いつか来た道は杞憂(きゆう)か?

元海上自衛官さんからコメントをいただきました。
そのコメントが大変良質なものでした。
(良質の意味は、そこにいなければ分からないであろうことが良く分かっておられるということです。)

‥‥‥以下はコメント‥‥‥‥

ありのパパさんへ

「反対できる時に反対する」ことについては大賛成です。

ただ、「これはありのパパの杞憂でしょうか?」については、
はい、杞憂だと思います。
元海上自衛官としてソフト面とハード面からその理由を述べたいと思います。

[ソフト面]
昔と違って、大本営発表のように情報をごっそり隠したり誤魔化す ことは無理ですよね。
大規模な戦争、しかも防衛ではなく海外派兵などしようものなら、非常呼集が発令される前に、依願退職続出で兵力半減間違いなしです。
兵力半減はもはや戦力とはなり得られません。

また、国力の劣る国の政府に国民が拐われたら、国際的標準では戦争してでも拐われた国民を奪還するように努めるようですが、日本は様々な理由でそうしていませんよね。
我が国の政府に、外交の一手段としての戦争を選択することは法的に現状無理ですし、仮に憲法や法律を変えても決断出来そうもありません。

[ハード面]
制空権を獲れない(空中給油機の不足)、制海権を獲れない(原子力潜水艦の未保有)、占領を維持出来ない(兵力、物資の不足)

以上の理由から、小規模な支援的派兵や特殊作戦群の投入(空挺、レンジャー、対テロ部隊)はあり得ても、いつか来た道は幸いなことに絶対無理です

‥‥‥‥コメントはここまで‥‥‥‥

現在、安倍内閣による戦争準備法案が審議されています。
今日はこの問題を皆さんとご一緒に考えます。

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①自衛隊内部には楽観的な見方が存在する

なぜなら戦争準備の法案が審議中なのですが、それに伴う国防予算が増額されていないからです。
これでは海外で戦争を行うことなどは実質的に不可能です。

しかしありのパパから見ると、これは余りにも近視眼的(きんしがんてき)な見方に過ぎると感じます。
戦前も同じような見方がありました。

戦前、マスコミも経済界も内心「いい加減なところで収(おさ)まる」と希望的観測を持っていました。
特に関西の経済界がそうだったと言います。
リベラル的気質をもっていた関西経済界ですが、戦争による特需(とくじゅ)で景気が良くなったことによって、明確な戦争反対を言い出しにくくなりました。
気が付いたときには、もうすでに戦争反対を言い出せる雰囲気も権利もなくなっていました。

②戦前と違って現在は言論の自由があるという意見

多くの人は戦前の日本は抑圧された社会であり、自由のない国家だったと思い込んでいます。
しかしこれは全く事実に反したことです。
戦前にも現在と同じ新聞社が存在していましたし、NHKもありました。

新聞社は目の前の部数競争に目を奪われて、「行け行けドンドン」とばかりに戦争を煽り立てていました。
威勢(いせい)がいいことを言うと耳障(みみざわ)りが良く、人の関心を集めることが出来るからです。

戦争を煽り立てる論調によって世論が徐々に戦争賛成へと動かされていきました。
これが結果として軍部内部の戦争に積極的な派と慎重な派のバランスをくずす原因になりました。

そして戦争によって社会がひっぱくすると国家総動員法によってありとあらゆるものが戦争遂行のために駆り立てられました。
もうその時には新聞社には真実を書く自由はなく、またそのための気概(きがい)も失われていました。

➂自衛隊が戦争のために海外に派遣されることはない?

憲法を改正せずに、我が国を戦争のできる国にしようとしている安倍政権にとって、自衛隊を海外に派遣することなどは朝飯前であることを知らなければなりません。

「自衛隊に海外で戦争をする能力はないから大丈夫」などと高(たか)を括(くく)っていると大変なことになりますよと申し上げておきます。

戦前も関係者は内心で「変なことにはならないだろう」と高を括っていました。
その油断が我が国の歴史始まって以来の大敗北をこうむる原因となりました。

◎私たちの国がこれからどうなっていくのか、本当のところは誰にも分かりません。
ただ細心の注意をはらって国の進路が誤ることがないように見張り人の使命を果たす責任があります。

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コメント

  1. 元海上自衛官 より:

    ありのパパさん、御早うございます。

    私のコメントから、様々な議論を展開して頂き、たいへん光栄に存じ上げます。

    結論の部分はたいへん共感を覚えました。

    我が国の将来に対するこの類の憂慮は、外交姿勢や人口問題、食料自給率などに起因するものもありますが、先の大戦と同様にエネルギー問題(対日石油の禁輸)が最大要因に成りうることを鑑みて、現在の我が国の取り組みを少し紹介させてください。

    [短期的取り組み(5~10年)]
    地熱発電所の建設→建設コストの回収に時間が掛かるのと、低出力(原発の1/20)
    バイオディーゼル、ジェット燃料の開発→藻や非食用の芋から採れるアルコールを混ぜたものの実用実験に成功するも、コスト割高。

    [中期的取り組み(10~20年)]
    メタンハイドレートの採掘→低温、高圧でメタンガスが固化したもの。
    日本近海に莫大な埋蔵量が確認されるも、商業化する採掘技術が困難。

    [長期的取り組み(20~30年)]
    炭素繊維からアルコール抽出→白アリが体内の酵素を使って木材を分解してエネルギー(アルコール)を得ていますが、この技術を応用すれば、無尽蔵にエネルギーが得られます。

    以上のような分野で劇的なイノベーションが起これば、エネルギー問題は一気に解決。
    戦争要因を大幅に減らすことも可能ですが、逆に戦争要因になるかも知れませんね。

    • ありのパパ より:

      こんばんは、元海上自衛官さん。
      コメントをありがとうございます。

      元海上自衛官さんのきわめて楽観的な立場はどこから来ているのでしょうか?
      中国が領土拡張の野心を燃やすのはさまざまな要因があるでしょう。
      その中には仰るように経済成長に必要な資源の安定供給という面ももちろんあると思います。

      しかし一党独裁の軍事政権が領土拡張を目指すのは、国民の不満をそらすことが最大の目的です。
      アルゼンチンと英国のフォークランド紛争は、その典型的な事例です。
      このような視点から考えると、中国が民主化されるまでは現在のような状況は決して解決しないと思われます。

      よろしくお願いします。

  2. 元海上自衛官 より:

    ありのパパさん、今晩は。

    私のきわめて楽観的立場(自分では楽観的とは思っていませんが)は、大きく分けて次の二点からなっています。

    1、中国が南シナ海や尖閣諸島に小競り合いを仕掛けるだけでは飽きたらず、他国に対して本格的に軍事侵攻を企てるとしたら、それは地政学的、歴史的、面子的にも台湾だと思うからです。世界有数の人口密度が高い台湾を降伏、占領に追い詰めるのは、相当軍事的、外交的、経済的にも犠牲を覚悟しなければならないでしょう。

    2、小火器の発達。現代の兵器は大した訓練を受けなくても、装備によって普通の人が簡単にゴルゴ13やランボーになってしまいます。でなければ、アメリカはイラク、ソマリヤ、アフガニスタンであんなに苦戦しなかったでしょう。ましてや台湾も日本も国土の大半は見通しの良い砂漠や荒野ではありません。防衛側に絶対的有利。

    もうちょっと書きたかったけど、時間なのでまた。

    • ありのパパ より:

      こんばんは、元海上自衛官さん。
      コメントをありがとうございます。

      元海上自衛官さんのあげる理由は、戦争になった場合に我が国が負けない理由にはなっても、戦争が起きない理由にはなり得ません。
      ここが一番の問題点であろうと考えます。
      もしそんなに独裁政権が理性的ならば、戦前の我が国の神道原理主義政権が無謀な15年戦争を起こすこともなかったのではないでしょうか?
      その当時のアメリカも元海上自衛官さんと同様に楽観的に考えていたようです。
      すなわち負けると分かっている戦争を始めるほど日本は愚かではないと。

      根拠のない楽観主義を戒める人が、アメリカ指導部の中枢にいたならば、太平洋戦争は起きなかったのではないかと推測します。

      該当する当事国全てに根拠のない楽観主義を戒める人が、神によって与えられますようにと祈るものです。

      またコメントしてください。お待ちしています。

  3. 元海上自衛官 より:

    ありのパパさん、御早うございます。

    コメントを拝読しましたが、私が感じていたうっすらとした違和感を言葉にして頂いたように感じました。

    完全に同意します。

    そうですね。いくら戦術的に守備側に圧倒的有利、攻撃側に絶対的不利であっても、それが戦争を完全に抑止することにはなりませんね。問答無用で侵略戦争を仕掛けられたら、それはそれでどうしようもありません。

    中国の民主化…。壮大な夢ですね。
    実現したら素晴らしいですが、そうなったらそうなったで、台湾のように平穏に軍事政権から民主化するのは、途方もなく難しそうですね。
    国内での内乱によって、ものすごい数の難民が近隣諸国に押し寄せて来そうですが、私は世の終わりまでないのでは?と思っております。

    なぜなら、大艱難時代の後期、干上がったユーフラテス川を東から渡ってくる軍隊とは「人民解放軍のことでは?」とチラッと思ったりしているからです。
    聖書の私的解釈は厳に慎まねばならないので、あくまでもしかしたらそうかも、程度の感じですが…。

    • ありのパパ より:

      こんばんは、元海上自衛官さん。
      コメントをありがとうございます。

      「完全に同意」してくださり、ありがたいことです。
      しかし最後の最後で不意打ちをくらわしてくださいましたね(笑)。
      元海上自衛官さんのコメントの後半部分を読みながら、なぜか「ソ連は反キリストであり、ECは獣の角(つの)である」と言った牧師を思い出してしまいました。
      今頃どうしているやら‥‥‥‥。

      私たち福音主義キリスト者は歴史の審判に耐えうる聖書解釈をしなければならないと考えます。
      元海上自衛官さんも共に『この道』を歩んでくださるようにと祈り願いつつ、このコメントのやりとりを終わりにしたいと思います。

      またコメントしてください。お待ちしています。