人々は自分の思い通りに動くべきであると考えていると、人々との間にトラブルが起きることになります。
なぜなら人々は自分の思い通りの行動をすべきであると考えていると「自分はどのように段取りしたら、どのように対応したら人々に動いていただくことができるだろうか」とは考えないので、それが配慮の欠如となって現れるからです。
そこでどのようにしたら人間関係のトラブルを回避できるのか、その方法を解説します。
1.自分が常識だと思っていることは実は自分の利己的考えに過ぎない
「人々は自分の思い通りに動くべきである」という考えは性格上の欠点である[利己的]そのものの考え方です。
12ステッププログラムでは性格上の欠点は4つしかありません。
それは利己的・不正直・恐れ・配慮の欠如です。
ですから棚卸しをするときに「私の短所はこの中にない」という主張は却下(笑)。
どうぞ、ご安心ください。人間の短所なんてものは煎じ詰めればみんなこの四つのどれかに当てはまるものです。
「私は自分の考え通りに人々が動くべきであるだなんて思ってません!」という方もおられるでしょう。
しかしこれが「人々は常識通りに動くべきである」の場合はいかがでしょうか?
多くの方が「それはそうだ」と仰るでしょう。
しかし問題はまさにそこにあります。
それはあなたの常識と、彼らの常識が異なる場合が多いということです。
それでは「自分と同じ常識・価値観を持つ者同士で集まる」という場合はどうでしょうか?
価値観が一致していると思えるのはしばらくの間だけです。
しばらくすると価値観の相違が露呈します。
だからそのやり方はうまく行きません。
唯一うまく行く方法があります。
それは他者が自分の思った通りに動いて当然であると考えるのを止めることです。
そして自分が期待したように動いていただくためにはどうしたらよいかを考え、充分な配慮を提供することです。
2.二つの間違った行動パターンとたった一つの正しい行動パターン
12ステップの世界では「問題の原因が明らかになれば、解決策は自ずと明らかになる」と言われます。
第一の道は今までどおりのやり方です。
それは脳内で「人は当然私の思ったとおりに動くべきよね」と考え、自分は何もせずボサーっとしていることです。
第二の道は第一の道と正反対の道です。
それは自分の考え通りに動いて当然とする考えを人々に押し付けることです。
このやり方ですと、あなたにはストレスはたまらず自尊心も傷つかないかもしれません。
しかしこのやり方は相手にストレスを与え自尊心を傷つけるのに充分です。
そして相手は必ずあなたに反撃するようになるでしょう。
第三の道は第一の道と対極にあるやり方です。
それは「もともと私には人をコントロールする能力などないし、そもそも人々にも私の期待した通りに動かなければならない義務などこれっぽっちもない」ということを自分自身に言い聞かせ、この間違った思い込みが強迫観念が教えるウソであることを見破っていきます。
そして自分の考えのように人々に動いていただきたい場合は「ではどのように配慮すればよいのか?」を考えて全力で行動します。
このような生き方を行うとき1mmも動かなかった人生の歯車が静かに回り始めるのをあなたは感じるようになります。
3.人生が変わるためのカギは行動パターンを変えること
ありのパパの心はかつてはブラックボックスでしたが、今ではガラス張りです。
感情が動いても日々の棚卸しをすれば、なぜ感情が動いたのか原因がすぐに分かるようになりました。
私たちが変わろうとするとき問題になるのは恨みや恐れではありません。
真の問題は性格上の欠点からくる行動パターンです。
なぜなら感情が暴走するのも、本能が傷つくのも私たちには止められないからです。
しかし行動パターンだけは変えることができます。
ですから行動パターンさえ掌握(しょうあく)していれば自分自身をコントロールすることが可能なのです。
4.どのような行動パターンがあるか?
①利己的+配慮の欠如の行動パターン
多くの人々の心に(そしてありのパパの心にも)根付いている誤った考え方は「人々は私の期待に応えるべきである」という思い込みです。
人々は私の期待したとおりに動いて当然であるという利己的考えが自分の中にあると、それは配慮の欠如となって現れます。
そして人々が自分の期待したとおりに動かないと共存本能の自尊心や対人関係が傷つきます。
なぜ傷つくかというと「人々は自分の期待したとおりに行動して当然であるにもかかわらず、そのように動いていないのは自分自身に何か問題があるか欠陥があるからだ」と考えるからです。
まさに「そんなん知らんがな」とでも言いたくなりますが、これが事実なのです。
そして恨みの感情が暴走し、それが怒りの爆発につながる場合もあります。
[利己的+配慮の欠如⇒共存本能の自尊心&対人関係が傷つく⇒恨みの感情が暴走⇒怒りの爆発]
②恐れ+不正直という行動パターン
人が怖いという人への恐れがあると、それが人々に対して不正直な対応をさせます。
その不正直な対応が原因となってトラブルが起きます。
トラブルが起きた本当の原因を自分自身は知っていますから「お前は本当にダメな奴だな」ということで自尊心が傷つきます。
もちろん対人関係も傷つきますし、「こんな人間関係への対し方をしていたら今はまだどうにかなっているけれど将来必ず人間関係が破綻するのではないか?」と怯え、将来野心の感情面での安全が傷つきます。
このように本能はズタボロに傷つきますから、当然感情が暴走します。
そして不快感情から逃れるために刺激に嗜癖するお定まりの行動に陥ります。
[恐れ+不正直⇒将来野心の感情面での安全⇒恐れの感情が暴走⇒嗜癖に走る]
5.どうやって自分の行動パターンを特定するか?
ここまでの記事を読むと何か分かったような気になりますが、それだけでは何の役にも立ちません。
大切なことは自分自身の行動パターンを特定することです。
自分自身の行動パターンを特定できれば、ブラックボックスだった自分の心がガラス張りの心に変わり、コントロール可能な状態へと移行します。
ではどうしたらご自分の行動パターンを知ることができるのでしょうか?
それは12ステッププログラムのステップ4・5の棚卸し作業によるほかはありません。
ステップ4・5で自分自身の古い行動パターンを特定し、ステップ6で古い行動パターンを使わない決心をし、ステップ7で古い行動パターンと対極にある新しい行動パターンを使って生きていく決心と助力を神に祈ります。
これらのステップに取り組むことで、古い行動パターンを神に取り除いていただくことができます。



◎回復と平安を祈っています。