人を助けたいという想いが病的なコントロール欲求に変質する理由

アダルトチルドレン(AC)とは子ども時代を生き抜くために使ったサバイバル術を大人になっても無意識のうちに使っている人のことを指します。
またACは共依存症とも呼ばれます。
その理由をありのパパの例を通して解説します。

        

1.無力だった子供時代に使ったサバイバル術

ありのパパの子供時代は、姉たちを見ていつも憐れに感じ、助けてあげることはないだろうかと思ってきました。
その姉たちは成人してから統合失調症を発症し、もう何十年も鉄格子の付いた病院に入院しています。
姉たちは子供の時から「なすすべなく立ちすくす」というところがありました。

統合失調症の発症の原因は今のところ分かっていませんが、推測されているのは遺伝的素質と環境的要因が組み合わされて、それに気質が誘因となり発症するのではないかと考えられています。

今から思うと母親には発達障害の傾向がありました。
それは人の気持ちがわからないという点に現れていました。
この組み合わせでは、子どもが精神の病になったり、アダルトチルドレンになるのは必然だったのかもしれません。

ありのパパの子供時代はそういう訳で自分の無力を知りつつも、かわいそうな人たちを何とかしてあげたいという思いに突き動かされていました。

        

2.出来事を否認し、合理化するのはサバイバル術の一つ

姉が寂しそうにしているので、「どうしたのか?」と聞くと、クラスの仲の良い人達とハイキングに行く約束をしたのだが、弁当を用意することが出来ないので行くことが出来ないと言います。
それで私はスーパーに行って、太巻きを買い、それを包丁で切って弁当箱に詰め、リュックサックにリンゴを入れました。
それでもグズグズしているので、姉を集合場所まで連れて行きました。
姉の背中を押し、「お〜、○○、きたか!」という友達の声を聞いてから、その場をあとにしました。

その時の感情は達成感を感じてもよいはずなのに、逆に泣きたいような気持ちになったのを覚えています。
そしていつもパターンである、その気持ちを否認し、感じないように抑圧し、そして「こんなことはどんな家庭でもある」と合理化しました。

        

3.大人になっても子ども時代のサバイバル術を無意識に使う

ありのパパの子供時代の「救い主願望」は大人になってからは病的なコントロール欲求へと変質していきました。
長い間、そのことに気が付きませんでした。

しかし気がついてみると、大人になってからのほとんどの決断が病的なコントロール欲求に基づいたものだったと認めざるを得ませんでした。
その時には神の導きによると信じて決心したことも、その多くが病的な支配欲求によるものでした。

12ステップ・グループでよく言われることは「仲間と家族を変えようとする気持ちを手放せ!これを手放さないと、結局自分を傷つけ、他者を傷つけることになる」というものです。

私たちに出来ることはメッセージを運ぶところまでです。
メッセージを運んだら、あとは当人の問題であり、神さまにお任せすべきです。

        

4.共依存とは何か?

ありのパパは自分のことを共依存症者と認定しています。
共依存とは他者に対して依存的であることを特徴としています。
しかし、その本質は「私はあなたの奴隷になるから、あなたはわたしの思い通りの人になり、思い通りに動いてね」というものです。

ありのパパには他者に対して依存的になるという傾向はありません。
どちらかというと支配的であることを隠しつつ、コントロールしようとする傾向があります。
ですから、その意味では共依存症ということは出来ないのですが、共依存の本質である「だからわたしの思い通りの人になり、思い通りに動いてね」という部分は全く共依存症者と同じです。

        

5.健全なコントロール欲求と病的なコントロール欲求のちがい

健全な支配欲求は誰でも持っていますし、ある面では持っていなければならないものです。
なぜなら全くコントロールしないなら場が混乱を極めてしまうからです。

人は誰でも、流れるように場面が展開すると安心するものです。
その中で一波乱があると満足度がアップします。
しかし混乱に混乱を極めると、満足するどころか不満と不安が増大します。
ですから健全なコントロール欲求は必要であり大切なものです。

しかし病的な支配欲求はこの一波乱を異様に嫌います。
ありのパパも嫌いというか恐怖を感じます。
しかし決まりきった展開は人につまらなく感じさせるのを知っていますから、自分に言い聞かせます。
自分に言い聞かせないと、すぐに病的な支配欲求が表に出てきてしまいます。

何の波乱もなく物事が進んでいくと満足するはずなのですが、内心では「これでは何もしないのと同じではないか?」という気持ちになります。
全力投球したにもかかわらず、結果は0点みたいな感じです。

アダルトチルドレンのための12ステッププログラムに出会ってはじめてこのカラクリに気づくことが出来ました。
当たり前のように、この記事を書いていますが、何十年もの間このカラクリに気づけず、人生は空回りするばかりでした。

現在では人をコントロールすることに対して無力であることを認めつつ、そこから最大限の距離を取りつつ歩んでいます。
これからも日々の棚卸しを続けながら、なおなお自分自身の心の有り様に気づきを与えられ続ける歩みをなす決心を新たにしています。

この記事を読んでおられるあなたへ

ありのパパは、この気付きを定年間近になってはじめて得ることができました。
しかし、この記事を読んでおられる方々には、あなたの若い日に気づきを得てくださいますようにと願っています。

この気付きは、どなたであっても12ステッププログラムに徹底して取組むなら必ず与えられると約束されているものです。
ありのパパは12ステップに取組む以外に、この気付きを得る方法を知りません。

◎回復と平安を祈っています。

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