12ステッププログラムのステップ8と9は埋め合わせの決心と実践です。
アダルトチルドレンの中には「埋め合わせしてほしいのはこちらのほうである」と考えている人も多いのではないでしょうか?
しかしそうではないことを解説します。
1.埋め合わせは必要ないと思っていたアホンダラ
このアホンダラとはありのパパのことです。
なぜなら自分のことを「真面目で一生懸命に誠実に生きていた」と思っていたからです。
しかしこれは一面の真実に過ぎず、全体を言い表していませんでした。
なぜなら真面目で誠実に一生懸命生きているなら依存症になるはずはないからです。
2.埋め合わせの究極的な目的は罪悪感と後悔の始末
埋め合わせをする目的は何でしょうか?
謝罪でしょうか?
謝罪することも目的の一つですが、究極的な目的は四つある不快感情のうちの二つの感情、罪悪感と後悔の感情を解消することです。
罪悪感と後悔があってはしらふを維持するのは困難です。
まして感情面でのしらふ・情緒面でのしらふを維持することは不可能に近いことです。
ですからどうしても私たちは自分の中の罪悪感と後悔を始末する必要があります。
3.埋め合わせのやり方
①謝罪は一回限り、後は遺憾の意を表し続ける
相手が謝罪を求めても何回も謝罪するようなことをしてはなりません。
一回謝罪したら、後は機会あるごとに「遺憾の意を表す」ことにとどめます。
謝罪を続けるは相手にとっても自分にとっても有害です。
なぜならそれは謝罪癖(ぐせ)をつけるからです。
何回も謝罪をさせられると私たちは謝罪をさせる人に恨みの感情を持つことになります。
罪悪感や恨みなどの不快感情を解消するために埋め合わせをしているにもかかわらず、新たに不快感情を発生させるような愚かなまねをしてはなりません。
だから謝罪は一回限り、あとは遺憾の意を表すことにとどめるべきなのです。
②相手や周りの人を傷つける危険がある場合どうするか?
埋め合わせすることによって相手や周りの人々を傷つける場合もあります。
その場合は埋め合わせを見合わせます。
なぜでしょうか?
それは罪悪感や後悔をなくすために埋め合わせをやっているのに、新たに罪悪感を持つようなことをしないためです。
4.埋め合わせの効果
罪悪感や後悔は私たちを苦しめます。
苦しめ方は人それぞれです。
ありのパパの場合は過去の失敗した体験が時折フラッシュバックのように思い出されました。
そのたびに頭を抱えて「ごめんな。あのとき、あんなことをしなければよかった」と繰り返し後悔しました。
気がつくと、そのようなフラッシュバックが日常生活の中から消えていました。
たとえ思い出されたとしてもそのたびに「この問題は解決済みである」と自分自身に言ってあげます。
そうすると心に平安を得ることができます。
5.埋め合わせは生涯的なもの
12ステップに関わる笑い話に「ステップ4と5をやって疲労困憊し、ステップ6と7をやって途方に暮れる。そしてステップ8と9をやっていい気になる」というのがあります。
これは自分の力で埋め合わせをしたという意識が大きな原因です。
もう一つは埋め合わせを生涯的ななのものとして捉えるのではなく、短期間のうちにやり遂げてしまうものという意識があることが原因です。
もちろんステップ4の棚卸しのように一気呵成にやり遂げる部分もあります。
しかし棚卸しにもステップ10の日々の棚卸しがあるように、埋め合わせにも生涯をかけてやり続ける面があります。
それは埋め合わせは相手があることだからです。
埋め合わせすることによって相手や周りの人々を傷つける場合は埋め合わせを行ってはならないと言われていること自体が、埋め合わせが相当な長期間にわたって行われる可能性があることをにおわせています。


◎回復と平安を祈っています。