アルコホリズムの歴史とAAの始まり

(ステップ1)

12ステッププログラムの成り立ちの経過をお伺いすると、それはまさに奇蹟としか言い様のないものであったことを思わせられます。
12ステッププログラムの成立には三つの領域の出会いと三人の人の働きかけがありました。
一つ一つ見ていきましょう。

スポンサーリンク

1.ユング博士&カウンセリング心理学

アメリカ合衆国の人であったAAの創設者たちは強力な飲酒経験に翻弄され、社会的にも肉体的にも危機的状況に直面していました。
どこに行っても「これなら治りそう」という治療法に出会うことはありませんでした。
ついには合衆国を出て、ユング博士のいるヨーロッパにまで足を運びました。

しかし治療を受けて「これなら大丈夫」という状態で帰国の途についたその旅先で再飲酒してしまうという浮き目に会います。
泣きたくなるような心情で「博士、私がよくなる方法はないのでしょうか?」と聞くと、博士は無情にも「ありません」と答えます。
絶望しかかった彼に博士は「ただ、激烈な霊的体験を得ることが出来るなら良くなる可能性があります」と続けました。
ワラにもすがる思いであった彼が、その助言に従わないはずはありません。
さらにユング博士はオックスフォード運動に参加することによってその経験を得られるだろうと言いました。
帰国後、オックスフォード運動に参加し、霊的覚醒体験を得ることになります。

ユング自身はどうすれば霊的体験を得ることができるかを知りませんでした。
しかしその代わりにオックスフォード運動に参加することを勧めたのでした。
そういうわけでAAの初めの百人はオックスフォードグループに属していました。

2.オックスフォード運動&キリスト教

オックスフォード運動とかオックスフォードグループと呼ばれるキリスト教福音派に属するこの運動は、キリスト教の初めの百年に戻ることを目的にしていました。
このグループのなかでは次のことが強調されていました。

a.降伏する(ステップ3)
b.罪を点検する(ステップ4)
c.告白し、あるいは分かち合う(ステップ5)
d.償いをする(ステップ8・9)
e.神に導きを求める(ステップ11)
f.証をする(ステップ12)

この話を聞きながら、ありのパパはゾクゾクしたのを覚えています。
なぜならこのオックスフォードグループとはありのパパがかつて属していた教会・教派の源流でもあったからです。
その末裔の教会に属しながら、そんなこととは露知らず、うすらぼんやりと信仰生活を送っていたのを痛切に感じたからです。

ただオックスフォード運動のステップにはAAの12ステップにはあるものがいくつか抜けています。
これはAAの創設者たちがあとから付け加えたものです。
オックスフォード運動ではいきなりステップの3から入ります。
これの理由をありのパパが考えてみるに、多分無力を認めるなどは当たり前のことであり、わざわざ言うほどのことでもないと考えたのでしょうか。

しかし失望しているときは確かに無力を認めているのですが、うまくいき始めると途端に我力でがんばるという悪循環を繰り返してきたありのパパにとっては、入り口のところで無力を認めるというのは必須のステップでした。
これがあって本当に良かったと感じます。

創設者のビル・Wは「これがないと傲慢なアル中は必ず再飲酒に走る」と考え、このステップ1を入れたそうです。
ここのところからも確かに神様がビル・Wをお用いになられて私たちに祝福の道を備えようとしておられるのを見ることが出来ます。

・霊的体験と12ステップ

時々霊的体験をもうすでに持っているから12ステッププログラムを勉強しなくてもよいと言われる方がおられます。
ありのパパも二つの霊的体験を持っています。
これはまさに神を見る体験(神体験)と言って良いものでした。
しかしステップから切り離された霊的体験だけでは人生がうまくいきませんでした。
このことを正直な心になって皆様の前で告白いたします。
12ステッププログラムを学ぶことを通して得られる霊的目覚め(霊的体験)だけが、私たちに解決を与え、霊的自由を与えるのであると、はっきりと申し上げることが出来ます。

3.シルクワース医師&依存症に対する正しい理解

AA登場以前は、アル中の原因は「罪深いから」とか「意志が弱いから」とされていました。
これはもちろん教会の影響によるものであることは論を待ちません。
このことによってアルコール依存症を患った人々は自分のことを責め苛(さいな)んだのです。
キリスト者として申し訳ない気持ちで一杯です。

しかしここにアルコール依存症を道徳の問題ではなく、精神と肉体の病気であると見抜いた一人の医師がおられます。
この医師が、アルコール依存症は肉体と精神の両面の病であるという情報をビル・Wに提供したのでした。
こうして三つの領域から三つの新しい情報がビル・Wという一人の人の中にもたらされ融合されたのでした。

a.アルコール依存症は病気であること。
b.解決は霊的体験(霊的目覚め)によること。
c.霊的体験は12ステップを通してもたらされること。