今日は女性に愛されることに依存するという方からのご相談です。
同じような悩みを持つ方は意外に多いものです。
この方の悩みに耳を傾け、自分ならどう答えるかを考えつつお読みいただければ幸いです。
…………ここから相談本文……………
ありのパパさん、はじめまして。
ニックネーム「サナギ」です。まずは自己紹介からいたします。
プロテスタントの教会でクリスチャンになってから27年の男性です。
二十代後半で心が病んでしまったのと、いろいろ問題をやらかしてしまったために特定の教会には行けていません。自分がAC(アダルトチルドレン)であることは二十代で児童/発達心理学をかじった頃から自覚していました。
しかし心理学は「どうしてこんな自分になってしまったのか」について知る助けとはなりましたが「ではどうしたら解決するのか」の助けにはなりませんでした。僕は両親から精神的充足感を与えられなかった結果(父は精神的ネグレスト、母は過干渉、 身体的・精神的虐待、支配コントロール、否定的な言葉、感情を日常的にぶちまける)、激しい飢え渇きを抱えながら人生をさまようことになりました。
その代償を恋愛に求めてきました。
自分が好きになった女性に愛してもらうことへの重度の依存です。
ありのパパさんは依存は治るものではなく、 その症状と一生付き合って対処し続けなければならないと記してありましたよね。ということは僕はこれから一生、 女性から離れて生き続けなければならないのでしょうか?
依存対象と距離を縮めると当然また苦しみますよね。
ですから今は近づきたくても近づけないのですが、一生このまま独身で過ごしていかなければならないのでしょうか?そんな一生になるなら神様に命を今日にでも終わらせてほしいと思うほどです。
結婚は心が自立した者同士でないとできないと聖書にはあります。
女性から愛を受けなければ生きていけないという依存から解放され、依存的な結びつきではなく自立した者同士として結婚できることを願っています。
ご返信いただけるとありがたいです。
………ご相談はここまで…………
こんにちは、サナギさん。
ご相談を下さり、ありがとうございます。
ひとつひとつ丁寧に見ていきましょう。
1.問題を特定する
サナギさんの問題あるいは無力の対象は何でしょうか?
恋愛対象への依存、恋愛依存、セックスへの依存といろいろあります。
これらをひっくるめて性依存症と呼びます。
もしサナギさんの問題がこの中にあれば、サナギさんは性依存症者ということになります。
もう一つの視点は共依存ということです。
ご自分がアダルトチルドレンであると自覚しているということですから、生育歴から考えると人間関係への無力を抱える共依存症者なのかもしれません。
問題の特定の仕方は何が原因かを追求するのではなく、ご自分が最も困っていることは何かを明らかにすることです。
たとえばアルコール依存症者の中には自分がアルコールに依存せざるを得なくなった原因を追求し「アダルトチルドレンが原因だ」と言い出す方がおられます。
しかしこれはあまり意味のない原因探しであると言わなければなりません。
なぜなら「じゃ、ACから回復したらアルコール依存症から回復できるのか?」と聞かれれば返答に困ってしまうでしょうし、事実そんなことはないのです。
確かにアルコール依存症になった遠因はアダルトチルドレンかもしれません。
しかし本当の原因は自分自身の性格上の欠点からくる行動パターンなのです。
そして依存症に対して無力なのは脳の報酬系に依存症回路ができたことによります。

2.問題が特定できた後どうするか?
12ステッププログラムでは問題を特定するということはすなわち無力を認めるということです。
同じ種類の無力を認めている共同体に参加し、ご一緒に12ステップに取り組んでいきます。
そして霊的に目覚めることを目指します。
霊的に目覚めるとは行動パターンが変わることです。
行動パターンが変われば本能が傷つくことはなくなります。
本能が傷つかなければ感情が暴走することはありません。
感情が暴走しなければ女性から受ける愛に依存するという嗜癖に走らなければならない理由はなくなります。
3.回復した後どうなるか?
依存症回路が脳の報酬系に一度出来たら死ぬまでなくなることはありません。
ですからアルコール依存症者は回復しても酒を飲むことは一生できません。
また怒り依存症者は回復したとしても一生の間、怒りを表出することはできません。
なぜなら怒りを表出しようとした瞬間に怒りが爆発するという形で外部に現れ出るからです。
しかし買い物依存症や摂食障害(オーバーイート)となるとまた違ってきます。
なぜなら回復しても買い物はしなければならず、食事もしなければならないからです。
買い物依存症の場合は借金して買い物をしない、クレジットカードを持たないなどのガイドラインがあるようです。
当事者に聞くと「同じように買い物をしていても、これは普通の買い物、これは嗜癖行為であるというのが分かる」ということです。
では人間関係に対して無力である共依存症の場合はどうでしょうか?
結論からいうと本人の自由意志による決断にかかっています。
たとえばどうしても職場の人間関係に対処できないという人がいるとして、回復した後は一人で仕事ができる自営業や自由業を選択する場合が多いようです。
しかし家族を養わなければならないという経済的理由で会社勤めを選択せざるを得ない方もおられます。
この場合、当然苦痛を感じますが苦痛を感じつつもなんとか対処します。
では女性に愛されることへの依存症の場合はどうでしょうか?
クリスチャンとして不謹慎な発言になるかもしれませんが、ご自分が回復したと思われる時点でお試しで女性と恋愛関係になってみれば、すぐに自分がこれからどうすべきかが分かるのではないでしょうか?
もちろこれは自分が一人勝手に「俺は回復した!」などという思い込みではいけません。
カウンセラーや周囲の人々からのサジェスチョンが大変参考になるでしょう。

◎回復と平安を祈っています。