無力は無力。どこまで行っても無力。

私たちは『霊的目覚め』を獲得し、共同体から助けと支えを受けても、やっぱり無力であることに変わりはありません。
今日はこの問題を皆さんとご一緒に考えます。

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1.性格上の欠点・短所が取り除かれたとしても無力のまま

私たちは12ステップの4と5の棚卸しをやることによってはじめて自分自身の性格上の欠点を知りました。
それまでは悪いのは皆他人であり、自分はどちらかと言えば被害者でした。
それがステップの4の棚卸しで「あれ?」という感じで自分自身と対面します。
それでもなお言い訳がましくと言うか、厚かましいというか、自分の欠点に気づきません。
ステップの5で「もう一人の人」にこっぴどく(実は優しく、控えめに)短所を指摘されてはじめて自分の短所に気づくもののようです。

短所を取り除いていただいたとしても無力な理由

それは私たちが依存症になった原因である性格上の欠点がたとえ取り除かれたとしても、いったん脳の報酬系と呼ばれる部位に「強力に快楽を求めることを命じる回路」が出来てしまうと、それは生きている間は無くならないからです。

ですからどんなに「立派」になったとしても、ある特定の条件・環境に遭遇すると依存になっている対象への嗜癖(しへき)行為が引き出されます。
これに対して私たちは依然として無力なままです。

2.霊的目覚めが与えられたとしても無力な理由

霊的目覚めとは回復に十分な人格の変化です。
これが霊的目覚めの定義であり、これ以上ではありませんし、これ以外でもありません。
初期の頃のAAでは『霊的体験』を得る人がある程度おられたようようです。
そのためメンバーに「自分も霊的体験を得なければアルコール依存症から回復できないのではないか?」という疑念を生じさせていたようです。

それでAAの共同創設者であるビル・ウィルソンは『ビッグブック』に特別にページを追加して、このことについて説明しています。

現在では「依存症からの回復を目指す施設(中間施設と言われます)」では「お勧めは『霊的目覚め』です(笑)」と言われています。

霊的目覚めが効力を発揮するのは無力を認めているとき

霊的目覚めとは12ステップの構造や背後にある哲学を理解した人が持つ新しい精神的な世界観であるということができます。
そして12ステッププログラムは無力を認めることからスタートし、無力を認めることを前提にして次から次へと将棋倒しのようにステップを学んでいきます。
ですから、その大前提が崩れれば、与えられた霊的目覚めも一時的に効力を失います。
(もちろん再び無力を認めれば霊的目覚めも命を蘇(よみが)えらせます)

3.共同体から助けと支えを受けていても無力な理由

共同体から得る助けと支えがなければ、ソブラエティー(しらふ)を維持することはできません。
正直に自分の話をし、謙虚に他のメンバーの話を聞くことによって、気づきが与えられ、回復の歩みが促進されます。
これが共同体から受ける助けと支えです。

共同体から受ける助けには即効性があります。
この即効性の故に「あぁ、助かった。依存も嗜癖(しへき)も止まった。だから12ステップにわざわざ取り組む必要はない」と間違って考える人々もおられるようです。

しかし事実はそうではありません。
共同体から受ける助けには即効性がありますが、持続性・永続性がありません。
持続性・永続性とは単に嗜癖が止まるだけでなく、無限に成長していくことを指しています。
「私は依存症になって良かった。なぜなら私はこのことで神のおきてを学ぶことが出来たから」と告白なさる先行(さきい)く仲間たちが大勢おられます。

このような訳でただ共同体に参加しているだけでは回復の深化や成長はありません。
成長していくためにはどうしても12ステップに個人的に取り組むことが必須の条件となります。

◎私たちお互いは死ぬまで無力であることをわきまえ、かえってそのことを感謝しようではありませんか。
平安と祝福を祈っています。