12ステッププログラムは多くあるカウンセリングの中の一つです。
12ステップに取り組むことによって回復すると、どうしても「12ステップだけが素晴らしい!」となりがちです。
実はありのパパもお腹の中ではそう思っているのですが、これを周囲への配慮なしに口にしてはなりません。
もしそれをやるなら「はい、配慮の欠如決定!」ということになります(笑)。
今日はみなさんとご一緒に多くあるカウンセリングの中でもアドラー心理学と来談者中心療法と12ステップに焦点を当て、その良いところと足りないところを見ていきます。
1.カウンセリングと12ステップ
①来談者中心療法などのカウンセリングの特徴と問題点
一般的なカウンセリングではカウンセラーがクライアントの話を忍耐強く聞きます。
ジャッジせずに話を聴くことによって、クライアントは自分の中で見えてくるものがあります。
しかしこの関係性から出てくる自己理解には限界があると、ありのパパは考えています。
なぜならお金をもらって人の話を聞いている時点で対等とは言えないからです。
ありのパパがお会いした何人かの方は誤った自己認識を持っていると言わざるを得ませんでした。
これはカウンセラーがクライアントの回復段階に応じて接し方を恣意的に変えたのが原因で起きたことであると考えています。
②12ステップの特徴
12ステッププログラムと他のカウンセリングとの決定的な違いは棚卸しがあるかどうかです。
12ステップで行う棚卸し作業には恣意的なものが入り込む余地がありません。
なぜなら自分自身で恨み・恐れ・性の領域で迷惑を掛けたこと・その他の領域で迷惑を掛けたことについて棚卸表を書くからです。
その棚卸し表を第5ステップパーソンとかシェアリング・パートナーと呼ばれる「もう一人の人」に見てもらいながら、自分自身の性格上の欠点からくる行動パターンを特定していきます。
この作業によって、過去の出来事やトラウマが現在の自分自身に影響を与えているのではなく、影響を与えているのは現在の自分自身の行動パターンであることに気づいていきます。
2.アドラー心理学の特徴と問題点
①アドラー心理学の優位点
アドラー心理学は大変良いものであると考えています。
なぜなら、ほとんどのカウンセリングが現在の問題行動は過去のトラウマが原因になっていると考える中で、唯一つアドラー心理学だけが過去のトラウマは現在の問題行動の原因ではないという立場を明確にしているからです。
②アドラー心理学の欠陥
それは現在の行動パターンを軽視することです。
「あなたが新しい人生を生きようとするならば、あなたは新しい人生を生き始めることができる」とアドラー心理学は教えます。
果たしてこれは真実でしょうか?
ありのパパはそうではないと考えています。
新しい人生を生き始めるためには、まずその前に自分自身の古い行動パターンを知ることが極めて重要です。
なぜなら人生が新しくなるのは古い行動パターンの対極にある新しい行動パターンを全力で行き始めるときだけだからです。
自分の人生をダメにしている古い行動パターンとまるっきり正反対の行動パターンを使って人生を生き始める時に人生は変わることができるのです。
③12ステッププログラムの実践方法
12ステップは棚卸しを自分で書き(ステップ4)、それをもう一人の人に見せる(ステップ5)という方法で、過去のトラウマが現在の問題行動の原因ではないことを気づけるように設計されています。
ありのパパは棚卸しを書いて、それを信頼できる人に見せるという12ステップの方法以外に自分の問題行動の真の原因を突き止めることはできないと考えています。
3.捨てるべきものは一つもない
①一般的なカウンセリングの有用性
ありのパパが12ステップに取り組む人々の話を聞いていて感じるのは、自分自身をありのままに受け入れることができていない人が多いということです。
棚卸しをやっていて具合が悪くなったという方がチラホラおられます。
これは棚卸し作業をすることによって自分自身の中に眠っている「お前はダメだ!お前は何をやってもダメなやつだ!」という自分自身をさいなむ声が聞こえてくるのが原因です。
しかし棚卸しをやる目的は自分いじめではありません。
そうではなく自分自身の性格上の欠点からくる行動パターンを特定することです。
ですからこの目的を達成するためにできるだけ主観的にならずに共感的かつ客観的な態度を保持することが必要です。
これを自分だけでやるのは至難の業であるため、それで「もう一人の人」の助けを借りるのです。
「自分はありのままでいい」ということを、皆さんは身につけておられるでしょうか?
もしまだなら今日からでも自分自身に向かって「私はあなた(自分自身)を愛している」と言ってあげてください。
②アドラー心理学の有用性
アダルトチルドレンのミーティングに参加していて「本当にここは12ステップミーティングか?」と感じることがあります。
12ステップ・ミーティングとは名ばかりで、実態はアダルトチルドレン・グループセラピーとでも呼ぶのがふさわしいと思わせられるミーティングもあります。
このようなケースの問題点は無自覚にやっていることかもしれませんが、養育者への恨みを自分自身が回復しないことへの理由にしていることです。
「両親にこんなことされた。あんなことされた」ことが私たちの性格上の欠点を形作ったのは事実です。
しかし私たちの人生が思い通りに生きていけなくなったのは性格上の欠点からくる行動パターンのせいです。
そうだとしたら行動パターンを変えることが回復するための唯一の解決策ということになります。
そうであるのになぜ貴重な時間を両親への恨み・ツラミを垂れ流すことに使うのでしょうか?
私たちは疾病利得(しっぺいりとく)がもたらす麻薬に陥ってはなりません。
これはある面では嗜癖そのものの行為です。
こんなことをしていたら回復しないのはもちろんのこと、自分の人生を無駄遣いすることになってしまいます。
その意味で、アドラー心理学が教える「過去のトラウマなんか関係ない!」という実にあっぱれな態度は大いに私たちの回復の役に立ちます。
◎回復と平安を祈っています。