依存症からの回復を目指す施設、いわゆる中間施設と呼ばれる所ではどんなことが行われているのでしょうか?
今日は皆さんにRD(リカバリー・ダイナミクス)デイケアセンターで2017年07月15日から行われている『RD5日間トライアル 土曜日セミナー』の様子をご紹介ます。
今回はその四回目となります。
1.前回までの復習
RDではセッションの三分の一から半分を割いて、前回までの復習をします。このやり方はまどろっこしく感じますが、12ステップをひとかたまりとして捉えることが容易になります。
①依存症は精神と身体の両面の病気
依存症には強迫観念と渇望現象があります。
気分を変えるために依存物質を使う→これが強迫観念の本質。
霊的目覚めなしには強迫観念に勝つことは出来ない。
意志の力は強迫観念に絶対に勝てない。
②神の意志はどこにあるか?
私たちの心の一番深いところにあります。
③自己中心的な人とは?
自分のことばかり心配している→心配事に考え行動が支配される→本能を満たすことで一杯→自分だけを喜ばせる生き方→他人を理解し、忍耐する力を使わない→その結果、他人が傷つき、仕返しされる→(最初に戻って)自分のことばかり心配している。
これを負の連鎖という。
2.棚卸しについて
ビックブックでは商売の棚卸しと個人の人生を対比させています。
棚卸しをしない商売はいつかは倒産する→自分の人生が思い通りにならなくなった。
在庫品の現状を知る努力→自分の失敗の原因となっている自分の欠点を探し出す。
在庫品をごまかさない→自分が生きている上で障害になっているものに対面し、捨てるための絶え間ない努力を行う。
①棚卸表の具体的書き方
a.私は誰を恨んだか?→まず恨んだ人の名前だけを最初に書きだす。
b.何で恨んだか?→恨んだ理由だけを書き出す。
c.本能のどの部分が傷ついたか?→共存・安全・性・将来野心
d.過ちの本質→利己的・不正直・身勝手&恐れ・配慮の欠如
身勝手も恐れも同じプロセスで生まれてくる。だから一括りにされている。
世間に冷たくあしらわれ、傷ついたというのが、依存症者が出すお定まりの結論だった。
恨みには(恨みを何回も繰り返し感じることにより)恨まれている人に恨んでいる人の人生を支配させてしまうというからくりがあります。
相手に毒を飲ませたいのに、実は自分が毒を飲んでいた!(笑)
②恨みを手離し、愛・寛容・忍耐で満たす
恨みは依存症者にとって毒以外のなにものでもない。
恨みの95%は棚卸しをすることによって、残りの5%は祈りによって手放すことができる。
③恐れは反応である
先延ばしは恐れの産物である。自分に不利益になる失敗を恐れる。
その結果として処理できない仕事が山積みになり、そのことが新たに恐れを生む。
罪悪感とは人の行動に影響を与える過去への恐れである。
罪悪感と恐怖は「今」を破壊する。
④性の棚卸し
誰が私たちを傷つけたのかではなく、私たちが誰を傷つけたかを書く。
今までと視点が逆になる。
過ちは自己が利己的、不正直、身勝手、配慮の欠如によって支配されているときに生じる。
恨みがなくなれば、愛と寛容と忍耐が心に満たされる。
恐れが消えると、勇気が心に満たされる。
性の振る舞いの暴走がなくなると、知恵ある生き方が可能になる。
プライドが小さくなっていくと、謙虚さが拡っていく。
3.ステップ5
他人に見せることによって、真実をより一層知ることができる。
過ちを認めるのではなく、過ちの本質を見つけることがステップ5の目的です。
[もう一人の人(シェアリング・パートナー)が身近にいない方はありのパパがその役をやらせていただくことが可能です。詳しくはシェアリング・パートナーをお探しの方へをご覧ください。
4.ステップ6、7
変化こそが肝心で、ステップ6と7は変化をもたらす簡単な霊的道具一式である。
変化をする準備のために『意欲』が必要。
回復のためにステップ6と7を明確に理解し、毎日実行する必要がある。
新しい車がほしいなら、新しい車を買う前に、古い車を手放す決心をする必要がある。
古い意志はつねに現れてくる。新しい意志との衝突が絶えず繰り返される。
変化をするには『最大限の努力』が必要。
具体的には
・日々の生き方の思考プロセスをその都度吟味する。
・何かが生じたら新しい今までと違った対応を選択する
「私の意志ではなく、神の意志は私に何をさせたいのかを考える」
・生活のスピードを遅くし、自動的な対応をしないように自分自身を律することが必要。
・反応的に対応しないことを実践する(早急に答えない・一呼吸おく)
日々練習だ!!
①愛とは、他者への関心
恨みのとらわれから自由になるためには、愛が不可欠!
すなわち愛によって自由になる。
②自分自身への愛を持つ
自分自身にも関心を持って愛する→自分を恨む(自己憐憫)理由は自分に恨みを持つと、自分を直視しないですむからです。
③愛を受け取れるようになることも大切
愛は簡単ではない!
相手に関心がなければ愛は発揮できない。
愛は練習しないと身につかない。
常に思っていないと身につかない。
④他人の過ちを訂正しない(相手を変えようとしない)
寛容の反対語は非難
心が広く、言動を受け入れ、他人の過ちを厳しく責めない。
寛容は愛にもつながる
利己的な人は寛容が難しい
自分にも寛容であれ(自己非難をしない)
自分の過ちを認めることも寛容
自分が元々足を踏んでいなかったか?
自分にも悪いところがなかったか?
⑤忍耐
忍耐とは、人生のタイミングを受け入れる能力。
なぜなら、自然のすべてがそれ自身のタイミングで起きるのだから。
神のタイミングを無視して「うまくいけ!」という。
だから人生がうまく行かなくなった。
これからは神のタイミングを受け入れる。
・自分がステップに繋がったのもタイミング
・出来なかったことも、神のタイミングがくると出来るようになる
・自分がやりたいことをやめるのも忍耐である
『寛容と忍耐を身につけるのが霊的成長』
愛と忍耐が不足すると怒りが生み出されやすくなる。
⑥勇気
人が恐れに向き合うことを可能にする精神ないし霊性の状態を指す。
依存物質ないし依存行動で恐れを押さえてきた。
それらによって偽りの勇気を増進させ、一時的な安堵感を得てきた。
しかし、いつかはそれでは満足できなくなり、より多くのが依存物質や依存行動が必要になる。
依存物質や依存行動で恐れを抑えると、その反作用で恐れは一層強くなる。
未知のものに対して恐れを感じる。
「めんどくさい」「怠惰」は恐れのあらわれ。
恐れが強いと不正直になる。
恐れを取り除くときに必要なもの→勇気・やる気・信仰心
『勇気を持って行動すると変化が生まれる』
・変化には時間がかかる。だから継続することが大切。
・神のタイミングを受けいれることが大切。
⑦知恵
性の振る舞いの暴走の対極に知恵がある。
未知のものに、どう対応していくかが知恵。→きちんと考える!ということ
未知のものを自分の知り得た知識だけで判断する(妄想・想像)→自己中心的
⑧謙虚さ
謙虚の反対語はプライド。
謙虚とは神に対し、人に対し、ありのままの自分を受け入れること。
神の意志に従ったあるがままの生き方。
謙虚さは屈服でも、卑屈でもない。
a.自分で「こんなことは大丈夫だ!」と思うのは、自分に対して謙虚でない→自分に不正直
b.「私が正しいはずだ!」と思うのは、相手を変えてやろうという自分の欠点がでているから謙虚さがもてない→広い視野がもてない
c.ステップが進むにつれて「神の意志を知り、それに従いたい」という謙虚さが身についてくる。
『謙虚さとは最後にまとうコートのようなもの』
◎回復と平安を祈っています。
(一回目)12ステップを依存症からの回復を目指す中間施設で学んでみた!
(二回目)共同体の助けと霊的目覚めが依存症の解決策。信じることは難しくない