「アダルトチルドレンの問題」の最後の文言は12ステップがACの回復の役に立つという主張の根拠となっています。
この記事ではACが依存症の一種であることを明らかにし、ACも12ステップを使って回復可能であることを解説します。
「依存症は家族を巻き込む病気である。私たちは擬似依存症者となり、依存症の特徴である強迫観念と渇望現象を受け継いでいる」(アダルトチルドレンの問題行動の14番目)
1.依存症は家族を巻き込む病気
依存症は家族を巻き込む病気とはどういう意味でしょうか?
それは家族の中に依存症者がいると、その人に振り回された結果としてパートナーは共依存症者になり、子供はアダルトチルドレンになるということです。
なぜそんなことになるかというと、依存症は否認の強い病気であることが理由に挙げられます。
アルコールなら家族が飲むのを止めさせようとしても「俺は単なる大酒飲みに過ぎない」という見え透いた言い訳をします。
ギャンブルなら「もうやらない。今度だけ助けてくれ」と尻拭いを懇願します。
買い物依存症なら何回も何回も借金をこしらえ、そのたびに尻拭いをさせられます。
家族は依存症者に振り回される過程で「自分に問題があるから、あの人はいつまで経っても治らないのだろうか?」と自分を責めたり、「自分がもっとしっかりしなければ」と本人が負うべき責任を背負い込んでしまいます。
その結果としてどこから見ても明らかな共依存症者・アダルトチルドレンが出来上がることになリます。
2.擬似依存症者とは何か?
擬似依存症者とは物質依存や行為依存を持ってはいないけれど、依存症回路を脳の報酬系に持っている人のことを言います。
物質依存とはアルコールや薬物を指します。
行為依存とはギャンブルや買い物依存や性依存を指しています。
行為依存にはこれ以外にも摂食障害や癇癪持ち(怒り依存症)などがあります。
共依存症は人間関係に依存している依存症です。
ではアダルトチルドレンは何に依存しているかというと「アダルトチルドレンの13の問題行動」に依存しているのです。

「擬似」とは物質や行為などの目に見えるものに依存していないだけで依存症者そのものの生き方をしているのでそのように言われます。
3.依存症回路とは何か?
健康な脳は報酬系が本能に対してアクセルを、報酬系の周りにある前頭葉が本能に対してブレーキを踏みます。
こうやって長い人生航路を安全に航海できるように人間は作られているのです。
しかしいったん依存症回路が脳の報酬系にできると、報酬系は本能に対してアクセル踏みっぱなしの状態になります。
こうなってしまうと前頭葉が司る理性は無力化されてしまいます。
これが私たちが嗜癖に対して無力である真の原因です。
私たちが無力なのは決して意志が弱いからでもなく、人や環境に問題があるわけでもなく、ましてや生育歴に原因があるわけでもないのです。
この依存症回路はいったんできると死ぬまでなくなることはないと言われています。
これが依存症は治らない病気と言われる根拠になっています。
ネットなどでは「アダルトチルドレンは治る」という情報を掲載しているサイトが多くあります。
しかしこれは医学的には誤った主張です。
これらのサイトに書かれてあることを読むと、ほとんどのものが理性を活用することによって治ることを勧めています。
しかしアダルトチルドレンが擬似依存症であり、他の依存症と同じように依存症回路が原因であることを考えると、そもそも理性は既に無力化されているのですから、その理性を活用するという考えが全くの的外れです。
4.ACの回復には12ステップ
アダルトチルドレンや共依存症が他の依存症と同じく治らない病気であると認めることが回復の出発点となります。
理性を活用するカウンセリングも、医学的支援も限定的であると理解できたとき、私たちは絶望するほかはありませんでした。
しかし神は私たちの前にある一群の人々を遣わしてくださいました。
その人々は「自分たちは霊的な力を活用することによって回復した」と言うのです。
我が国で「霊的」とか「スピリチュアル」と言えば「うさんくさい」とか「怪しい」の一言で片付けられる存在ですが、彼らにはそう言わせない証拠がありました。
それは彼らのうちの多くが何年間ものシラフを維持しており、中には何十年ものシラフ(ソブラエティ)を維持していました。
彼らの話を聴くうちに「私も霊的な力を活用したら回復できるのではないか」と考えるようになりました。
それで「私たちは自分を超えた大きな力が私たちを健康な心に戻してくれると信じるように」なりました。
そして問題が二つあるように解決策も二つあることを知りました。
それでその二つの解決策を自分のものにするために行動のプログラムと言われる12ステップに取り組む決心をしました。
どうぞ、ご自分が何のために12ステッププログラムに取り組んでいるのかを明確にされますように。
もし漠然と取り組んでいるのなら、受け取るものも漠然としたものになってしまいます。
しかし自分が何のために行動のプログラムに取り組んでいるのかを明確にするなら、あなたが望むものを必ず手に入れることができます。
(注意)ACoA以外の問題リストには14番目がない
日本にはAC系の自助グループが三つあります。
それはACAとACoAとACODAです。
この内のACoAだけが14個の問題リストを採用しています。
他の二つのAC系の自助グループがなぜこの大切な部分を採用していないのか、理由は分かりません。
ただ、この問題リストを書いたのはトニー・A(アレン)であることは歴史的にもはっきりしています。
そして彼が書いたリストの中には、この記事で取り上げた項目が含まれていました。
このことを考慮して当ブログでは14個の問題リストを採用しています。

◎回復と平安を祈っています。