「アダルトチルドレンの回復って良く分からない」という方が多いのではないでしょうか?
この記事では「これができるようになることがアダルトチルドレンの回復です」という具体的な回復の方法について書きました。
1.12ステップが提供する回復とは新しい行動パターンを使って生きていくこと
カウンセリングの流派ごとに「回復とは何を指しているのか?」の定義は異なります。
来談者中心療法なら自己一致することが回復であるとしますし、認知行動療法なら有害な影響をもたらす行動の代わりの行動パターンを身につけることが回復であるとします。
これらのカウンセリングがとても効果があるのは事実です。
ではアダルトチルドレン&共依存症や他の依存症の場合はどうでしょうか?
アダルトチルドレンは擬似依存症と呼ばれる依存症の一種ですが、これの特徴は脳の報酬系に依存症回路が出来ることです。
この依存症回路から依存症の二大特徴である強迫観念と渇望現象が出てきます。
健康な脳の報酬系は本能に対してアクセルを、報酬系の周りに広がっている前頭葉はブレーキを踏むことによって長い人生航路を安全に航海できるようになっています。
これが依存症回路ができてしまうと報酬系はアクセル踏みっぱなしの状態になリます。
こうなると前頭葉が司る理性は無力化されてしまいます。
これが私たちが強迫観念と渇望現象に対して無力である本当の原因です。
しかもいったん依存症回路ができてしまうと、それは死ぬまでなくなることはありません。
このような状況にある人々に対して果たして「自己一致」すれば問題は解決するでしょうか?
問題の本質は強迫観念と渇望現象に対して私たちが無力であることですが、これと建前と本音が一致している状態である自己一致とどのような関わりがあるのでしょうか?
私たちが「アダルトチルドレンの13の問題行動」と呼ばれる嗜癖に陥るのは不快感情から逃れるためでした。
不快感情は本能が傷ついたことによって感情が暴走した結果として生まれたものです。
本能が傷ついたのは他人のせいだと私たちは思っていますが、実はそうではなく自分自身の性格上の欠点からくる行動パターンが原因でした。
性格上の欠点には利己的・不正直・恐れ・後悔があります。
ありのパパの場合には「人が怖い」という人への恐れが動機となって不正直な対応をしました。
そして不正直な対応をしたという落ち度が自分にあるにもかかわらず、トラブルが起きた人々を一方的に恨みました。
もし不正直な対応をしなければ相手を恨まなかったでしょう。
相手が悪いとばかり思い込んでいたのに実は自作自演の一人芝居だったのです。
これに気づくと生きるのが本当に楽になります。
この不正直な対応をしないということが自己一致している状態ということになリます。
解決策は古い行動パターンを使わずに新しい行動パターンを使って生きていくことです。
なぜなら新しい行動パターンを使って生きれば本能は傷つかず、本能が傷つかなければ感情も暴走しないからです。
この新しい行動パターンを身につけることが認知行動療法の目的とするところです。
では「自己一致した人生」を実現し、「新しい行動パターン」を身に付けるにはどうしたら良いのでしょうか?
2.古い行動パターンと新しい行動パターンを見つけるために棚卸し作業に取り組む
①古い行動パターンを特定する
多くの人が強迫観念と渇望現象を何とかしようとします。
しかしこれは結局徒労に終わります。
なぜなら私たちは強迫観念と渇望現象に対して無力だからです。
私たちに出来るただ一つのことは嗜癖に陥る原因を取り除くことだけです。
嗜癖に陥る原因とは不快感情のことです。
不快感情を取り除けば強迫観念が教える嘘を用意に見破ることができるようになります。
不快感情を取り除くためには本能が傷つかないようにすることであり、本能が傷つかないようにするためには古い行動パターンを特定することです。
ステップの4・5はこの古い行動パターンを見つけ出すために行う作業です。
②新しい行動パターンを考える
古い行動パターンを見つけ出したら、今度は古い行動パターンと対極にある新しい行動パターンは何かを考えます。
自己意志にはある特徴があります。
それは一つのことに集中すると他のものを締め出してしまうという特徴です。
この特徴を自覚的に用います。
恐れが問題ならば相手に対して敬意をもって接することに全力を尽くします。
なぜなら敬意をもって全力で接するときにあなたの中から人への恐れは締め出されるからです。
『愛には恐れがありません。全き愛は恐れを締め出します』(聖書)
3.新しい行動パターンを実践する力はステップ11の祈りと黙想からくる
多くの方が「新しい行動パターンを実践しようとするのですがうまく行きません」と仰います。
それはそうです。うまく行ったら私たちは無力ではないということになりますから。
ステップ7の新しい行動パターンを実践する力はステップ11の祈りと黙想から来ます。
それも漠然とした祈りと黙想ではなく、「神の意志を知ることと、それを実践する力だけを」求めることです。
「あれもほしい。これもほしい」とか「私も変わるけどお前も変われよ!」と思っているうちはダメです。
「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ」と思い定めて、新しい行動パターンを生きるという神の意志を実践する力だけを求めます。
そうしたら必ず神の力は与えられます。
4.新しい行動パターンがうまくいかなかったときは日々の棚卸しを行う
私たちは失敗するものです。
失敗したときに「こんな私なんかダメだ」とか「やっぱり私はダメな存在だ」と自己憐憫に陥ってはなりません。
自己憐憫とは不快感情の後悔から出てくるものであり、これをそのままにしていると不快感情から逃れるために嗜癖に陥る圧力が増大するからです。
これではまるでたちの悪いマッチポンプのようです。
新しい行動パターンを使う努力をすることが不快感情を生み出す原因になっているからです。
このような罠に陥らないために日々の棚卸しを行います。
「失敗したら日々の棚卸し、うまく行ったら神に感謝!」
私たちに自己憐憫に陥っている暇はありません。
5.新しい行動パターンを使って生きていくときに起きること
ステップ9の約束がことごとく自分のうちに実現しているのを感じるようになります。
・心の平安とはどういうことかを体験的に知るようになります。
・かつては難しかった人間関係も直感的にどのように対処すればよいかわかるようになります。
・経済的不安は消え去ります。
・以前はできなかったことを今は神が代わりにしてくださっているのを感じるようになります。

◎回復と平安を祈っています。