辛かった子供時代の記憶を十分に思い出す時、何が起きるか?

今日は皆さんとご一緒に、アダルトチルドレンが子供時代の記憶を取り戻すとは、どういうことであり、何を意味しているのかを考えます。

1.アダルトチルドレンは子供時代の記憶を十分に取り戻すことによって回復する

私たちACにとっては、単に親の行為を思い出すというだけでは不十分です。
そうではなく『十分に』思い出すことで、家族の「忘れろ」ルールから自由になり、悲しみの作業(グリーフワーク)を始めることが可能になります。

この作業を行うことによって、病的で強迫的な他者への支配欲求から自由になることが可能となります。
また自分を親から切り離す(親替え)ことができるようになり、自分が何者なのか(アイデンティティ)を発見できるようになります。

2.十分に思い出すとは、どういうことか?

「親にこんなことをされた」とか「こんなことを親にしてもらいたかったのに、してもらえなかった」というだけでは不十分であり、記憶を十分に取り戻したということはできません。

幼かった時の自分自身の感情を感じることなしに、事実として「ああいうことをされた」とか「こういうことをしてもらえなかった」と言うばかりでは、それは単なる毒吐きに過ぎなくなる恐れがあります。
このようなことをしていると、ミーティングが告発大会になったり、壮大な毒吐きミーティングに成り下がる危険があります。

では、十分に記憶を取り戻すとはどういうことでしょうか?
それは「その時の自分の感情」を思い出すことです。
幼かった時の自分自身の感情をしっかりと味わうことです。

これは「子供時代の体験を大人になった自分が再体験する」ことではありません。
(このようなことをしていると、非ACの人々から「そんな昔のことにこだわっていても仕方ない。回復は自分持ちだよ」と言われるようになります)
そうではなく「子供時代の体験を子供時代の自分自身がどのように感じたのかを思い出す」のです。
(このような作業を語ると、非ACの方々にも「そう言えば自分にもそのような経験がある」と言ってもらえるようになります。この二つの違いがどこにあるかお分かりですね)

3.家族の「忘れろ」ルールとは何か?

この忘れろルールは子供時代は「自分の家のことを決して語るな。隠し通せ! (抑圧) 」ルールとして存在します。
これが成人して大人になると、今度は「こんなことはどこの家にもあったことだ。特段、珍しいことではない。大げさに言ってはならない (合理化) 」という忘れろルールへと変化します。

この「忘れろ」ルールは明文化されたものではありません。
無意識の領域で封印された記憶として存在するものです。

忘れろルールにしっかりと捉えられている人の特徴があります。
それは「あなたのご両親はどんな方でしたか?」とか「あなたの育ったご家庭はどのような家でしたか?」と質問すると、「両親は愛してくれました」とか「良い家庭でした」とか紋切り型で答えることです。

こちらは「そうじゃなくて『どんなふうに愛してくれたのか?』を聴きたいんだよ!」と叫び出したいようなもどかしさを感じさせられます。

4.悲しみの作業は、どう行うか?

ACは「感情を感じない」という症状を持っている人が多いです。
これは子供時代に感情を感じるとあまりにも痛いので感情を感じないようになったためです。

もう一つの理由は、感情は事実に付随するものだということです。
しかし肝心要の事実を「そんなことはなかった」と否認したり、「そんなことはどこの家にもあることだ」と合理化していると、事実に付随している感情は湧いてきようがありません。

この事実を思い出すという作業なしに「感情を取り戻す訓練」をしても空回りするばかりです。
順番を間違えてはいけません。
まず「あったことを無かったことにはできない」とすることが一番初めにやるべき作業です。

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5.病的な支配欲求の出どころ

ACの病的な支配欲求は、おもに「場をコントロールしたい」という欲求に現れます。
これは養育者が気まぐれだったり、野放図だったりしたことによるものです。
私たちは子供ながらに「自分が大人だったら、絶対にこんなことはしない」と感じていました。
それで大人になった今、律儀にもその時の願いを実現させているというわけです。
ただし、これは人迷惑な一人芝居に過ぎません。
なぜなら、コントロールされて嬉しい人はいないし、だれもが好きなように生きていきたいと願っているからです。
それを横から「あなたはこのように生きるべき」と指示まがいのことをされたら、誰でも余計なお世話だと感じるでしょう。

子供時代の記憶を『十分に』取り戻すことによって、ACは病的な支配欲求からある程度自由になることができます。
なぜなら「なぜ自分がこれほどまでにコントロール欲求が強いのか」の原因を知ることができるようになるからです。

インナーアダルトを育てる

6.この作業をどこで行うか?

子供時代の記憶を十分に思い出す作業は自分一人で行うとともに、AC系の自助グループで行うと大変効果があります。
なぜならACの子供時代の体験には似通った共通項があるからです。
それで人の話を聞いていて、自分の抑圧されていた記憶を思い出すということが頻繁に起きます。
ありのパパ自身は、ミーティングに参加して仲間の話を聴くことなしには自分の回復はおぼつかないと感じています。

◎平安と祝福を祈っています。

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