12ステップの棚卸しに抵抗を感じている方が多くおられるようです。
この記事ではACが棚卸しに抵抗を感じる真の理由を明らかにし、棚卸し作業をやり遂げるために必要なことを解説しています。
1.棚卸しはアダルトチルドレンが自分自身に向き合う唯一の方法
アダルトチルドレンは否認を武器にして人生を生きてきたと言えます。
「私たちの子供時代は悪夢のようであり、生き延びるすべとして自分の感情を心の奥底に閉じ込めた。そのため大人になった今でも自分が何を感じているのかわからない(否認)」(ACの問題の10番目)
大人になっても知らず知らずのうちに否認という嗜癖を使っているのがアダルトチルドレンです。
そういう訳で12ステップに取り組むとステップ4・5の棚卸し作業に対して大きな抵抗感を感じることになります。
なぜなら棚卸し作業を通して自分自身に向き合ってしまうと否認という嗜癖を使うことができなくなってしまうからです。
ありのパパは40歳の時に12ステッププログラムの存在を知り、「これこそ私の問題を解決するものだ!」と強く感じました。
しかし実際に徹底してプログラムに取り組んだのは、それから18年後の58歳のときでした。
なぜ18年間も先延ばしをしたかというと、その当時は理由が分かりませんでしたが、今は明白に分かります。
それは否認を解除するのが嫌だったからです。
しかし90歳まで生きるとすると、なんとか三分の一は回復した人生を生きることができると考え、一大決心をしたというわけです。
まさに「自分自身に向き合いますか?それとも否認という嗜癖を使い続けて人生を棒に振りますか?」という感じです。

2.人生が変わるまで何回でもやる
12ステッププログラムの心臓部はステップ4・5の棚卸し作業にあると、ありのパパは考えています。
ステップ1から3までは棚卸しをするための準備作業です。
そして棚卸しによって見つけ出した古い行動パターンを使わない決心と新しい行動パターンを使う決心と実践のステップ6・7へと繋がっていきます。
同時に棚卸し表は埋め合わせ表にもなりますので、棚卸し作業をやり終えた人はスムーズに埋め合わせ作業へと移行することができます。
このように棚卸し作業はプログラムの心臓部であり、軸(じく)に当たる部分です。
棚卸し作業がうまく行けば、あとのステップもうまく行き、結果として人生は変わります。
では「あんまり代わり映(ば)えしなかった」という場合はどうしたら良いでしょうか?
そうです。人生が本当に変わるまで何回でもチャレンジすべきです。
ありのパパは二回やりました。
一度目はアダルトチルドレンの12ステップのやり方で。
その際には自分の性格上の欠点である恐れと不正直が養育者との関係の中で受け取ったものであることに気づくことができました。
しかし気づけてよかったですが、人生は1mmも変わりませんでした。
それで二回目にチャレンジしました。
二回目はリカバリーダイナミクスという中間施設向けに改編された12ステッププログラムによるやり方でした。
これはAAのビッグブックに書かれてあることを忠実に実践するものでした。
二度目の棚卸し作業では恐れと不正直という短所を『この私』がどのように使ったのかに焦点を当てました。
焦点を当てたと言っても、実際に当てたのはありのパパではなく、シェアリング・パートナーだったのですが。
その結果、自分自身(本能)を傷つけていたのは他の人々ではなく、他ならぬ自分の性格上の欠点からくる行動パターンであったことに気づくことができました。
棚卸しの目的はここに気づくことにあります。
ですから取り組む前から「何のためにやるのか?」ということをしっかりと明確にしておくことがとても大切です。
これをわきまえていれば、棚卸し作業が一回で終わるのはもちろんのことです。
3.棚卸しには勇気が必要
実際問題として否認を手放すことは可能でしょうか?
ありのパパは不可能だと考えています。
これが出来ると考えるか、出来ないと考えるかで道は別れます。
出来ると考える人はいつまでたっても棚卸しに取り組むことが出来ない状態を続けていくことになるでしょう。
これに対して出来ないと考える人は「私には出来ない(ステップ1)。しかし神には何でも出来るからである(ステップ2)」と神を信じつつ、取り組む決心をします(ステップ3)。
自分の無力を認め、神を信じたからと言って、棚卸し作業が苦痛なしに出来るわけではありません。
しかし他の方法に比べて最小限の苦痛ですみます。
「なんだ坂、こんな坂、えっちらおっちら!」という感じでやります。
大丈夫です。いつか必ず終わりが来ます。
ありのパパは心理的に息をしないで棚卸しをやったのですが、最後の項目をやり終えたとき「えっ、もう終わったの?」と感じたほどでした。
やっている最中は感情の傷口が開き、ヒリヒリします。
でもそれは当然のことです。
長期間にわたって自分自身に向き合うことをしないで人生を生きてきたツケを今払っているのですから。
そしてこの経験がこれからの人生の原則となります。
不快感情が暴走したとき安直に嗜癖に走るのではなく、静まって自分自身を見つめ「どの感情が暴走したのか?」「どの本能が傷ついたのか?」「自分の側の過ちの本質は何か?」をひとつひとつ丁寧に順番に見ていきます。
上記の日々の棚卸しはステップ4・5の棚卸し作業をやり抜いた人だけに可能なものです。
明けない夜はなく、止まない雨はありません。
どうぞ、全ての仲間のみなさんが棚卸し作業に取り組むことによって霊的に目覚めることが出来ますように。

◎回復と平安と祝福を祈っています。