなくなるという方法しか取ることが出来ませんでした。
母は大人になってからも自分の意見を述べることが出来なかったのですが、その場からいなくなるというやり方の代わりに愚痴・人の悪口という手段を使うようになりました。
母は朝から晩までずっと愚痴を言っている人でした。
介護施設に入所してからは私が面会に行くとその時間の全部を使って介護職員を口を極めて罵っていました。
不快感情を正しく取り扱わず、単なる泣き言・毒吐きを嗜癖として使っていると必ず本人の人生をダメにします。
また本人の人生をダメにするだけでなく、家族の人生にも悪影響を与えます。
ありのパパの二人の姉は統合失調症を発病し、閉鎖病棟に生涯を通していなければならない身となりました。
(養育者が毒親であっても精神的病を発症しない人は多くいます。この事実はどのような条件が揃うと精神的病を発症するのか未だに分かっていないということを明らかにしています)
このことを思うとき解決策を持っていることがいかに重要かを思い知るのです。
では解決策とは何でしょうか?
人が持たなければならない解決策は唯一つです。
それは日々の棚卸しです。
日々の棚卸しのやり方さえ知っていたら、人生を不快感情なしに生きることが出来ます。
2.まず自分のうちに不快感情があることに気づくのが先決
不快感情は四つあり、それは恨み・罪悪感・恐れ・後悔です。
多くの人が自分が不快感情を持っていることに気づいていません。
ありのパパも実は気づいていませんでした。
「ムッとする」とか、「嫌な気持ちになる」とかはありましたが、「それがどうした!」みたいな感じで問題を感じるところまでいきませんでした。
その理由は取りも直さず自分自身の愛ある親の役割を放棄していたからにほかなりません。
生物学上の親が毒親だとばかり思っていたのが、実はこの「自分」という存在が「自分自身」にとって一番の毒親だったのです。
12ステップに取り組むようになって初めて自分の中に不快感情があることに気づくことが出来ました。
そして教えられたとおり、自分の中に不快感情が発生するたびに日々の棚卸しを行いました。
このような営みを100日間繰り返したあたりで「自分の中にも不快感情がある。あるどころではないぐらいにある!」と気づけました。
3.日々の棚卸しの具体的なやり方
不快感情を特定する⇒傷ついた本能を特定する⇒自分の側の過ちの本質を明らかにする
上記のやり方をバカの一つ覚えのように繰り返します。
決してどれかをスルーしてはいけません。
不快感情を特定しないと自己受容しないままの状態で棚卸しをやることになり、うまく行きません。
①傷ついた本能
傷ついた本能を特定しないと、棚卸しの客観性が担保されません。
これは共依存傾向のある人には致命的です。
なぜなら「どうせ私が悪いのよ!」と共依存の人は思っているからです。
本能には共存本能・安全本能・性本能・将来野心があります。
共存本能とは周りとうまくやっていきたいと願う本能ですから、これが傷つくと「私ってダメなやつだな」ということになり自尊心が傷つきます。
同時に対人関係も傷つく場合が多いようです。
安全本能とは自分が生きている環境を安全・安心な状態に保ちたいと願う本能であり、感情面での安全と物質面での安全があります。
性本能とは子孫を残したいと願う本能であり、公認の性関係と秘密の性関係があります。
将来野心とは上記の本能が将来にわたって充足することを願う本能です。
②自分の側の過ちの本質を明らかにする
不快感情を特定し、傷ついた本能を特定して初めて、自分の側の過ちの本質を取り扱うことが出来ます。
多くの方の棚卸しをお伺いしましたが、うまく行っていないと思われるときはこの順番を守っていないときがほとんどでした。
性格上の欠点は四つあり、利己的・不正直・恐れ・配慮の欠如です。
これもひとつひとつ見ていきます。
多くの場合において恐れが動機となって不正直な対応をするパターンと、利己的動機が原因となって配慮の欠如が現れるパターンに分かれるようです。
日々の棚卸しのときは利己的動機に当てはまることが多いようです。
理由はステップ4・5で恐れが動機となって不正直な対応するパターンは処理済みになり、残っているのが利己的動機からくる配慮不足パターンだからです。
この四つの短所は生きている限り無くならないかもしれません。
しかし新しい行動パターンで上書きすることにより、今このときから全く新しい人生を生きることが可能です。
だからこそ新しい行動パターンを考え出すことが生命的に重要です。
自分の欠点が分かっただけでは問題解決の半分にしかなりません。
ご自分のマインドにピッタリ来る行動パターンを身に付けてこそ、人生を全く新しくすることが出来ます。
◎回復と平安と祝福を祈っています。