(2021/04/03記事更新)癇癪持ちで悩む大人が多くおられます。
実はこのブログを書いているありのパパもそのうちの一人です。
この記事は大人の癇癪の原因を明らかにし、軽度と重度のケース別に対処の仕方を解説しています。
1.癇癪が依存症レベルにまでは至っていない場合
怒りの爆発が依存症のレベルにまで至っていない場合はカウンセリング的アプローチが有効です。
カウンセリング的アプローチとは原因を探し出し、その原因に対応した解決策を実行することです。
癇癪持ちの人は多くの場合、子供時代に軽んじられた経験、馬鹿にされた経験など否定的経験を多く体験しています。
大人になった今は、その体験が引き金になり、「また馬鹿にされるのではないか?」「また軽んじられるのではないか?」と察知すると無意識のうちに怒りが引き出されて、それが爆発するというメカニズムになります。
解決策は何か?
それは「怒りを爆発させると自分は得をする」という間違った思いこみを打ち破ることです。
確かに子供時代は怒りを爆発させると自分の思い通りに親を動かすことが出来たかもしれません。
しかし大人になった今、そんなことをすればその場では自分の思い通りにできるかもしれませんが、自分の社会的立場は危ういものになります。
なぜなら誰も怒りを爆発させる人を自分のグループにいさせたいとは思わないからです。
次の項目からは怒りの爆発が重度のレベルに達している場合について解説しています。
2.癇癪が依存症レベルの場合 依存症の二つの問題
怒りを爆発させる人生を送っていると脳の報酬系と呼ばれる部位に「怒りを爆発させろ!」と命じる依存症回路が出来上がってしまいます。
いったん報酬系に依存症回路が出来上がると生きている間はその回路はなくならないと言われています。
この依存症回路から強迫観念と渇望現象が発せられます。
①強迫観念という依存症の第一の問題
「私は決して〇〇しない」と堅く決心しているにもかかわらず、いざ強迫観念が襲ってくると、強迫観念が教えるウソにころっとだまされてしまいます。
いわく「みんなやってる」「今日はスリップして、明日からシラフになればよい」「ちょっとだけなら問題ない」などです。(スリップとは依存症が再発することです)
怒り依存症者にとっての強迫観念が教えるウソは「注意するだけならいい」(いいえ、注意しようと思って声を上げた瞬間に怒りの爆発につながります)や、「この怒りの爆発には正当性がある」(いいえ、誰にも怒りを爆発させてよい権利などありません)などです。
②渇望現象という依存症の第二の問題
渇望現象とは強迫観念のスイッチが入るとブラックアウトするまでやめることができない現象を言います。
アルコール依存症者は文字通りブラックアウトするまで飲み続けてしまいますし、怒り依存症者は身体の具合が悪くなるほどに怒りを爆発させ続けます。
③問題の本質は強迫観念と渇望現象に対する無力にある
強迫観念と渇望現象は脳の報酬系にある依存症回路から発せられています。
脳の報酬系の周りには理性を司る前頭葉があります。
正常な脳ならば本能と理性がアクセルとブレーキの働きをして本能を上手にコントロールします。
しかし報酬系に依存症回路ができると本能は暴走しやすくなります。
理性のブレーキは効かず、強力に快楽を求めます。
これが依存症に対して私たちが無力である理由です。
3.問題が二つあるように解決策も二つある
①共同体から受ける助けが第一の解決策
共同体とは同じ問題をもつ人々の自助グループを指しています。
なぜ自助グループに参加する必要があるかというと、それは自分を客観視すること、また他の人々も苦しんでいることを知って苦しんでいるのは自分だけではないことを知るためです。
これを共感の力と言いますが、共感の力は尋常でない力を発揮します。
多くの人々はなんとか自力で回復したいと願います。
その思いは分からなくはありませんが(ありのパパもそうでしたから)、しかし自力での頑張りは徒労に終わります。
そして時間だけが過ぎていきます。
その無駄な時間は必要だったのかも知れませんが、できるならその時間を短くしたいものです。
EAという感情に問題を持つ人々の自助グループがあります。
どうぞお近くのEAのミーティング会場に行かれることをお勧めします。
そこでは同じような問題を持つ仲間たちが、どうやって12ステッププログラムを使って回復の道を歩んでいるのかを聞くことができます。
きっとあなたの回復にとって有益な一時となることでしょう。
依存症レベルになったら、決して自分だけで何とかしようと考えないことです。
それは命取りになります。
万事休すとなる前にミーティングに参加されることを願っています。

②依存症の根本的な解決策は霊的に目覚めること
霊的に目覚めるというと、何か宗教的なものを連想しがちですが決してそうではありません。
霊的に目覚めるとは回復するのに十分な人格の変化を指しています。
具体的に人格の変化とは何を意味しているのかというと、それは物事の受け取り方・感じ方・考え方がまるっきり変わってしまうことです。
私たちは不快な感情から逃れるために刺激に嗜癖するようになり、嗜癖を多用したため依存症になりました。
そもそもなぜ不快感情を感じるかと言えば、私たちのうちにある性格上の欠点(利己的・不正直・恐れ・配慮の欠如)が一人芝居をして本能が傷つき、その結果として感情が暴走したのです。
ですからスリップしないでおこうとするならば、不快感情が暴走しないために本能の傷つきを止める必要があります。そのためには性格上の欠点からくる行動パターンを使わないようにすることです。
12ステップの棚卸しに取組むことによって、それまでは他人や環境や生育歴などに原因があると思い込んでいたのが、実はそうではなく自分自身の性格上の欠点が原因だったと気づきます。
この視点の転換を指して霊的に目覚めると言われています。
霊的に目覚めることは12ステッププログラムに徹底して取り組むなら、どなたにも可能であると約束されています。
◎回復と平安と祝福を祈っています。