依存症から回復するためには二つの解決策を実行することが必要

依存症から回復するには二つの解決策を実行する必要があります。
それは共同体から受ける助けと、霊的に目覚めることです。
この内のどちらか一つでも欠けると回復はうまくいきません。
その理由をご説明します。

        

1.12ステップミーティングとグループセラピーの違い

グループセラピー(集団療法)とは参加者が自分の問題を分かち合い、それを他のメンバーが聴くことにより共感の力によって相互の回復を目指していくものです。

これに対して12ステップミーティングはメンバーが各々の12ステッププログラムへの取り組みを分かち合うものです。

        

2.12ステップ勉強会が振るわないのはなぜか?

依存症別に構成された自助グループを否定するわけではないのでしょうが、「泣き言・毒吐きばかりでは回復しない」というわけで各地で12ステッププログラムの勉強会が開かれました。

しかしほとんどの勉強会は閉会してしまいました。
もちろん未だに多くの参加者がある勉強会もあるようですから一概に言うことは出来ません。
しかしほとんどの勉強会が閉会してしまったという事実からは、私たちが学ぶことが出来るものもあると思うのです。

それは何でしょうか?

ありのパパが考えるのは以下の通りです。

        

3.回復には『共感の力』が不可欠

12ステッププログラムに共に取り組んでいることから来る共感もあるにはあります。
しかし、それよりも大きいのは同じ依存症を持っている苦しみや戸惑い、悲しみを分かち合うことから来る共感です。

この共感の力がない限り、人を回復させる神の力が働くことはないと、ありのパパは考えています。

この考え方から薬物依存の会では薬物依存の話だけをし、アダルトチルドレンの会ではアダルトチルドレンの話だけをするという心得も引き出されてきます。

なぜなら依存症者であることは同じであっても、アルコール依存症者が薬物依存症者の話を聞いても共感はできないし、薬物依存症者がアダルトチルドレンの話を聞いてもチンプンカンプンで共感どころではないからです。

(ただし、アダルトチルドレンでアルコール依存症の人が、アダルトチルドレンの話をすると、その場にいる同じような立場の人、すなわちアダルトチルドレンであって、かつアルコール依存症の人の共感を引き出すことは可能です。しかしその場合でもそのミーティング会場に自分と同じような人がどの位いるかを予め知っておく必要があるでしょう)

        

4.なぜ自分の体験を語ることが大切なのか?

依存症は病気であると最初に指摘したシルクワース医師は「強迫観念と渇望現象について語りまくれ!」と、後にアルコール依存症の自助グループの創設者になるビル・Wに助言しました。

これは同じ依存症を持つ人たちから共感を引き出すためには依存症の二大特徴である強迫観念と渇望現象を強く語る必要があるということを教えています。

ところで、ミーティングで泣き言や毒吐きのみをする人たちに対して他のメンバーは初めの内は寛容ですが、いつまで経っても変わらないと段々と我慢に限界が訪れます。

「いつになったら12ステップに取り組むのか?」というわけです。
このように感じるのもやむを得ないところもあります。
しかしそのように感じたことをそのままにしてはいけません。

一つは私たちはその人をコントロールできないし、回復させることも出来ないからです。

回復のためにはその方が自分自身の内側から「私は回復したいです。そのために12ステッププログラムに取り組みます」という決心と実践がなされる必要があります。

二つ目は参加者全員が12ステップへの取り組みを語るだけなら、初めて来た方にとってミーティングが意味不明のものに映るのではないかということです。

またそのような12ステップの実践者ばかりの共同体で『共感の力』が発揮されるのは難しいことではないでしょうか?

多分そのようなミーティングはいづれは立ちいかなくなるのではないかと、ありのパパは危惧します。

        

5.自助グループ内でトラブルが起きる原因は何か?

私たちはときおり共同体での人間的トラブルを耳にします。
なぜトラブルが起きるのでしょうか?

メンバーが問題や苦しみを分かち合い、メンバー同士が共感するならば、その共同体の構成員は皆回復していきます。
そのはずなのに現実はなかなかそうなっていないのはなぜでしょうか?

それは依存症は『共感の力』だけでは回復不可能な病気だからです。
依存症から回復するためにはどうしても霊的に目覚めることが必要です。
霊的に目覚めるとは「回復するのに充分な人格の変化」であるとビッグブックには書かれてあります。

では回復するのに充分な人格の変化とは何かと言えば、それは物の見方や受け取り方・感じ方がそれ以前とは全く変わってしまうことです。
これは人格の変容とか、視点の転換とカウンセリングで呼ばれているものです。

この変化は12ステッププログラムに徹底して取り組むならば、すべての人に与えられると約束されています。

視点の変換のうちで最も本質的なものは、それまでは「他人が全部悪い。わたしは全然悪くない」という考えと、「人々はわたしの期待したとおりに動いて当然である」という考えです。

これらが間違った思い込みであったと気づくことが霊的目覚めの本質的部分です。
もしミーティングの参加者がいつまで経っても霊的に目覚めないままだと大変厄介なことが起きます。

それは古い行動バターンである「他人が全部悪い。わたしは全然悪くない」と「人々はわたしの期待したとおりに動いて当然である」という間違った思い込みをミーティング参加者に適用してしまう危険があるということです。

「あの人はあぁだ、こうだ」という指摘は一見至極まともなのですが、問題はその指摘の出どころです。

大抵の場合、その出どころは「人々はわたしの期待したとおりに動いて当然である」という間違った思い込みと、アダルトチルドレンの問題リストの5番目の「私たちは被害者の視点で生きている」という特徴があいまって、共同体メンバーへの不満が出てきているのが本当のところではないでしょうか?

このようなことを考えるとき、「私は12ステップはやらない。ミーティングに参加しているだけで十分だ」という主張がいかに根拠のないものであるかが解ります。

12ステップに取り組んで霊的に目覚めない限り、私たちの中にある「他人が全部悪い。人々はわたしの期待したとおりに動いて当然である」という古い行動パターンが噴出するのは時間の問題です。

これが12ステッププログラムに取り組むことに不熱心なグループに人間関係のトラブルが繰り返し起きる本当の理由であるかもしれません。

私たちは共同体から受ける助けと、霊的に目覚めることが依存症から回復するための二つの解決策であることをしっかりとわきまえておきたいものです。

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◎回復と平安を祈っています。

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