なぜ、あがるのでしょうか?
それは自分の心配だけをしているからです。
しかし「自分の心配をするのを止めよ」と言われて、止めることができるなら誰も苦労はしません。
そこでどうしたら心配するのを止めることができ、その結果としてあがり症から解放されることができるのかを述べます。
1.なぜ上がるのか?
それは「失敗したらどうしよう」と恐れるからです。
でも少し考えていただきたいのですが、ご自分が恐れているときは他人のことなどはちっとも考えていない時ではないでしょうか?
例えばプレゼンをするときに、あがる人がいるとします。
その人は「あがったら、どうしよう」と自分の心配ばかりをして、あなたの下手っぴなプレゼンを聞かされる人の迷惑はちっとも眼中にないのです。
これはある意味ではとても楽ちんな生き方ではあります。
なぜなら自分の心配ばかりをしていればよい生き方だからです。
2.あがり症の解決策
あがり症のために様々なところで損をし、結果として不甲斐ない自分自身を責めるようになります。
もしそれが嫌ならご自分の心配をいったん脇に置いて、我慢して聞いてくれる方の苦痛を少しでも減らすためにご自分のプレゼンに全力を尽くすのです。
これを「相手に対して敬意をもって接することに全力を尽くす」と言います。
ここで敬意をもって接するとは、自分の話を聞いてくださる方々に損をさせない、聞いてよかったと思ってもらえるために全力を尽くすということです。
そうしたらあとから振り返ってみて気づくことは、相手のために全力を尽くしていたときは自分の中に恐れを感じなかったという事実です。
自分の中から恐れを締め出すことができれば、人前で上がることもなくなります。
人前で上がることがなくなれば不本意な振る舞いをすることもなくなります。
不本意な振る舞いをすることがなくなれば「またやってしまった」という後悔の感情が起きることもなくなります。
◎解決策は相手に敬意をもって接することに全力を尽くすこと
3.12ステップをあがり症からの回復のために活用する
12ステップは第一義的に依存症やアダルトチルドレン・共依存症からの回復のためのプログラムです。
しかし12ステッププログラムを理解し、自由自在に使いこなすことができるようになると他の問題にも応用可能であることが分かってきます。
ジョー・マキュー(12ステップを用いた依存症者のための宿泊施設を作った)は「無力を認め、自分を超えた大きな力が私たちを健康な心に戻してくれると信じるという解決方法を依存症から回復するためだけのものと思ってはならない。この原理はすべてのものに応用することが可能である」と言っています。
ステップの1であがり症に対して無力を認めます。
ステップの2で自分を超えた大きな力が自分をあがり症から回復させてくれると信じます。
ステップ3で自分の意志とを生き方を自分なりに理解した神の配慮に委ねる決心をします。
ステップ4で自分自身の恨み・恐れ・性の問題で迷惑を掛けたこと・その他で迷惑を掛けたことを棚卸し表に書きます。
ステップ5で信頼できる「もう一人の人」と一緒に、自分自身の性格上の欠点からくる行動パターンを特定します。
ステップ6で古い行動パターンを使わないで生きていく決心をします。
ステップ7で新しい行動パターンを使って生きていく決心と、助力を神に祈ります。
ステップ8・9で迷惑を掛けた人々に埋め合わせをする決心と実践を行います。
ステップ10ではバックスライドしないように日々に棚卸しを行います。
ステップ11では自分なりに理解した神との意識的なふれあいを深め、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求めます。
ステップ12では、これらのステップを経た結果、私たちは霊的に目覚め、「霊的に目覚めたら、あがり症から回復できる」というメッセージを今苦しんでいる仲間に運びます。
そして自分自身のうちに残っている未解決の問題に対しても12ステップの原理を応用することによって解決しようと努力します。
4.解決策は霊的に目覚めること
霊的に目覚めるとは(あがり症から)回復するのに充分な人格の変化です。
別の言葉で言えば、物事の感じ方や受け止め方や行動パターンが全く変わってしまうことです。
ではなぜ物事の感じ方や受け止め方や行動パターンが変わることが、あがり症からの回復に繋がるのでしょうか?
それは、あがり症が持っている構造に理由があります。
あがり症は不健全な思考習慣が原因になって発症したものです。
初めは小さな失敗がきっかけだったのが、たとえば赤面や冷や汗・ガクガクブルブルの震えなどを人に笑われたのがきっかけだったかもしれせん。
しかしそれは知らぬ間に段々と自分自身の思考習慣になっていきました。
そして自分であがらないでおこうと思っても、あがらないでいることができなくなってしまいました。
これがあがり症の本質です。
自分自身の性格上の欠点である恐れが原因となって、配慮の欠如を生み出します。
なぜ恐れと配慮の欠如が繋がるかと言えば、恐れている対象に対しては力が入らなくなるものだからです。
要するに逃げ腰になるということです。
あがり症の方の中にはプレゼンなどの準備を充分にしない方がとても多くおられるように感じます。
逃げ腰になっているので準備を充分にすることができないのです。
これで「なぜあがるのか?」の原因は明らかになりました。
では解決策は何でしょうか?
それは新しい行動パターンを全力で行うことによって、古い行動パターンを削除してしまうことです。
この場合の新しい行動パターンとは、あなたのプレゼンを聞いてくださる方に少しでも分かりやすく伝えようとすることに全力を尽くすことです。
自分の恐れはいったん脇にどけて、相手のために全力を尽くすのです。
そうしている時だけ、あなたは恐れを感じていないことにあとから気づかれるはずです。
これが恐れをあなたの中から締め出す唯一の方法です。
5.あがり症だけでなく人生全体を変えてしまおう!
大抵の場合はステップの9までの取り組みで、あがり症から回復しているはずです。
そしてステップの10から12は「続けるステップ」であり、やればやるほど人格が改変し、人間関係が改善され、その結果として人生が変わります。
この12ステッププログラムをやりきるのに必要な期間は約一ヶ月です。
皆さんの中には「なんだよ。一ヶ月も掛かるのかよ!」と思われた方もおられるでしょう。
しかしあなたはあがり症のために何年間も苦しんできたのではないでしょうか?
それが薬も使わずに回復できるのです。(ほとんどの場合において薬は対症療法であり、効果は限定的、しかも使用する薬物の依存症に罹患するリスクもあります)
認知行動療法などのカウンセリング的アプローチも必要ありません。
カウンセリングそのものは良いものであり、12ステッププログラムの補助的な役割を担わせるなら効果があります。
しかしカウンセリング単独では効果は限定的であり、根本的解決に至るのは非常に困難です。
また、中には「人生まで変えようとは思わない。あがり症が回復さえすればそれで良い」という方もおられるでしょう。
しかし、それは難しい相談です。
人生を全部変えてしまおうとする決心なしに、人生に対する生き方が原因で発生している病気を治すのはできない相談です。
(あがり症は感情と情緒の問題ということもできます。そのような問題を感じている人の自助グループがあります)
◎回復と平安を祈っています。