(2020/03/23記事更新)埋め合わせと聞くと皆さんは何を想像されますか?
この記事は12ステップが教える埋め合わせとは何であって何でないかを明らかにし、埋め合わせする具体的な方法と注意点について解説しています。
目次
1.埋め合わせの目的は過去のやり口・やり方を捨てるため
私たちの今までの生き方は、心の中で「そうじゃない」と思いつつ、それを口に出さず、何事もなかったかのように人生をやり過ごすというものではなかったでしょうか?
これは一言で言えば、責任をとらずに逃げる生き方であると言うことができます。
このような生き方をする人に神の恵みと力が流れ込んでこないのは、ある意味では当然のことでした。
2.埋め合わせの際の注意点
①謝罪と遺憾の意を表すことの違い
謝罪の目的は相手のゆるしを獲得することにあります。
しかし埋め合わせの目的は相手からのゆるしを得ることにはありません。
埋め合わせの目的は正直な生き方にあります。
また自分が謝ったら相手は必ずゆるしてくれると思い込むのは身勝手です。
『身勝手』は恐れとセットになって動く感情です。
ですから自分が謝ったら相手は必ずゆるしてくれると思い込むのは、私たちの心の中の恐れがそうさせているということが言えます。
人はゆるしてくれるときもあるし、そうでない時もあるというのが現実です。
その現実をしっかり見ようとせず、恐れのゆえに早とちりして自分に都合のよい結論を出す生き方こそ、私たちが変えていかなければならないものです。
〇このような訳で埋め合わせをするのは相手のゆるしを得ることが目的ではないのを覚えておく必要があります。
②完璧にやろうとしない
ステップ9の埋め合わせに限らず、ステップの1以外は完璧にやることは出来ません。
ですから埋め合わせを完璧にやらなければならないと考えないことです。
(無力を認めるステップ1だけは完璧にやる必要があります)
しかし完璧であろうとなかろうと、埋め合わせを行う人生の結果は素晴らしいものです。
これは真に神の業(わざ)であると言うことができます。
③変わろうとする自分を大切にする
自罰的傾向のある人は埋め合わせに限らず自分が計画したことをうまくやることが出来ないと自分を責めることがあります。
しかし、ここで大切なことは失敗した自分をゆるしてあげることです。
自分を虐めるために埋め合わせを行っているのではないし、まして完全な人になるために12ステップを行っているわけではないからです。
④延期について
埋め合わせをやると決めたにもかかわらず、勇気の欠如が原因で先延ばしにすることは、依存症者にとって非常に危険なことです。
なぜなら厳格にやらないと再飲酒(スリップ)の原因になるからです。
⑤シチュエーション別の方法
埋め合わせの方法についてビッグブックにはきわめて具体的に記されています。
(記載されているページ数はビッグブックのページ数)
a.直接会って埋め合わせする方法(111頁)
b.借金の返済の方法→自分の経済的な面を考慮して、返済可能な額を算出する(113頁)
c.刑事罰の対応方法(113~114頁)
d.第三者がかかわる場合(114頁)
e.家庭内のトラブル(116~118頁)
f.すべて話すべきか?(118頁)
g.完璧にやり遂げることについて(120頁)
h.延期について(120頁)
i.許しを乞うことについて(120頁)
3.ありのパパの例
ありのパパはキリスト教入信時に無銭飲食をしたことを悔い改めました。
実際にうどん屋さんに行って事情を説明し、無銭飲食の代金をお支払いしました。
その時のうどん屋さんの奥さんの対応は実に神々しいものでした。
この少年時代の経験が、人を無条件に信じる現在のありのパパの人間関係の基礎になっています。
(無条件であって、決して無制限ではないことにご留意ください)
埋め合わせは、こちらが貰うものの方が多いということを覚えておいてください。
そして人々は自分が思っているよりも寛容であることを知ります。
埋め合わせを行う第一の目的は自分の過ちを正すことであり、誰かのゆるしを獲得するためではありません。
◎回復と回復と平安と祝福を祈っています。