神秘主義の間違い

神秘主義とは何かと申しますと、一言で言えば「神との合一」を目指す信仰の立場です。
しかし神秘主義という分野にカテゴライズされる思想は、そればかりではなく付属物を含んでいます。
そしてそれこそが問題なのです。
元々、神との合一という思想は聖書の中にあるものです。
神秘主義の立場に立つ人々も皆そのように主張します。
しかし問題は神との合一にあるのではなく、その付属物の中にあります。
それは神と一体になることを目指すあまり、誤った認識を持つに至ることです。

①自分が完全になったという自己認識

この立場に立つ人がよく言う言葉に「もう自分の中には神への愛しか存在しない。憎しみも悲しみも、また世への執着もなくなった。」というのがあります。
聖書の立場に立つ健全な人なら、すぐにその異端性に気づくでしょう。
しかし「霊を見分ける(賜物)」力に欠けた人が、その教えに触れると「自分もそうなれたらいいな。」と思ってしまいがちです。
この誤った自己認識を持つと、抑圧と隠蔽(いんぺい)が始まります。
抑圧とは、あってはならないものが意識のうちに現れると、すぐさま潜在意識に押し込むことです。
こうして「いつも喜べ。絶えず祈れ。全てのことに感謝せよ。」を演じる人々が出来上がります。
このような人は、常に抑鬱に悩み、突然怒り出したり、余裕のある教会生活が送れなくなります。
隠蔽とは、抑圧が心の中で起こるのであるのに対して、人格の外側で起こるものです。
どういうことが起こるかというと、外では良い人なのに家の中ではまるで人が違うというようなことです。
○抑圧とは良い人を無意識に演じることであり、隠蔽とは良い人を意識的に演じることだと言えます。

②教会の中に何の問題もないという認識

完全になった人ばかりが教会員であれば、教会内には何の問題もないのです。
これはある意味、当然の論理の帰結とも言えます。
しかしこれがいかに現実の教会の姿と離反しているか考えると、笑い話でしかありません。
これは結局どのような影響を教会に与えるかというと、問題が起きないために薄っぺらな交わりしかしない人間関係にとどめるということにつながります。
また仮面を着けて「良い人を演じる」ことにつながり、それに疲れた人はひっそりと教会から離れていきます。

③自分が現実の社会にかかわって生きている社会的存在であるという認識の欠如

誤った自己認識をうすうす感じながらも、その偽りを気づかないように自分を仕向けていると、思考が停止します。
そしてその思考停止は自己認識だけでなく、他の領域にも広がります。
これは一見納得しがたいかもしれませんが、感情を抑圧している親は、自分の子供の感情を理解することができないことを考えると、理解の助けになるかもしれません。
キリスト教の看板を背負った人々が、社会的問題に対して発言するとき、その真相をよく分析しているとも思えず、単純に「一人一人が問題」とか「一人一人の心がけが問題」などと言っているのを耳にするときがあります。
しかし一人一人の心がけではどうにもならないから、こうして問題になっているのではないかと思うのですが、これらの人たちは決してそのようには考えないようです。
そしてどのように状況が悪化しようとも、お構いないしにご自分の信条をアピールするのみです。

まとめ:
実はありのパパが神秘論者でした。
そして①と②と③で書いたことは、みな自分のことです。
聖書は聖書によって理解するという原則に基づいて聖書を読んでいったとき、気がつくと神秘論から解放されていました。
このような愚かな誤りに陥るのはありのパパぐらいだろうと思っていたのですが、良い働きをしている方々が、神秘論に陥ってしまっているのを見て、老婆心ながら文章をアップすることにいたしました。
現実の一つ一つの問題を解決していくのは骨が折れることです。
これらの人々はみな重要な戦いをしている方ばかりであることを考えると、神秘論になってしまえばストレスからも解放されると無意識のうちに考えたのかもしれません。
しかしこの地上に生きている間は、完全は存在しません。
一つ一つ問題を解決していくほかはないのです。
神と合一しても(もともと神を信じることが神と一つになることを意味しているのですが)、問題はなくなりませんし、否定的な感情もなくなることはありません。
これらのものからの解放は栄化のとき実現するものです。
パウロはこの時を恋い焦がれていると言いました。

では足をしっかりと地につけて、今日も一歩を踏み出すことにいたしましょう!

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