癇癪持ちは感情のコントロールが出来ないことを悩んではいるのですが、自分自身を被害者として捉えており、加害者意識が欠落している場合が多いようです。
この記事では夫が癇癪持ちの場合、妻はどのように接すればよいかを解説しています。
1.ご相談内容
はじめまして。ふるぽんと申します。
実は、夫の事で相談があります。
66歳の夫に癇癪があります。
一昨年まで、社会でバリバリ活躍していた人ですが、定年後は家にいます。
自分の気持ちを自分の言葉で表現するのが大の苦手であり、私との(夫婦としての)やり取りの時に癇癪が出てきます。
癇癪が出るときは【体を震わせて】言いたいことを言おうとしてます。
プライドが高く、でも本当は気が小さい人です。
なので、最近は私のほうで会話するのが嫌になり、距離を取るようになりました。
こんな人ですが、自分では(癇癪持ちであることを)自覚してないと思います。
(癇癪持ちであるとの)自覚が無い人とどう付き合って行ったらいいのか日々悩んでいます。
2.相談へのお答え
こんにちは、ふるぽんさん。
ご相談を下さり、ありがとうございます。
①熟年夫婦の問題をどう乗り越えるか?
(前日のご相談の)結婚前の若者同士ならば、相手が癇癪持ちであることを理由に関係の解消を考えることが出来ます。
しかし結婚して何十年もたったご夫婦なら、関係の解消は骨が折れることです。
(ただし、肉体的な暴力行為が伴っている場合は悠長なことを言っている場合でなく、身の安全を確保するためにすぐに行動に移すことが必要になります)
では、精神的・言語的な暴力行為の場合はどうでしょうか?
②「あなたが変わっても、ご主人は変わらない」と覚悟せよ
妻の対応には三通りあります。
a.隷従(れいじゅう)
一番目は「私さえ我慢すればよいのだから」と考え、ひたすら耐える妻を演じる生き方です。
これは一見美しいのですが、問題を解決しません。
「私さえ」と言いますが、お子さんがいる場合は致命的な悪影響を子供に与えることになります。
自分さえ我慢すれば、家はうまく治まると考えているのかもしれませんが、子供は必ずアダルトチルドレンになります。
家系の呪いを子供に受け継がせることになります。
b.盲従(もうじゅう)
二番目は「仕方ない。なんとか夫婦関係も破綻させず、自分も傷つかない方法を考るしかない」と、根本的な解決を目指すことをせず、その場しのぎの解決に終止する生き方です。
この二番目の生き方を選ぶ人が多いのではないかと思います。
しかし、この生き方は人間不信を深める生き方でしかありません。
そしてなにより、この生き方をしていると自分自身と自分の関係が悪くなります。
なぜなら「ありのままの自分が素晴らしい」と考え実践する生き方は、本心と建前が一致している生き方だからです。
本心と建前が一致していない生き方とは、心の中では「このやろう!」とおもいつつ、口では「そういうこともあるよね」とうそぶく生き方です。
これは一見知恵ある生き方のように見えますが、そうではありません。
このような生き方をする原因は私たちの性格上の欠点である恐れと不正直から出ているからです。
人に対する病的な恐れがあると、思っていることを口に出来ません。
そして恐れの故に自分自身に対して不正直な対応をしがちです。
そして悪いことに、不正直な対応は人々との間にトラブルを引き起こすもとになります。
そしてトラブルが起きた人々を自分の側に落ち度があるにもかかわらず一方的に恨みます。
こうやって利己的極まりない生き方へと陥ることになります。
ですから、私たちは決して建前と本音が一致していない生き方をしてはならないのです。
c.従順(じゅうじゅん)
三番目の生き方は『私は私である。[そして]あなたはあなたである』という生き方です。
ご主人の癇癪の回復は御本人にお任せすることにします。
そしてご自分はご自分の回復に専心することにします。
問題が共依存やアダルトチルドレンであるなら、そこからの回復に全力投球します。
このような生き方をコツコツと積み重ねていく時、本当にすべてが変わってしまうことが良くあります。
しかし、本音のところで「私が変わったら、お前も変われよ」と思い込んでいるときは、ちっとも相手は変わりません(笑)。
3.家族の具体的な対処法
ここまでは主に精神的・心理的対処の仕方を考えました。
しかし、心の変化が現実に及ぶのは一般的に言って時間がかかるということをわきまえておく必要もあります。
それでここからは具体的な対処法も合わせて考えることにします。
①夫婦カウンセリングを受ける
「うちの夫には無理だわ」とお感じになったかもしれません。
アメリカなどですと、夫婦の片方が夫婦カウンセリングを受けようというときは重大な決意を持っているときであり、この提案をけることは即離婚につながります。
それで相手は青ざめるということになります(笑)。
子供に説得の一員に加わってもらうか、市や県の社会保険サービス機関に相談をして、夫婦カウンセリングを受けるように説得してもらうなど方法はいくつもあります。
日本でも夫婦カウンセリングは一般的になりつつあります。
②一時的な様々な形の別居を試してみる
たとえば(もうすでに実行しておられるかもしれませんが)同じ家に住むものの、ちがう部屋に居住し、なるべく日中顔を合わせるのを避けるようにするなどです。
それでうまく行かなければ、一時的にアパートを借りて冷却期間を置くなどします。
③夫婦関係を解消する
夫が夫婦カウンセリングを拒否する、自助グループ参加も嫌がるなど、誠意ある対応を見せない場合、離婚の決断も考慮の対象になります。
離婚したら、全て終わりではありません。
そこから、また新しい人生が始まっていくのです。
「病的な見捨てられ不安」があると、離婚するなど怖くて仕方のないものです。
しかし人生は一度限りであり、傷つけられるままに生き続けるわけには行かないのです。
まさに、幸せは自分持ちです。

◎平安と祝福を祈っています。