アダルトチルドレンの日常生活を困難なものにしているのが怒り・恨みの感情です。
そこでこの記事ではACが恨み・怒りを感じる真の理由を明らかにし、恨みや怒りの感情から解放されて自由に生きることが出来る方法を解説します。
目次
1.アダルトチルドレンが人を恨む本当の理由
人が怖いと自分の願いを表明できません。
それで知らず知らずのうちに相手に対して「言わなくても分かれよ!」という思いを持つようになります。
もちろん相手はこちらの本心など知りようがありませんから、アダルトチルドレンが願ったような結果になることはまれです。
その結果、私たちは相手を恨むようになります。
「あの野郎、私を踏みにじりやがって〜」という感じです。
これを明確に文章化すれば、ほとんどの方がそんな考えを持つこと自体が誤りであることを認めるでしょう。
しかし日常生活で起こるほとんどのことは意識されることなく無意識の領域で起きています。
そして無意識の領域で起きていることが私たちの本能を傷つけ感情を暴走させる原因になっているのです。
2.人を恨むことからの解放
どうしたら人を恨むことから解放されるでしょうか?
それは問題を切り分けることです。
相手に期待するのは間違ったことではありません。
しかし相手が自分の期待したとおりに動かないといって失望したり怒ったりするのは当然ではありません。
私たちは両極端に揺れやすいです。
100%相手が自分の思った通りに動くことを期待したり、その反対に期待することを100%やめてしまったりと両極端に振り子が動きます。
しかしこの問題の解決の処方箋は中庸を選択することにあります。
私たちは生きている限り他者に対して期待し続けます。
たとえば日本に住んでいれば時刻通りに電車がやってくるのを期待するのは当然です。
だから期待してよいのです。
しかし外国に住んでいるなら電車が時刻通りにやってくる国など本当に少ないのです。
先日も人身事故のために電車が6分遅れて到着することを伝えるアナウンスがあったとき、ありのパパの前に並んでいた人が「ふざけるなよ!」と言いました。
6分遅れただけで自分の感情を暴走させるのはやむを得ないことでしょうか?
いいえ、決してそうではありません。
この瞬間、恨みの感情から怒りが出て来ます。
この結果、恨み・怒りという不快感情から逃れるために嗜癖を使うようにさせる力が増大します。
電車が遅れるたびに嗜癖を使っていたら、私たちの人生が思い通りに生きていけなくなるのは当然です。
3.具体的な処方箋(しょほうせん)
唯一の処方箋はスポットチェックを行うことです。
スポットチェックとは日々の棚卸しのことです。
上記の電車の例を使って解説します。
①どの感情が暴走したのか?
不快感情には恨み・罪悪感・恐れ・後悔がありますが、この場合だと怒りは恨みから出てきますから、恨みということになります。
「あぁそうか。自分は今、恨みの感情が暴走しているんだな」という感じを味わいます。
②どの本能が傷ついたのか?
本能には共存本能・安全本能・性本能・将来野心があります。
この場合ですと「電車は時間通りに運行されなければならない。それをしないのは私をバカにしているせいだ」と感じると共存本能の自尊心が傷つきます。
この部分を読まれて、皆さんは「電車が遅れるだけで自尊心が傷つくなんてありえない!」と思われるかもしれません。
そのような方に問い掛けたいのは「ではなぜその人は怒っているのだと思いますか?」ということです。
案外、人間というものはとんでもないことで怒りを感じるものなのです。
③自分の側のあやまちの正確な本質は何か?
傷ついた本能が特定できたら今度は、この問題における自分の側のあやまちの正確な本質は何かを見ていきます。
性格上の欠点には利己的・不正直・恐れ・配慮の欠如があります。
これをひとつひとつ見ていきます。
「利己的」ではなかったでしょうか?
「不正直」な対応ではなかったでしょうか?
「恐れ」が動機になかったでしょうか?
「配慮の欠如」はなかったでしょうか?
一つの解釈としては「人々や組織(電車の運行を含む)は私の期待した通りに動くべきである」という思いに反した現実に直面すると、メラメラと怒りの感情が湧き上がってくるなら、それは利己的ということになります。
なぜなら期待するのは日本に住んでいるなら当然ですが、いつもいつも期待したとおりに運行されると考えるのは根拠薄弱だからです。
その根拠薄弱なことを当然であると考えるのは利己的だからです。
ここまで来ると「なぁ〜んだ。自分が怒っているのは相手に問題があるからだとばかり思っていたのに、実は自分自身の性格上の欠点からくる行動パターンが原因だったのか!」ということに気づきます。
そうすると怒り・恨みの感情は消え失せ、自分のことが何だか笑えてさえ来るようになります。
4.行動パターンを変えることが本質的な解決策
12ステッププログラムの前提は「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ」というものです。
これは他人を変えようとしている限り、自分の人生を相手に支配させているようなものだからです。
たとえばアダルトチルドレンは親への恨みを抱いていますが、この恨みへの直接的な解決策は「親が謝る」ことです。
しかしこの地上に謝ってくれる親が何人いるでしょうか?
そんなにいないと思います。見つけるのは海岸で特別な砂粒を見つけるぐらい難しいでしょう。
そうすると親が謝るまでアダルトチルドレンの回復はないということになると絶望するほかはなくなります。
そこで違う解決策を求めます。
それは自分の側にあるあやまちを正すことで生きづらさを解決することです。
この方法が自分自身の性格上の欠点からくる行動パターンを変えるという方法なのです。
◎回復と平安を祈っています。