毒親に対してアダルトチルドレンはどのような対応をすればよいでしょうか?
ありのパパから見て「それはセカンド・レイプを受けているようなもの」と感じる対応をされる方もいますし、その正反対に絶縁してしまう方もおられます。
ありのパパの毒親への対応は三段階に分かれます。
ありのパパの例を通して、どのように対応すればよいのかを見ていきます。
1.カウンセラーとして対応していた時期
利害関係のある人をカウンセリングすることは出来ないという鉄則を無視して、年老いた母と統合失調症の姉に対してカウンセラーとして対応しようとしていた時期がありました。
来談者中心療法のやり方である傾聴中心の接し方をしましたが、片方は毒親であり、毒吐きしかしません。
もう片方は統合失調症のため意思疎通が困難です。
このような状況の中で傾聴などはあまり効果がないのは明らかなのですが、神が奇蹟を起こしてくれるかもしれないと期待をしていました。
しかし当然のことながら奇蹟は起きませんでした。
それどころか母親に対しては2時間、姉に対しては1時間の面談タイムをとっていたのですが、その受けた毒を帰りの電車の中で怒りを爆発させるという形で吐き出していました。
しばらくの間その誤りに気づかなったのですが、ようやく気づく時がやってきました。
「何で面会のあとで怒りが爆破することが多いのか?」と疑問に思ってはいました。
因果関係が分かってからはカウンセラーとして対応することを一切やめました。
ただし、カウンセリング・マインドで接することは当然のこととして継続しています。
2.「どっかのおばちゃん」として対応していた時期
次にやったのは「どっかのおばちゃん」として対応することでした。
これは一番目の対応に比べればだいぶマシでした。
メリットもありました。
それは目の前にいる母が「どっかのおばちゃん」だとしたら、失礼なことを言われたら反撃するし、的はずれなことを言っていれば「よぉそんな馬鹿なことを言うな〜」と笑うことも出来ます。
この時期に学んだことも大きかったです。
対等な関係として「失礼なことを言ったら承知しないぞ!」という気概(きがい)を持って接することが当たり前のことになりました。
しかしこの対応の仕方にはデメリットもありました。
それは「そもそもどっかのおばちゃんに何で2時間も掛けて話を聞かないといけないのか?」ということになるからです。
そしてこの疑問は正しくまっとうなものです。
ですからこの対応をとっていた時期はとてもストレスがたまりました。
3.埋め合わせとして対応するようになった時期
12ステッププログラムに徹底して取り組むようになって教えられたことは埋め合わせの大切さでした。
アダルトチルドレンの中には「埋め合わせをしてもらいたいのは自分のほうである。なんで親に埋め合わせをしないといけないのか?」と仰る方もおられます。
しかしその見方は一見正しそうですが、深みに欠けた見方です。
もちろん埋め合わせは第一義的に自分が迷惑をかけた人々に対して為すべきものです。
しかしステップの8,9の真意は私たちが埋め合わせの人生を生きる決心と実践をするところにあります。
ですから直接迷惑を掛けていなくても、たとえばありのパパのようにかつて金融機関で働いていたときに同僚やお客様に迷惑を掛けた埋め合わせとして、金融機関の窓口で不愉快に感じる対応をされたときに、かつての自分の不手際を思い出し、その埋め合わせとして窓口の方に対応するのです。
このような生き方をしているとストレスや怒りとは無縁の生活を送ることができるようになります。
この原理を毒親との関係にも適応します。
例えばありのパパならキリスト者ですので「もうちょっとうまく導いてあげることができたかもしれないのに、こちらの力不足で申し訳ない」という想いがありのパパにはあります。
それでその埋め合わせとして毒親と対面するのです。
そうすると2時間毒を吐きっぱなしであったとしても終わったあとにストレスや怒りが貯まることはありません。
かえって「なすべきことを為すことができた」という達成感や満足感さえ持つようになりました。
4.人生の変化はステップ4から9までを行うことによって実現する
確かに12ステップの4,5が人生が変わる行動のプログラムの出発点です。
ここさえうまくスタートできれば、あとはスムーズに古い行動パターンを捨てる決心(ステップ6)、新しい行動パターンに従って生きる決心と神に助力を求めること(ステップ7)、そして残された人生を埋め合わせの人生として生きていく決心と実践(ステップ8,9)まで行けば、自分の意志と生き方を自分なりに理解した神の配慮に委ねることが実現しています。
5.霊的に目覚めていることを自覚する
ここまで来れば大抵の人は「霊的に目覚め」ています。
大切なことは自分が霊的に目覚めているという事実に気づくことです。
なぜなら12ステッププログラムに取り組む目的は霊的に目覚めるためであるのに、少しもそのことに焦点を合わせた歩みをしていないなら、得た時も無自覚なら、失った時も無自覚ということになりかねないからです。
それで「自分は12ステップに取り組んだが、はかばかしい効果が現れない」と嘆かれても、「そんなん知らんがな」ということになります。
どうぞ、行動のプログラムの三つのステップである棚卸し作業・新しい行動パターンに生きる決心と実践、そして埋め合わせの決心と実践を徹底して行うことによって霊的に目覚めていることを確かに自覚されますように。

◎回復と平安を祈っています。