「本音を隠して我慢する」依存症者やACにはこれが一番いけない

今日は皆さんに「 人を信じられない病ー信頼障害としてのアディクション」(小林桜児著)をご紹介します。

1.この書籍の独自性

それは治療目標を断酒や断薬に置かず、他者との信頼関係を結ぶことに置いているところです。
著者の指摘はACであるありのパパにとっては「いちいちごもっとも」というべきものばかりでした。
とくに依存症者の病の本質は「人を信頼できない病」であるとの指摘には目からウロコが落ちるようでした。

2.ある薬物依存者のこと

危険リキッドと呼ばれる薬物の依存症の方が、この書籍に登場します。
(今日の記事は、この男性についての記述を中心にしてお話します)
この男性は自分の中の抑圧した感情を、人に頼ることなく、単独で発散するために危険リキッドと自慰行為が必要でした。

問題の原因が「人に頼るという手段ではなく、特定のものや行動に頼ることによって感情を発散する」ことだとすれば、当然のことながら解決策は「人に頼って感情を処理する練習」ということになります。

3.なぜアクティング・アウト(行動化)するのか?

答えは対処行動のトレーニングが不十分なためです。
対処行動とは、ストレスなどを受けたときに、そのストレスを健全な方法で解消することです。

この対処行動のトレーニングが不十分であると心理的孤立が始まり、やがてとき至ってACや嗜癖・依存症などに陥ります。
そういうわけで、心理的孤立の始まりはアダルトチルドレンの始まりでもあるとともに、アディクションの始まりともなります。

「感情を感じない」という問題をどのように統合するか?

「我慢する」という行動だけで対処してきたものが、仕事が多忙になったり、人間関係などで大きなストレスを抱えたりすると、「我慢する」という対処行動だけでは追いつかなくなり、この人の場合は大きな仕事が終わったあとに「我慢と疲れに対するごほうび」として危険リキッドと自慰行為をもちいるようになりました。

4.自分自身の感情に気づくことが第一歩

アディクション治療の第一歩は、一人ひとりのアディクトの感情に気づいてもらうことです。
それができてはじめて第二段階の治療に進むことができます。

要するに、対人信頼能力を新たに獲得することを目標にすべきであるということです。
この目標が達成された状態では、アディクションの行動は本人にとってもはや必要のない状態になっています。
必要がないからこそ、長く安定して止め続けることができるようになるのです。

5.感情表出の具体的やり方

薬物が止まっているからと言って、人に頼る練習ができていなければ、それはまさに「止まっているだけであり、成長している」とは言えません。

治療の目標は薬物の乱用を止めることではなく、(パートナーが存在する場合は)同居している妻に本音や愚痴をこぼせるようになることです。
妻には本人の行動を責めるのではなく、その背景にある生きづらさへの理解を求めます。

夫婦間の「感情報告タイム」が軌道に乗ってくると、夫婦間のコミュケーションが改善するだけではなく、職場の同僚や部下にも自分の本音を語れるように変わっていきます。
そうすると、もはや危険ドラッグで対処しなければならないほどの我慢や不満、疲れなどが蓄積しなくなり、自然と断薬できるようになります。

6.援助者や自助グループメンバーが気をつけるべきこと

援助する側や自助グループメンバーがあからさまに一刻も早い回復を無理強いする時、アディクト本人はありのままの自分を認めることができず、またもや古いやり口、すなわち偽りの自分を演じることになります。

援助する側や自助グループメンバーは、2つのことを頭に入れて現役アディクトに対処することが必要です。
それは、ありのままのアディクト本人を受け入れること、回復の目標を明確にすることの二つです。

「スリップしました」と言えば、「よく正直に言うことができたね」と誉め、励ますようにします。
そうするとアディクト本人は生まれてはじめてありのままの自分を受け入れられたという経験をもつのです。
この経験を通して、他者を信頼することを学び始めます。

治療にあたって、期待すべきは周囲の期待を反映した決意表明ではなく、 アディクト本人の本音を反映した不安表明や不満の表明でなければなりません。
「止められるか全然自信がない」とか「本当はやめたくない」などの言葉を、正直に安心して「人」に語れるようにならなければなりません。

これは利害関係があり、見捨てられたくない人々である自分の家族などには語ることが難しいものです。
そういうわけで、本音を語る練習台としては援助者や自助グループが最適であるということになります。

カウンセリング的アプローチとは何か?

◎平安と祝福を祈っています。

どうぞコメントをお残しください。初めてコメントなさる方は必ず自己紹介をお願いします。自己紹介のないコメントを承認することはありません。詳しくはメニューの「コメントしてくださる方へ」をご覧ください。