「育て直し」というワードで検索すると[子供の育て直し]についての記事が多く出てきますが、この記事はアダルトチルドレンが大人になってから自分自身を育て直すことについて解説しています。
1.アダルトチルドレンの育て直しとは自分が自分自身を大切にすること
育て直しとは何かと言うと、それは自分が自分自身を育てることです。
自分自身とは分かったような分からないような言葉ではありますが、これは本能とも呼ばれます。
12ステップが教える本能は一般的な本能とは異なるので注意が必要です。
- 共存本能(自尊心&対人関係)
- 安全本能(物質面&感情面)
- 性本能(秘密の性関係&公認の性関係)
- 将来野心(先の三つの本能が将来に渡って充足することを求める本能)
育て直しというとなにか大変そうな印象を受けますが、全然そんなことはありません。
子ども時代に養育者から受けるべきであった、愛をもって接してもらうこと、人間関係の基本を学ぶこと、自分自身を大切にすることなどを、大人になってから自分が愛ある親になって自分自身に理解させていく過程です。
大変なことは少しもありませんが、ただしこれは生涯続く過程です。
「ここまでやったからもういい」ということのない作業です。
2.育て直しの前に必要なのは親替え
育て直しをする前に親替えをやっておく必要があります。
親替えとは要するに親離れをして神の意志と協働で自分が自分自身の愛ある親になることです。
なぜアダルトチルドレン(AC)にとって親替えが重要かと言うと、それは親離れしていないACが多いからです。
これは甘ったれているということではありません。
中年になっても依然として親への恨みを持ち続けているとしたら、それは親に支配されている証拠です。
親に支配されているということが親離れしていないということなのです。
間違ってはならないのは親が子供を支配しているのではなく、大人になったACが依然として親に自分自身を支配させているのだということです。
親が子供時代の自分にやったことを自分が回復できない理由にしているのです。
理由はそうしているほうが楽だからです。
しかし自分が自分の人生の主役にならない限り、人生を棒に振ることになります。
ではどうしたら親の支配から脱することが出来るでしょうか?
親替えする以外に効果的な方法はありません。
親替えの具体的方法
12ステップの3で「自分の意志と生き方を自分なりに理解した神の配慮に委ねる決心を」します。
これがアダルトチルドレンにとっては親替えになります。
養育者も、そして自分も自分自身の愛ある親になれませんでした。
それで気が付いてみれば「自分の人生が思い通りに生きていけなくなって」いました。
ある人はACになり、ある人は依存症になりました。
または共依存的生き方に人生を翻弄されている人もいます。
ステップ1で自分ではどうにもならないと「自分には出来ない」ことを認めます。
ステップ2では「しかし神には何でも出来るからである」と自分を超えた大きな力が私たちを健康な心に戻してくれると信じます。
ステップ3ではステップ4から12までの行動のプログラムに徹底して取り組む決心をします。
4・5・10の棚卸しも、6・7・11の新しい生き方も、8・9・12の埋め合わせも自分だけの力では実践できません。
これらの作業はみな神と二人三脚でやっていくことが必要です。
これを「すべてのステップを神の恵みを知る機会とする」と言います。
そうしないと「4・5で疲労困憊し、6・7で途方に暮れ、8・9でいい気に」なってしまいます。
3.親への恨みを手放す
養育者(毒親)は私たちに間違った生き方(行動パターン)を教え込み(すりこみ)ました。
大人になってからそのことに気づき、ACは親を恨むようになります。
多くの場合においてその恨みは正当なものです。
ですから棚卸しをしても親への恨みはなくなりません。
なぜなら棚卸し作業とは自分の側の対応に誤りがあったのに気づくことによって相手への恨みを手放す作業だからです。
果たして子供時代のあなたの対応に過ちはあったでしょうか?
この質問に多くのアダルトチルドレンが「はい、自分にもありました。自分がなんとかできる余地がありました」と答えます。
その答えを聞くたびにありのパパは内心で「こりゃ、重症だわ!」と同病相憐れむのです(笑)。
言っておきますが、世界中で誰一人として「なんとかできる」子供などいないのです。
「子供時代の私が、自分の本音を言えたら良かった」と言ったACがおられましたが、子供の中で一人として自分の本音を正確に大人に伝えることができる子供などいません。
ACが回復する際はこのところに目が開かれることが回復の前提になります。
なぜなら「出来ないことと、できること」の区別があやふやだと霊的に目覚めた後も同じ過ちを繰り返してしまうからです。
①親への恨みを手放す具体的方法
「じゃ、仕方ないね。親への恨みは一生このままだね」というわけには行きません。
なぜなら恨み・罪悪感・恐れ・後悔の不快感情がある限り、ACの13の問題行動を嗜癖として使おうとする誘惑(強迫観念と渇望現象)が力を持ったままだからです。
対応策は二つあります。
一つは「変えられないものを受け入れる落ち着きを、変えられるものは変えていく勇気」を神から与えられることです。
養育者にされたことについては「変えられないもの」に該当します。
しかし自分のこれからの人生・生き方を変えることは可能です。
これは「変えられるもの」に当たります。
「親にされたことは仕方のないことだったんだ」と本当に思えるなら恨みは消えてなくなります。
これは許すというのとはちがうことです。
言葉を変えて言うと「もうそのことに頓着(とんちゃく)しない。私は自分自身の回復に専心する」ということです。
現代の視点から振り返るとどんな毒親も「私の親は依存症だった」「私の親は発達障害だった」「私の親はパーソナリティ障害だった」という可能性があることに気づきます。
仮に自分の親が依存症者だった場合、AAはまだ日本に上陸しておらず、医療機関も打つ手がない状態だったことを考慮すると、「私の親はフラフラになりながらもご飯を作ってくれた」という事実に気づきます。
そうすると100%の毒親などではなく、そうせざるを得ない事情があったことが分かると「世の中には仕方のないこともある」という理解に導かれます。
これが親への恨みを手放すということです。
②行動パターンを変える
もう一つの対応策は行動パターンを変えることです。
行動パターンを変えることが生涯を通じて自分自身を育て直していくことに繋がります。
例えば今までなら「黙っている」ということを通して自分を守っていました。
しかしこの守り方はかえって自分自身に害を与えました。
なぜなら他の人は自分の意見を述べることによって自分の主張を通しますが、黙っているというやり方は周囲に真の理解者がいる場合は有効ですが、そうでない場合は不利益しかもたらしません。
その結果、私たちは自分の思い通りにならないことに対して不満を持ち、人々を恨むようになります。
しかしよく考えてみれば自分の希望通りにならなかったのは自分が黙っていたのが原因ではありませんか!
この問題を指摘しているのが「アダルトチルドレンの問題」の7番目です。

行動パターンを変えるとは古い行動パターンの出番をなくすことです。
古い行動パターンを使わないことにフォーカスすると必ず失敗します。
なぜなら私たちは無力だからです。
それで違う手を使います。
それが古い行動パターンの対極にある新しい行動パターンを100%全力で行うことです。
自己意志にはある特徴があり、それは一つのことに集中すると他の考えを締め出してしまうという特徴です。
新しい行動パターンを100%全力で行うとき、心の中から性格上の欠点である利己的・不正直・恐れ・配慮の欠如が締め出されます。
こうやって私たちは生涯を通じて新しい行動パターンを実践することによって古い行動パターンを使わないで生きていくことが可能になります。
この営みを生涯を通じて行っていくと、自分自身の育て直しが進んでいるのに気づくときが必ずやってきます。
【まとめ】
アダルトチルドレンの育て直しとは自分自身に愛をもって接すること、人間関係の基本を学ぶこと、自分自身を大切にすることなどを実践することです。
育て直しの前に必要なのが親替えです。
親替えとは親離れをして神の意志と自己意志が協働で自分自身の愛ある親になることです。
親への恨みを手放さないと不快感情はなくならず、病的な人間関係を嗜癖として使い続ける羽目に陥ります。
親への恨みを手放す方法は二つあり、一つは毒親だとばかり思っていたが実は依存症だったり、発達障害だったり、パーソナリティ障害だったのではないかと視点を変えることです。
もう一つは新しい行動パターンを使い続けることによって育て直しを促進することです。

◎回復と平安と祝福を祈っています。