一日で12ステップ全部を踏める方法をご紹介します。
これはありのパパが毎朝実行しているやり方でもあります。
わずか数分から10分程度で出来てしまいます。
1.依存症は治らない病気という認識はあるか?(ステップ1)
ステップの1には「自分が持っている依存症に対して無力である」と書かれてあります。
それで多くの方は「私は無力を認めます」と言えば、ステップ1を踏んだものと誤解します。
しかし単に無力を認めるだけでは充分ではありません。
ステップ1を本当に踏んだかどうかの試金石は「回復への意欲を持つ」ことです。
もしステップ1を踏んだと言いつつ、回復への強い意欲をもてないとしたら、未だにステップ1を理解したとは言えないのです。
①問題は二つある
依存症の問題は(精神面での)強迫観念と(肉体面での)渇望現象です。
a.強迫観念とは何か?
物質依存であるアルコール依存症なら、強迫観念は「最初の一杯」とか「狂気」とも呼ばれます。
これは「飲んだらいけないと分かっているのに、強迫観念が襲ってくるとコロリと騙されてしまう」ことです。
b.渇望現象とは何か?
行為依存であるギャンブル依存症なら、「少し打つだけなら良いではないか?」という強迫観念が教える嘘にコロッと騙されてパチンコ屋に入ると、どうしても店から出ることが出来ないことを指しています。
あるギャンブル依存症者はパチンコを打ちながら、泣きながら「神さま、助けてください。私にはパチンコ屋から出ていく力がありません」と祈ったそうです。
しかし残念ながら12ステッププログラムは渇望現象には効き目がありません。
12ステッププログラムが効くのは強迫観念に対してだけです。
このようなわけで、依存症から回復しようとするなら、その依存の対象物を一切やめてしまうという対策しかありません。
c.思考習慣の依存症者はどうか?
物質依存でもなく行動依存でもない依存症が存在します。
それがアダルトチルドレンです。
(共依存症は人を支配するという点で行為依存と思考習慣の依存の両面を持っています)
ありのパパは長い間「自分には渇望現象がないのではないか?」と感じてきました。
しかし、あるとき「そんなことない。しっかり私の中にも渇望現象がある」と気づくことが出来ました。
それは例えばテレビを見始めると延々と見てしまうことです。
またネットテレビなどで続き物のドラマを見始めると最後まで見てしまいます。
これがアダルトチルドレンにおける渇望現象ということが言えます。
②問題の本質は何か?
依存症の問題の本質は「自分が」無力だということです。
ここで注意が必要です。
ここで言おうとしている無力とは無気力とは全く異なるということです。
ここで言う「無力」とは、「自分が無力だったら、自分以外の者に頼れば良い」という理解を生み出すもとになるものなのです。
「自分の人生の困難さの真の原因は、この問題に対して自分が無力というところにあると分かった。だったら自分以外のものに解決をお願いしよう」と考えることができたら、その人は必ず回復への意欲を持ちます。
もう既に回復したかのような喜びさえ持つかもしれません。
意欲とは、そのような性質のものです。
○あなたは「問題は2つありますが、それは何ですか?」「問題の本質は何ですか?」と質問されて、明確にお答えになることが出来るでしょうか?
この質問に正確に答えることができれば、あなたはステップ1を踏んだということができます。
2.信じるとは、二つの解決策が与えられると信じること(ステップ2)
ステップ2の文言は非常にシンプルであるために、「信じた」の一言で済ませてしまう方もおられるかもしれません。
しかしそれではステップ2を踏んだとは言えません。
①解決策も二つある
信じるという時、対象物を信じるというだけでなく、どのようにして回復するのかという解決策をも信じるということでなければなりません。
依存症の解決策は2つあります。
これを「問題が二つあるように、解決策も二つある」と言います。
a.一つ目の解決策は共同体から受ける助けと支え
同じ問題を持った仲間たちの分かち合いを聞くことによって、また自分が話すことによって、共同体から助けと支えを受け取ることができます。
ただし、ここまでならそれは集団療法(グループ・セラピー)と変わるところがありません。
グループ・セラピーを悪くいうつもりはありませんが、これだけではいつかは失望して共同体から離れてしまうでしょう。
b.二つ目の解決策は霊的目覚め
12ステッププログラムが他の治療法と比べて驚異的な回復率を上げている秘密は、この『霊的目覚め』にあります。
ですから12ステッププログラムに取り組む目的は霊的目覚めを得るためということができます。
この霊的目覚めを得ると、強迫観念が教える嘘を容易に見破ることができます。
これなしに自分の意志だけで強迫観念に打ち勝つことは絶対に出来ません。
②解決は何か?
問題の本質(原因)が自分の無力にあるのだとしたら、当然のこととして解決は自分を超えた大きな力にあるということなります。
○あなたは「解決策は2つありますが、それは何ですか?」「解決はなんですか?」という質問に明確にお答えになることが出来ますか?
もし明確に答えることができたなら、あなたはステップ2を踏んだということが言えます。
3.委ねる決心をしても委ねたことにはならない(ステップ3)
ステップの1と2を踏んだら、霊的目覚めを得るために誰に言われなくても次の一歩を踏み出すものです。
それがステップの3です。
ステップの3は1や2と違って文字数が多いので、何か大変な印象を受けますが、実は何も大変なことはありません。
というか最も簡単なステップということが出来るかもしれません。
なぜなら「委ねる決心」をするだけだからです。
ほんとうにこれだけです。
ただし、間違ってはならぬことは委ねる決心をしても委ねたことにはならないということです。
①解決策を受け取る作業をはじめる決心をする
実際に委ねるためにはステップ4から9をやり遂げることが必要です。
12ステッププログラムの効果もステップ9を踏んだあたりで出てくる場合が多いです。
②自分の意志とか、生き方は何を意味しているのか?
自分の意志とは考えのことであり、生き方とは行動を指しています。
では意志とは何かご存知ですか?
意志とは本能をコントロールする役目を持った機能のことです。
本能とは生きていくために神が人類に与えられたものです。
本能には共存本能・安全本能・性本能・将来野心の四つがあります。
人生上のトラブルはこの本能が暴走することによって引き起こされるものです。
③委ねるとはどういうことか?
委ねるとは具体的には、今迄は自己意志だけで自分の本能をコントロールしていたのを、これからは自己意志と神の意志が協働(きょうどう)して本能をコントロールするということです。
健康な人であっても本能のコントロールは難しいものです。
それが依存症者であれば、なおさら難しいというか、ほぼ不可能です。
この出来ないことをやろうとしていたのを止めて、これからは神の意志と協働することに決めるのてす。
もちろん協働と言ってもリーダーは神の意志です。
自己意志はリーダーである神に事あるごとにどうしたらいいかを聴きます。
ちなみに神の意志は私たちの心の奥底に存在します。
奥底とは潜在意識の更に奥ということです。
顕在意識の自己意志と神の意志が手を結んで、中間領域にある潜在意識をコントロールするのです。
世俗的プログラムの致命的な欠陥は、潜在意識を顕在意識だけでコントロールしようとするところです。
潜在意識(あるいは本能)は暴走する原子炉のようなものであり、決して顕在意識だけでコントロールできるものではありません。
④自分なりに理解した神とは何か?
特定の宗教を持っている人は、その宗教の神を自分なりに理解した神とすればよいです。
では不可知論者や無神論者はどうしたら良いでしょうか?
まず無神論者ですが、ご自分の信じられるものなら、何でも良いのです。
自分の信じたいものを自分なりに理解した神にすればよいです。
次に不可知論者ですが、この人たちは「神はいるかもしれないが、私たちには関係のない存在である」と思っています。
関係がないと思っているものを信じることは出来ません。
なぜなら私たちが信じるのは「自分を健康な心に戻して」ほしいからです。
そうであるのに何の役にも立たないと思っているものを信じても仕方がありません。
ではどうすればよいのでしょうか?
簡単です。自分が信じたくなるような神がおられると仮定すれば良いのです。
そしてそれが本当かどうかは、ステップを最後まで踏んだときに明らかになります。
○みなさんは「自己意志とは何か?」「本能とは何か?」「委ねるとはどういうことか?」「自分なりに理解した神とはどういうことか?」の四つの質問に正確にお答えになることが出来ますか?
もしできればステップ3を踏んでいるということが出来ます。
4.行動のプログラム(ステップ4〜9)
①棚卸し
棚卸表を書く目的は自分の性格上の欠点とそれにもとづく行動パターンを発見することです。
それ以外の何ものでもありません。
そして棚卸表を書くということは、それを自分以外の誰かに見せるということを前提にしています。
なぜなら他者に見せないなら、わざわざ表にする必要はないからです。
何よりもステップ4,5をやるのは、ステップ6と7につなげるためであることを強く自覚してください。
「ステップの4,5まではやったのですが……」と言う人をよく見かけますが、これは本当はありえないことです。
なぜなら本当に4,5をやったのなら、必ず「私は今6,7に取り組んでいます」と言うようになるからです。
②古い行動パターンと新しい行動パターン
ステップの5で自分を支配していた性格上の欠点とそこからくる行動パターンが分かったら、今度はその古い行動パターンを使わない決心をし、古い行動パターンと対極にある新しい行動パターンを使って生きていく決心をし、神に助力を求めます。
③埋め合わせ
棚卸表が埋め合わせ表になります。
この埋め合わせ表を使って、「すぐに埋め合わせをする」「できたらやる」「できない」に分けます。
そしてすぐに埋め合わせに取り掛かります。
しかし実行にあたってはスポンサーなどと相談しながら慎重に行います。
○みなさんは「あなたの性格上の欠点はなんですか?」「古い行動パターンと新しい行動パターンはどんなものですか?」「埋め合わせする意欲はありますか?」という質問に明確にお答えになることがおできになりますでしょうか?
もし明確にお答えになることができたなら、あなたはステップの4から9を踏んだと言うことができます。
5.続けるステップ(ステップ10〜12)
①日々の棚卸し
マイナス感情である恨み&怒り、恐れ、罪悪感、後悔がふたたび自分の心に戻ってこないように自分の心を見張っていることが大切です。
これらの感情を感じるときには、即座に棚卸しを自分自身で行います。
日々の棚卸しが習慣になると、毎日のように小さな奇跡を体験できるようになります。
それは棚卸しをするまでは「激おこ、プンプン丸」だったのが、わずか数分間、棚卸しをやるだけで、なぜか「笑えてくる」のです。
まるで憑き物が落ちたようにです。
ありのパパは日々の棚卸しを実行するようになってから、「人は私を不幸にできないし、幸せにすることもできない。まさに幸せは自分持ちなのだ」ということを真に理解するようになりました。
②自分の計画を放棄し、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求める
「ステップ3で神に委ねた自己意志が、ステップ10で神の意志として還(かえ)ってくる」と言われます。
毎日の祈りと黙想を通して、自分の計画や願いを放棄して、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求めます。
③サービス
ステップ11までを確かに踏むなら、誰にでも霊的目覚めが与えられると約束されています。
問題から解放され、日々成長していきます。
さて、あなたはミーティングにメッセージを運んでおられますか?
それとも依然として泣き言と毒吐きに終止しておられるでしょうか?
「受けることによって与えられたものよりも、与えることによって受けたもののほうが遥かに大きい」と多くの先ゆく仲間たちは言っています。
もし、あなたがステップの11まで踏んでおられるなら、あなたにとって最大のメッセージを運ぶ場所はミーティング会場です。
そして未解決のまま残っている他の問題についても、12ステップの原理を応用して解決することが可能です。
○「あなたは霊的に目覚めましたか?」「今苦しんでいる仲間にメッセージを伝えていますか?」「他の問題も12ステップの原理を応用して解決しようとしていますか?」という質問に明確にお答えになることができますでしょうか?
もし、明確に理解しているなら、あなたは12ステップ全部を踏んでいるということが言えるでしょう。
質問は全部で14個ありました。
この質問に朝ごとに応えることによって「私は果たすべき条件を果たしている。今日一日神を信頼して生きていくことができる!」と心に平安をもちます。
◎回復と平安を祈っています