依存症から回復するにはどうしたらよいのでしょうか?
ありのパパは依存症が持っている特有の構造を理解するのが先決と考えています。
この記事では特有の構造とはどんなものかを明らかにし、回復するための本質的な解決策について書いています。
1.依存症は不快感情から逃避するために嗜癖を使う病気
依存症(アダルトチルドレンや共依存症を含む)から回復したいと願うなら、どうしても依存症が持っている特有の構造を理解することが大切です。
それは依存症は不快感情から逃れるために嗜癖を使う病気であるということです。
これはあたかも右の手が痛いので左の手を傷つけて右手の痛さを感じなくするのと似ています(これがリストカットの理由でもあります)。
このことを真に理解できれば問題解決まで半分の道のりを来たことになります。
なぜなら嗜癖を使いたくなったとき、「今私は嗜癖を使いたいと感じているが、自分自身の中に不快感情は溜まっているだろうか?」と問い掛けることができるからです。
嗜癖を使いたいという感情が襲ってくるのは自己意志が弱いからでも人や環境に問題があるわけでもありません。
ましてや生育歴に原因があるわけでもありません。
本当の原因は脳の報酬系に依存症回路ができてしまい、そこから強迫観念と渇望現象が襲ってくるのです。
だから渇望の波が襲ってきた時、いかに自分を責めても効果はありません。
ただ「あぁ、脳の報酬系にある依存症回路から強迫観念が襲ってきたのだな」と受け止めるだけです。
そして頭(こうべ)を垂れ、目をつぶって「私にはできない。しかし神には何でもできるからである」というステップ1と2の祈りを唱えます。
3回唱えて頭を上げると、渇望の波ははるか向こうへ過ぎ去っています。
過ぎ去っていなければ再び頭を垂れ、目をつぶってステップ1と2の祈りを唱えます。
こうやって生涯を通してシラフを維持することが可能です。
2.嗜癖の対象は買い物・摂食・薬物・アルコール・不健全な性行動・ギャンブル・仕事など
依存症は不快感情から逃れるためにアルコールや薬物(物質依存)やギャンブル・性行動・買い物・過食・万引きなど(行為依存)や偏った人間関係のあり方(思考習慣の依存)を嗜癖として使う病気です。
かつてはアルコール依存症者と薬物依存症者が一緒にミーティングを行うと、うまくいかないと言われました。
それで薬物依存症者だけのミーティングを始めたということがダルク創設者が書かれた書物にありました。
しかし現在では例えばEA(感情・情緒に問題を感じる人々の自助グループ)ですとアルコール依存症や薬物依存症者、そして不安障害・うつ・双極性障害の方などが普通に参加しておられます。
もちろんこれは感情・情緒という共通の問題を抱えているからということが大きいです。
それとともに依存症は不快感情から逃れるために嗜癖を使う病気であるという共通理解がある程度行き渡った結果であるとも言えます。
要するに嗜癖対象が何であれ、それは現れに過ぎず、本質的部分は皆同じであるということです。
この理解が依存症本人だけでなく、社会一般にまで拡がりますようにというのが、ありのパパの願いでもあります。
3.依存症回復のための本質的解決策がある!
不快感情から逃れるために嗜癖を使うと理解できたら、嗜癖を使わないための本質的な解決策は不快感情そのものを自分のうちに溜めないことであると自ずと理解できます。
12ステップでは「問題の原因を正確に理解できたら、解決策も自ずと明らかになる」と言われています。
不快感情を溜めないための最も効果的な方法が12ステップの棚卸し作業です。
不快感情が溜まるのは感情が暴走したからであり、感情が暴走したのは本能が傷ついたからに他なりません。
ではなぜ本能は傷ついたのでしょうか?
私たちは「他者が自分を傷つけた」と思い込んでいます。
しかし棚卸し作業をやる中で自分が恨んだり恐れたりしたのはほとんどの場合において自分の側の不正直さが原因であったことに気づきます。
「もしその場で自分の本心を言うことができていたら相手を恨むことはなかっただろう。相手を恨むということは自分の感情が暴走した結果であり、自分の本能が傷ついたからだ。ということは自分の不正直行動が自分を傷つけたことにならないか?」
このことに思いが至ると視点の転換が起きます。
これが「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ」ということでもあります。
依存症からの回復の鍵は①依存症特有の構造を理解すること、②本質的な解決策を実行することの二つであるようです。
◎回復と平安を祈っています。