伝統の6には「私たちの本来の目的から外れてしまわないためである」とあります。
『本来の目的』とは何でしょうか?
この記事では、ありのパパが考える『本来の目的』について書いています。
1.ストレスの防波堤は共同体から受ける助けと支え
自助グループの本来の目的の一つはミーティングに参加した人々がステップの1と2を踏み続けることが出来るようにすることです。
私たちは弱い存在であり、自分一人だけでは無力を認め続けることも、自分を超えた大きな力が私たちを健康な心に戻してくれると信じ続けることも困難です。
ミーティングに参加してほかの仲間の話を聴くことによってステップの1と2を踏み続けることができます。
例えばスリップした仲間の話を聴けば、「私も無力である」と自分の無力を認めることが容易(たやす)くなります。
また反対にうまくいっている仲間の話を聴けば、「私も回復したい」と願い、自分を超えた大きな力が私たちを健康な心に戻してくれるとの信頼を更新することができます。
これは自分一人ではできないことではないでしょうか?
うまくいっているときは「私も大した者ではないか!」ということで無力を認めるところではなく天狗になります。
スリップしたらしたで「どうせ何したって無駄さ!」と無力はすぐさま無気力に変質します。
また神への信頼は恨みへと変質します。
「神は私を呪っているのではないか?」というわけです。
生涯にわたって無力を認め続けること、健康な心に戻してくれると自分を超えた大きな力を信じ続けることは、共同体に参加することによってのみ可能です。
2.心の健康は霊的に目覚めることによって実現する
霊的に目覚めるというと何かおどろおどろしい感じがします。
しかし実際には大変合理的な教えであり、少しも胡散臭(うさんくさ)いところはありません。
12ステップが教える霊的目覚めとは人格が変容することです。
人格の変容とは考え方・感じ方・行動の仕方(行動パターン)が変わることです。(『ACのための12ステップ』44頁、下から3行目)
ではなぜAC・共依存症・依存症から回復するために行動パターンが変わる必要があるかといえば、これらの病気は不快感情から逃れるために嗜癖行動を使う病気だからです。
そしてなぜ不快感情が溜まるかといえば本能が傷ついたからです。
本能が傷ついた本当の原因は自分の性格上の欠点から来る行動パターンでした。
性格上の欠点は利己的・不正直・恐れ・配慮の欠如の四つあります。
人によってこれらの性格上の欠点が様々に組み合わされて、その人独自の行動パターンができあがります。
そういう訳で、行動パターンを変えれば本能が傷つくことはなくなり、本能が傷つかなくなれば感情が暴走することもなくなります。
感情の暴走が止まれば不快感情から逃れるために嗜癖を使う必要もなくなります。
今お話したような依存症の構造(アダルトチルドレン・共依存も含む)を理解することなしに、カウンセリングや瞑想を使って嗜癖行動から解放されようとすることはまるで魔法を使って回復しようとでもするかのようなものです。
この依存症の構造を理解することを含む霊的に目覚めることが唯一の解決策であるのを伝える使命が自助グループにはあります。
というわけで自助グループの『本来の目的』とは、ステップ1と2を踏み続けることができるミーティングを提供すること、霊的に目覚めることができるようになるために12ステッププログラムを伝えることの二つにあると言えそうです。
私たちのミーティング・共同体は果たしてその使命を果たしているでしょうか?
◎回復と平安を祈っています。