最近、糖質制限で有名な桐山秀樹さんが62才の若さで心不全のため、お亡くなりになられました。
同様に糖質制限食で体重を減らされたゲームプロデューサーの飯野賢治さんも42才で亡くなられました。
また、政治家の鳩山邦夫さんは十二指腸潰瘍で亡くなられたとされていますが、この方は炭水化物抜きダイエットをなさっていたということです(これはネット上でそのような噂が流れているのに過ぎません)。
1.糖質制限法は「糖質以外は食べ放題」と言っている
①糖質制限食には複数のやり方が存在する
糖質制限食を提唱する人々の中にも「確かな人」と「怪しい人」がいます。
怪しい人は「糖質さえ摂らなければ人間はいくら食べても太らないようにできている」と嘘八百を並べ立てます。
しかし確かな人々は、はっきりと「好きなだけ食べてもよいと言っても、摂取カロリーが消費カロリーをオーバーすれば痩せないのは当たり前のこと」と述べておられます。
この記事では怪しい人の言説は切り捨て、確かな人の主張だけを取り上げます。
その人々の主張は、江部康二さんの「人類最強の『糖質制限』論」と山田悟さんの「糖質制限の真実」を参考にしました。
②考えないで食べる食べ方では完全栄養を達成することはできない
「糖質以外は好きなだけ食べてもよい」と言われれば、誰だって「自分もやってみようかな」と思うのではないでしょうか?
しかし話を良く聞いてみると「あのね、糖質は主食だけではないの。芋類や根菜にも含まれているから食べるのやめようね。当然お菓子もダメね」と言うのです。
これでは一般的なカロリー制限食と変わりがないどころか、もっと厳しいのではないかとの思いをいたします。
そして何より問題なのは、そうやって糖質を避けるという以外に何も考えないで好きなものをパクパク食べていては完全栄養を達成するのは難しいということです。
③四群点数法なら簡単に完全栄養を日々達成できる
食品には様々な働きがあります。
完全栄養を達成するには一日にこれだけ食べればよいのです。
以下に書かれてある重量は80kcal分であり、これを四群点数法では1点と数えます。
これを覚えておけば面倒なカロリー計算なしで完全栄養を日々達成することが可能です。
一群:栄養を完全にする働きがある食品
牛乳(低脂肪乳なら200g)
乳加工品(チーズなら20gヨーグルトなら1個)
卵(1個)
二群:筋肉や骨・血をつくる働きがある食品
肉(牛や豚のもも肉なら60g)
魚介類(あじなら100g)
大豆・豆腐(充填豆腐なら1個)などの大豆加工品
三群:身体を健康に保つ働きをする食品
野菜(緑黄色野菜100g淡色野菜200g)
芋類(ジャガイモなら100g)
果物(バナナなら100g)
四群:活動エネルギーや熱を生み出す働きをする食品
穀類:六枚切りの食パン1枚で160kcal(2点)・うどん一玉で240kcal(3点)・ご飯150gで240kcal(3点)
油18gで160kcal(2点)
砂糖20gで80kcal(1点)
2.身体の熱やエネルギーをタンパク質と脂質から摂るという誤り
①糖質制限食の主張には論理の飛躍がある
糖質制限食の致命的な誤りには「肥満になったのは糖質の摂りすぎ。だったら糖質を摂らなければよい」という主張です。
健全な物の考え方をする人なら「肥満になったのは糖質の摂りすぎ。だったら糖質を減らせばよい」と考えるものではないでしょうか?
②タンパク質の摂りすぎは腎臓などに負担をかける
腎臓が悪い人の身体的特徴は、目がくぼみ、顔色が土色(つちいろ)だということです。
上記の方々にも、この特徴が現れていました。
炭水化物は確かに摂りすぎると肥満をもたらし糖尿病のリスクを増大させます。
しかし適度に摂る場合は、内蔵に負担をかけずに活動エネルギーや熱を生み出すことができる優れた食品群です。
タンパク質の摂りすぎは脳溢血や心不全などに罹患するリスクを増大させると言われています。
3.糖質制限食の何が問題か?
①栄養学への誤った理解と態度
彼らの主張は一言で言えば「栄養学はこの十年で激変した。だから栄養学の主張には耳を貸さなくてもよい」というもののように聞こえます。
しかし、この主張は日本人的なオールオアナッシング的な思考パターンに陥っています。
というのは栄養学といっても、それは総体的なものであり、単体で存在しているものではないということです。
みんなで研究し、みんなで効果を確認し、そして間違いは切り捨て、効果のあるもののみを残していくという営みそのものが栄養学であるのです。
そうであるにもかかわらず、親の仇(かたき)のように栄養学を血祭りにあげるのは健全なことではありません。
また、糖質制限食を実践して死に至った人が三人もいるのに、それを無視して自分の正しさだけを声高に主張するのは無責任の極みです。
②人生が「短く太く」か「長く細く」の二者択一であってはならない
桐山秀樹さんは糖尿病を2010年に発症し、それから6年間を元気に過ごされました。
これを「糖質制限食を実践したからこそ6年間を元気に過ごすことができた」と考えるのか、それとも「四群点数法に基づく正しい食事療法を実践していれば今も元気に生きていることができた」と考えるのかは、だれも断定できるものではありません。
ただ願うのは、お一人お一人がトライ&エラーを繰り返して健康に長生きする人生を送られますようにということです。
◎平安と祝福を祈っています。