(今日の記事は 2017年04月23日に行われたRDデイケアセンターの「RD一日体験セミナー」で教えられたことをありのパパの視点でまとめたものです)
ミーティング体験とは言ってみれば口伝によるものということが出来ます。
これは効果のある方法ではありますが、もし12ステップグループが話し言葉だけで運営されていたとしたら、12ステッププログラムは初めのものとは全然違うものになっていたでしょう。
そのような変質を防ぐために書籍が書かれました。→ビッグブックや12ステップガイドブックなど
1.ステップ1 二つの問題を知る
私たち依存症者は闇雲(やみくも)にがんばるのが好きです(笑)。
しかし問題を解決しようとするなら、問題は何かを知るのが先決です。
そのため依存症からの回復を目指す施設(リカバリー・ダイナミクスを採用する中間施設)では一回75分のセッションを4回行うことによってステップ1を学ぶようにしています。
ビッグブックは教科書であり、参考書でもなく、単なる読み物でもありません。
だからビッグブックを教科書として用(もち)いないと、ビッグブックが教えていることを本当には学び取ることが出来ません。
ビッグブックの内容は以下の通りです。
問題は何なのか?(ステップ1)
解決は何か?(ステップ2)
回復の実践とは具体的に何をすることなのか?(ステップ3~12)
これらを順番に学べるようにビッグブックには配置されています。
①問題は何か?
a.なぜ飲み過ぎてしまうのか?
それはアレルギーを持っているからです。(問題その1)
アレルギーとは人と異なる異常な反応をすることを指します。
それでアルコール物質が体内に入ると、渇望という異常な反応を引き起こします。
(もちろん、このアレルギーは依存症によって異なります)
渇望とは抑えようのない衝動、激しい欲求のことです。
これはアルコールを摂取した後でのみ起きる反応です。
b.なぜ、飲んではいけないと分かっているのに飲んでしまうのか?
それは精神的な強迫観念(嘘を信じてしまうこと)のためです。 (問題その2)
これはシラフの時におそってくる精神の問題です。
なぜそうなるのか?
・摂取物(この場合はアルコール)の累積的効果によるもの。
・感情に与える効果。(麻薬効果)
②嗜癖(しへき)という存在の意味
体は自然に成長するものですが、感情はそうではありません。
人格の感情面を成長させようとするなら、さまざまな痛みを伴う経験に正面から向き合いつつ、大人になっていく必要があります。
しかし、依存症者はその成長過程の中で依存物と出会います。
ある人はアルコールに、ある人は薬物に、ある人はギャンブルに、ある人は対人関係の依存症(共依存)になります。
また、ある人は特定の嗜癖をもたずとも病的な生き方を固着させます(アダルトチルドレン)。
結局、これらは真の精神的な成長から逃れている(エスケープ)のにほかなりません。
依存物との蜜月期には、それは人生を豊かにしてくれる存在のようにも見えます。
しかし、それはすぐにも人生の大問題へと転化し、私たちの人生を思い通りに生きていけなくします。
③ アディクション・サイクルとは何か?
依存症者は依存物を使わないと不機嫌になりイライラし、感情のバロメーターがあがります。
これをアディクション・サイクルと言います。
これはアルコールや薬物だけではなく、共依存症などの「病的なコントロール欲求」にも当てはまります。
人をコントロールしている間は上機嫌なのですが、人が自分の思ったとおりに動かないと途端に不機嫌になります。
問題の本質は[精神と肉体の両面における病気]であると理解するまでは真の解決はありません。
④ステップ1のゴールは回復への意欲を持つこと
強迫観念とは、分かってはいるけど止められないものです。
そしてこれは自分が本当に困った状態にならないと何とかしようとは思わないなものです。
「自分で何とかなる」「今まで通り、おとなしくしていればよい」と思っているうちは無力を認めることは出来ません。
ステップの1は無力を認めることがゴールではありません。
そうではなく、ステップ1は意欲を持つステップです。
意欲さえ持つことができるなら変わることが出来ます。
自分を超えた大きな力を信じるつもりさえあるなら、人は誰でも変わることができるのです。
2.ステップ2 二つの解決策を知る
自分を超えた大きな力が健康な心に戻してくれるとはどういうことか?
また、信じるようになったとはどういうことか?
①共同体の支え
自助グループと呼ばれる共同体(共通の問題を抱えている人たちの集まり)には仲間意識、友情、共感があります。
共同体(仲間)は私たちを支えてくれます。
しかし共通の問題を抱えているだけでは、AAのような共同体は生まれませんでした。
②共通の解決
仲間の助けを得ながら12ステップに取り組むことで、共通の解決を受けることが出来ます。
共同体の目的は一人一人が12ステップに取り組むことです。
もちろん取り組む・取り組まないは、メンバーの自由意志に任されます。
要するに取り組む気になるまで共同体にとどまっていればよいというわけです。(それまで命があればという条件付きですが)
③なぜ共同体の支えだけでは足りないのか?
不健康な心とは何を指しているのでしょうか?
それは精神面での強迫観念を指しています。
これが「二度と飲みません」と決意した人が再び飲んでしまう理由でもあります。
問題は精神面での強迫観念にありますから、当然共同体の力だけでは足りません。
なぜなら強迫観念は一人でいるときに襲ってくるものだからです。
共同体の仲間と24時間一緒にいるわけにはいきません。
だから「私はミーティングに通っているから大丈夫」ということは決して言えないのです。
心理現象のような霊的変化が全面的に起きなければ、依存症からの回復の可能性はありません。(ユング博士の言葉)
この変化が起きると、強迫観念が私たちに見せる嘘を簡単に見抜くことが出来るようになります。
④解決策は霊的目覚め
「簡単な霊的な道具一式(12ステッププログラムを指している)を手に取る」ことです。
そうしたら深い魂のところで霊的体験をします。
これだけが依存症に対する唯一の解決策となります。
霊的体験の本質は霊的目覚めです。
通常は時間をかけてゆっくりと起きます。
とは言っても2・3カ月の内に起きるものです。
もし何年も取り組んでいるのに霊的目覚めを得ていないとしたら、取り組みのどこかに問題があると考えたほうがよいでしょう。
アルコホーリクはある時、『最初の一杯』に対する防御の気持ちをなくしてしまいます。
ごくまれな例をのぞいて、自分自身であれ、他の人であれ、その『最初の一杯』を止めさせられる人間はいません。
その力(強迫観念に対する防御)はハイヤー・パワーだけが与えることができます。
⑤その力はどこに見つけるのか?
一人一人の心の深いところに神の意図があります。
おおわれてよくわからなくなっているかもしれませんが、必ずそのところにあります。
自分たちの中にはじめから組み込まれているのです。
自分自身の一番深いところに見つけることができます。
3.ステップ3 霊的目覚めを得る
① 神に委ねるとはステップ3以降に取り組むこと
自分で修理できないというのが無力の本質です。
自分で修理できないとなれば、修理に出して治してもらうことになります。
この自分に出来ないことを自分以外の存在に頼るということが、自分の意志と生き方を神にゆだねるということの本質です。
②自分なりに理解した神とは?
・神についてよく分からなくてもよいのです。
・他の人が信じる神でなくてもかまいません。
・自分なりの神への理解から始めます。
・それは結局のところ、何でもよいのです。
・そこから段々と神に対する理解を深めていくことが大切です。
③ステップの3の決心は何を意味しているのか?
問題の中で生き続けるのか(不信)、それともスピリチュアルな助けを受け入れるのか(信じる)を選ぶ決断をすることです。
私たちの抱える問題の核心は自己中心ということです。
思慮深く、忍耐強く、寛容であっても、その人の動機が恐れや不正直であるなら、結果としてそれは利己的振る舞いということになります。
自己意志のままに生きるとは、自分以外の他人や環境を変えることが出来ないにもかかわらず、「自分の願う通りになれ!」と命じる生き方であり、その結果は狂気に至ります。
だからこそ、今度は自分たちの意志と生き方を神にゆだねる生き方を始めるのです。
それは文字通り、解決策の中に留まり続けることを意味しています。
怒り・恨み、罪悪感、恐れ、後悔があると神と共に生きることが出来ません。
マイナス感情がなくなれば、神の意志とそれを実践する力が与えられるようになります。
◎回復と平安を祈っています。