心の中に恐れがあると、行動すべき時に足が動かなくなります。
恐れの故に自分の願いや要求を口に出せないでいると、それは次第に相手への病的な支配欲求へと変質していきます。
そして相手がその病的な支配欲求に勘付くと人間関係は破綻します。
このカラクリに気づくことが回復のスタートとなります。
目次
1.人が恐いと、人間関係のトラブルに対処不能になる
ありのパパは若いときから同じ行動パターンを繰り返してきました。
それはトラブルが起きるまではニコニコしていて「いい人」を演じているのですが、いったんトラブルが起きるとその人から離れていくという行動パターンです。
心が健全な人であれば、トラブルが起きればその人のところに出掛けていき「なぜ、あなたはこのようなことをしたのか?」と問いただし、原因を解決しようとするでしょう。
しかし人が恐いありのパパにはそれが出来ませんでした。
膝がガクガク震え、その人のところに行こうにも行けないのです。
それで何もなかったようなふりをしたり、心の中で「もともとあの人はそういう人なんだ」と見え透いた言い訳を自分にするという不正直な対応をしました。
その結果、何が起きたかというと、その人々への恨みの感情が心を支配しました。
2.対人関係のトラブルが起きる真の原因
なぜ人々が急に怒り出したり、自分を無視するようなことをするのかの理由が、ありのパパにはずっと分かりませんでした。
しかしビッグレッドブック(BRB95頁、下から7行目)を読んで、その理由が分かりました。
「相手はこちらのコントロールを壊そうと、怒りを行動化したり、見捨てたりする」
それはありのパパの中にあった「相手をコントロールしようとする不健全な感情」に相手が気づいたからにほかなりませんでした。
その頃のありのパパは自分の中に病的な支配欲求があることさえ気づいていませんから、相手の怒りに対して対処不能でした。
「何でかな?」という感じです(笑)。
それでお決まりの「人間なんて、そんなものさ」という見え透いた言い訳を自分にしていましたが、そんな言い訳で自分自身が納得するわけはなく、人間関係への不安と不満が溜まっていきました。
振り返って考えてみると、その不安と不満を感じないですむように「刺激に嗜癖するようになった」ということが分かります。
3.ACが認めるべき無力は三つあり、対応の仕方も三つある
アダルトチルドレンが認めるべき無力は三つあります。
機能不全家庭で育った影響に対して無力ですし、アディクションの影響に対しても無力です。
そしてなによりもアダルトチルドレンは問題リストに書かれてあることに対して無力です。
「刺激に嗜癖する」というアダルトチルドレンの特徴は無力を認めるべき対象でもあります。
ではどうしたら良いのでしょうか?(対応の仕方)
a.無力を認める。
b.刺激に嗜癖しない努力ではなく、刺激を近づけない努力をする。
c.刺激に嗜癖する原因になっている人間関係の不満と不安を最小限にするためにコントロール欲求(共依存症)を捨てる。
4.回復するための方法・統合作業
自分はなぜ「刺激に嗜癖したのか?」という疑問への答えは、頭で分かるだけでなく心の深いところで気づきを得ることが必要です。
その原因とは人間関係における不安や不満を直視しないために刺激に嗜癖したということです。
この「刺激に嗜癖する」とはアダルトチルドレンの問題リストの8番目に書かれてあることですが、ただこれを「あぁ、そうか。ACの特徴の一つなんだな〜」と思うだけでは何の意味もありません。
心の深いところで気づきを得るためには「なぜ自分は刺激に嗜癖するのか?」について毎日祈りと黙想を行い、教えられたことをノートに書いていきます。
これを30日間繰り返していると、段々と否認が解け、抑圧が弱まり、合理化された思考の誤りが明確になってきます。
ありのパパも問題リストの8番目を30日間、統合作業をやってはじめて真の原因にたどり着くことが出来ました。
原因が分かり、対策がわかった時には、まるでそれが神さまからのプレゼントのように感じられました。
5.刺激に嗜癖することへの対処策
①新しい行動パターンを使うことによって
ありのパパにとって新しい行動パターンとは「すべての人に敬意をもって接することに全力を尽くす生き方」でした。
これによって人への恐れに対する解決法を得ました。
なぜなら相手に敬意をもって接していることに全力を尽くしている時には自分の中にある恐れを感じている暇がありません。
恐れを感じないと不正直な対応に陥ることもありません。
その結果、人間関係のトラブルは激減しました。
では刺激に嗜癖することへの対処策となる新しい行動パターンは何でしょうか?
それは「『神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求める』ことに全力を尽くす生き方」です。
そもそも不安を感じるのは自分の意志を我力(がりき)で生きようとするからです。
自己意志に生きる生き方を放棄して、神の意志を生きる生き方に全力を尽くしている時、不安を感じている暇がありません。
不安を感じないと刺激に嗜癖するという依存行動に逃げ込む必要がなくなります。
②霊的に目覚めることによって
私たち依存症者が片時も忘れてはならないことは、強迫観念と渇望現象を特徴とする依存症は治らない病気であるということです。
どのようにステップを踏んで新しい生き方を身に着けたとしても、脳の報酬系と言われる部位に依存症回路が存在するという事実に変わりはありません。
ですから新しい行動パターンを実践することによって人生が好転して、そのことによって脇が甘くなってしまうと、強迫観念はその脇の甘さをついてきます。
そしてあえなくスリップしてしまいます(笑)。
もちろん笑い事ではありません。
強迫観念が教えるウソを見破るための唯一の方法は霊的に目覚めることです。
だからこそ物質依存や行為依存を持たない思考習慣の依存症であるACや共依存症者も12ステッププログラムに取り組んで霊的に目覚める必要があるのです。
12ステッププログラムに徹底して取り組むと霊的に目覚めます。
霊的に目覚めるとは回復するのに充分な人格の変化を指しています。
人格の変化とは要するに、視点が変わるということです。
今までは他人が全部悪いと思っていたのに、実は問題は全部自分にあったということに気づくのです。
これに気づくと「他人は自分を傷つけることは出来ないし、不幸にすることも出来ない」ということが事実なのだと明らかに理解できるようになります。
回復の順番は、まず霊的にめざめること、次に統合作業に取り組むことです。
またACの場合は親替えするのも必須のことです。
◎回復と平安を祈っています。