アダルトチルドレンがもつ『見捨てられ不安』に対処する唯一の手段は『育て直し』をすることです。
この記事では見捨てられ不安がどこから来たのかを明らかにし、そこから回復していくための根源的な方法を解説しています。
1.見捨てられ不安はどこから来るのか?
見捨てられ不安は人格的な関わりを持つことが出来なかった養育者たちから私たちが受け取ったものです。
人格的交わりとは「あなたはそのままでいい」「あなたは価値ある存在である」と養育者から絶えず声をかけてもらうことによって、「親がそんなに言うなら、私は価値ある存在にちがいない」と自分自身を見積もるようになることです。
子供時代にこれが出来ている人は、成人してからも苦労なく高いセルフイメージを持つことできます。
たとえ仕事上で失敗しても「こういうこともたまにはある。でもだからと言って、それで私が生きていたらいけないということにはならない」と考えることができます。
しかし低いセルフイメージをもっていると、誰も気にしていないような小さな失敗をしても「私は生きていたらいけない存在だ」と一挙に奈落の底まで落ち込みます。
周囲から見るとなぜそんなことで落ち込むのか理解不能であり、その人の失敗よりも、その人の落ち込みを迷惑に感じることのほうが多いのです。
2.解決方法は育て直しをすること
自分に見捨てられ不安があるのは親のせいであると考えているアダルトチルドレンが多いのですが、実はそうではありません。
確かに見捨てられ不安をもつようになった原因は養育者にあります。
しかし大人になった今でも見捨てられ不安を抱えたままでいるのは、その人の責任です。
なぜならその人には、肉の親に自分の心の中から出て行ってもらい、自分が自分自身の親になるという責任があるにもかかわらず、その責任を放棄しているからです。
これを親替(おやが)えと言います。
肉の親にしてもらえなかった『自分育て』をし直すのです。
これを育て直しと言います。
肉の親が言ってくれなかった「あなたはそのままでいい」「あなたは価値ある存在である」という言葉を存分に自分自身にかけてあげるのです。
また失敗したときなどは、毒親ロボットは「ほら、やっぱり失敗した。言わんこっちゃない」などとお決まりのセリフを吐きます。
しかし、「そうじゃない。失敗したからといって、あなたの存在まで台無しになるわけではない。あなたが価値ある存在であることは変わらない」と言ってあげます。
これがもう一人の自分である自分自身を育てるということです。
そしてこれは自分だけではできません。
神と協働(きょうどう)して初めて成し遂げることができます。
3.感謝日記を書く
感謝日記を書くことで、「見捨てられ不安」というACの特徴を軽減することができます。
朝、目標日記を書きます。
そして夜、その目標日記に書いたことを点検します。
そうすると多くのことが実現しているのを見ます。
セルフイメージが低いと、一つ実行できなかっただけで「自分はだめ人間だ。生きていたらいけない人間だ」などと根拠のない妄想が拡るのがアダルトチルドレンです。
しかし現実には多くのことを日々成し遂げているのです。
その事実を再確認することによって「ほら、こんなに沢山のことを実現できているじゃないか」と自分自身に教えてあげるのです。
この作業を日々続けていくと、潜在意識とか自分自身と呼ばれる部分が「言われてみれば、確かにその通りだ。多くのことを実行できている」と自己認識(セルフイメージ)が変化していきます。
具体的なやり方
目標日記を書くときは「~させてもらう」とか「~させていただく」と書きます。
なぜなら自分の力では出来ないことを、神の力によってやらせていただくからです。
感謝日記を書くときは「~が出来た」と書きます。
「出来た」という言葉を繰り返し書くことで「出来ている自分自身」というセルフイメージが作られていきます。
4.見捨てられなかった体験を積み重ねていく
一日の中で感謝できることを探していくと、不思議なことに自分の一日を神が支配しておられるのを気づくようになります。
神が「私の生活と人生」を支配しておられると知るのは、自分には超強力な味方がいるのを知ることです。
神はあなたは見捨てません。
しかし言葉でいくら「見捨てない」と言われても、アダルトチルドレンは信じることができません。
なぜなら子供時代にいやというほど見捨てられる体験をしてきましたから。
だからこそ大人になってから新しく「見捨てられなかった体験」を積み重ねていく必要があるのです。
二種類の「見捨てられない体験」をする必要があります。
一つ目は自分が自分自身を見捨てない体験
「自分なんかダメだ!」と泣き言を言っているのは、そのたびに自分自身を見捨てているようなものです。
あなたの泣き言を「自分自身」は聞きながら「やっぱり自分はダメな存在なんだ。なぜなら肉の養育者も『あんたはダメな子ね』と言ったし、大人になってからの親である「自分」も『自分なんかダメ奴だ』と言っている」と自分自身はダメな存在であることを確認しているのです。
ですから決して自分自身に対して否定的なことを言ってはいけません。
なぜなら、それは事実と異なるからです。
二つ目は神があなた自身を見捨てない体験
感謝日記を書くことによって神が自分の生活を支配しておられるのを知ることは、神が私の味方であり、私を見捨てない証拠を確認することでもあります。
「神様が私たちのすべてを支配する主権者であるということを信じるところに、生きた本当の信仰があるのです」[ルカによる福音書17章10節]
二種類の「見捨てられない体験」を積み重ねていくことによって、アダルトチルドレンの病的な見捨てられ不安の軽減をはかることが可能になります。
5.アダルトチルドレンの見捨てられ不安はなくなるか?
残念ながら、なくなることはありません。
ACの見捨てられ不安は単に「見捨てられたら怖い」と思っているのではありません。
そんな見捨てられ不安なら誰でも持っています。
これに対してACがもつ見捨てられ不安とは「見捨てられたら怖い」という思考と感情が固着したものです。
固着したとは、依存症者が自らの生き辛さを耐えるために特定の物質や特定の行動に嗜癖するように、見捨てられ不安からくる行動パターンを使って自らの生き辛さから目を背けることです。
要するにアダルトチルドレンの見捨てられ不安は、アルコール依存症者にとって「一杯ぐらい飲んでもなんてことはない」などとウソを教える強迫観念と同じものだということです。
アダルトチルドレンにとって「見捨てられないためには何をしてもいいんだ」というのは依存症の二大特徴のうちの一つの強迫観念にほかなりません。
依存症ですから治ることもないし、症状が消えてなくなるということもありません。
というわけでACや共依存症者の見捨てられ不安がなくなることはありませんが、見捨てられ不安の回路のスイッチを入れないで生きていくことは可能です。
もちろん長い間には、脇が甘くなって、気がついたら見捨てられ不安のスイッチが入っていたということもあるでしょう。
しかし、見捨てられ不安からくる行動パターンに支配されていることを気づけずに振り回されてしまうということからは自由であることができます。

◎回復と平安を祈っています。